■今後の見通し



1. 2021年6月期の業績見通し

平山ホールディングス<7781>の2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比1.4%増の23,300百万円、営業利益で同5.1%増の400百万円、経常利益で同0.8%増の400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.0%増の300百万円と期初計画を据え置いた。売上高は10期連続増収を見込む。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は、売上高で46.8%とほぼ計画どおりの進捗となっているほか、営業利益は51.8%と計画を上回っている。インソーシング・派遣事業の受注状況もコロナ禍以前の水準まで戻ってきており、海外事業の損益改善も見込めることから、今後市場環境が再度悪化するようなことがなければ、会社計画を達成する可能性は高いと弊社では見ている。



(1) インソーシング・派遣事業

インソーシング・派遣事業の売上高は、前期比3.9%増の19,130百万円、セグメント利益は同15.9%増の1,550百万円となる見通し。第2四半期までの進捗率は売上高、営業利益ともに48%前後の水準だが、足元の受注環境は自動車部品向けなどが回復してきていること、コンビニエンスストア向け派遣や、新型コロナウイルス感染症のワクチン物流案件など新規顧客の取り込みもできていることから、計画達成は可能と見られる。



2021年6月期下期の取り組み方針としては、コロナ禍でも需要が旺盛な食品加工会社や都市型食品スーパーなど既存顧客のニーズに対応しつつ、製造派遣を中心に新規取引先の開拓に注力していく。また、製造派遣から製造請負への転換を推進することで同一労働同一賃金の毎年の改定に対応していくほか、製造請負現場での外国人特定技能者等のグローバル人材の活用を提案していくことで請負業務のコスト競争力強化につなげていく。現在、平山については請負現場が20ヶ所以上あり、請負の売上構成比で5割強を占めるが、6割程度まで引き上げていく考えだ。請負業務に転換すれば、現場改善による生産性向上を図ることで利益率を高めていくことが可能なためだ。生産性向上施策としては、従来の現場改善手法に加えて、IoTやRPAなど先進のITシステムの活用などにより推進していく方針となっている。



なお、2021年4月の新卒採用者数は350名(2020年は300名弱)とほぼ会社計画を達成できる見通しとなっており、人員増加によって2022年6月期以降の売上拡大に貢献するものと期待される。実際、新卒社員による派遣の受注状況を見ると、例年3月時点では50%程度の受注水準であったが、2021年は既に100%の案件を確保した状態となっている。主要顧客を中心に2021年は新卒社員の採用を手控えたことが背景にあるようで、その代わりに派遣需要が例年よりも高くなっていると弊社は見ている。



(2) 技術者派遣事業

技術者派遣事業の売上高は前期比5.2%増の1,580百万円、セグメント利益は同61.1%減の28百万円となる見通し。第2四半期までの進捗率は売上高で46.1%、セグメント利益は第2四半期までに通期計画を超過している。同社は、技術派遣事業について引き続き先行投資期間と位置付けており、2021年6月期下期は新卒社員や中途採用の採用、研修費用などを計画しているため、通期計画を変更していない。しかしながら、実際にはミャンマーで採用した42名の新卒社員がコロナ禍及び軍事クーデターの影響もあり現地で待機中となっていることから教育研修費等の配属コスト減額が予想され、利益面では上振れとなる可能性がある。



2021年6月期下期の取り組み方針としては、既存領域における技術者ニーズに対応しつつ、生産技術・IT・AI領域の新分野の顧客拡大に取り組んでいく。また、未経験の若手社員への教育によるエンジニア育成と適正な現場への配属を推進していくほか、社内コミュニケーションの活性化と技術研修強化、グループ派遣などを強化することで、既存技術者の定着率改善を図っていく。



人材採用面では、実績のある外国籍技術者の採用を2倍に増やすほか(ミャンマー、ベトナムの大学との連携による採用拡大)、理系新卒者の採用強化により、合計で前年比52名増となる90名(新卒70名、中途採用20名。ミャンマー採用42名含む)の採用を計画している。なお、2022年6月期は新卒100名、中途採用50名を計画している。



(3) 海外事業

海外事業の売上高は前期比23.2%減の1,650百万円、セグメント損失は42百万円(前期は2百万円の損失)となる見通し。前述したように既に会計期間にあたる第3四半期は終了しており、第2四半期から若干の売上回復が見込まれているが、第2四半期までの売上進捗率は38.0%と低く、通期の売上計画については下振れする可能性がある。損益面では2021年6月期下期に損失幅が縮小する格好となるが、これはタイでの売上回復に加えて、事業の集中と選択により販管費の圧縮を進めていることが要因となっている。



具体的には、タイの派遣事業を行っていた2社を1社に統合し販管費を抑制、残る1社はコンサルティングとコロナ禍の収束後に需要が見込まれる外国人就労に関する管理サービスを開始する予定となっている。また、フィリピンとベトナムで教育研修事業を行っていた現地子会社についても休眠化しており、費用の減少要因となる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)