■RS Technologies<3445>の業績動向



2. 事業セグメント別動向

(1) ウェーハ再生事業

ウェーハ再生事業の売上高は前期比6.4%増の11,461百万円(内部売上高または振替高含む、以下同様)、営業利益は同1.3%減の4,027百万円となった。メモリやロジックなど最先端半導体の需要が、データセンター向けサーバーやパソコン、ゲーム、5Gスマートフォン向けに好調に推移したことで、台湾や国内の主要顧客を中心に再生ウェーハも堅調に推移した。旺盛な需要に対応するため、12インチ再生ウェーハの月産能力は2019年末時点の40万枚(国内25万枚、台湾15万枚)から、2020年末には42万枚(国内26万枚、台湾16万枚)に増加している。



一方、利益面では減価償却費の増加に加えて、輸送コストの上昇が減益要因となった。特に、2020年12月期第4四半期はコロナ禍の第2波によって欧米向けの国際航空便が減少し、賃料が大きく上昇した影響を受け、増収にもかかわらず前年同期比で19.4%の減益に転じている。



(2) プライムシリコンウェーハ製造販売事業

プライムシリコンウェーハ製造販売事業の売上高は前期比13.0%減の8,755百万円(内部売上高または振替高含む、以下同様)、営業利益は同30.7%減の1,041百万円と2期連続で減収減益となった。2019年12月期は世界的な景気減速の影響により、中国半導体メーカーの生産量減少が収益悪化要因であった。これに対して2020年12月期はコロナ禍の影響も一部あったものの、大半は工場移転による一時的な要因となっている。



山東新工場は2020年10月に竣工し、北京工場から移設した月産8万枚の製造ラインに新設した5万枚の製造ラインを加えて合計13万枚の月産能力となっているが、稼働率は同年12月時点で約6割の8万枚弱と設備移転前の生産量にようやく戻った状況にある。このため、2020年12月期第4四半期だけで見ると売上高は前年同期比17.2%減の1,753百万円と落ち込み、また、移転関連費用の計上もあって、営業損失は331百万円(前年同期は18百万円の損失)となった。ただ、2021年以降は移転費用等がなくなること、また、歩留まりの向上などもあり収益は大きく改善することが見込まれている。



(3) 半導体関連装置・部材等事業

半導体関連装置・部材等事業の売上高は前期比55.0%増の6,272百万円(内部売上高または振替高含む、以下同様)、営業利益は同23.4%増の211百万円となった。仕入販売品となる超音波映像装置・検査装置の大口受注が寄与したほか、DG Technologiesで手掛けるドライエッチング装置向け消耗部材が国内外の大手半導体装置メーカーや、台湾及び国内の大手半導体メーカー向けに好調に推移した。消耗部材については旺盛な需要に応えるため茨城工場の生産能力を増強した。このため、減価償却費が増加しており、利益率低下の一因となっている。





徳州市の新工場関連投資の実行により現預金が減少し、有形固定資産が増加

3. 財務状況と経営指標

2020年12月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比10,116百万円増加の58,750百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では、たな卸資産が781百万円、受取手形及び売掛金が274百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が3,073百万円減少した。固定資産では、山東GRITEKの新工場建設やグループ全体の設備投資増加に伴い有形固定資産が9,510百万円増加したほか、投資有価証券が933百万円増加した。



負債合計は前期末比5,731百万円増加の18,384百万円となった。流動負債では未払金が1,988百万円、支払手形及び買掛金が1,256百万円それぞれ増加した。固定負債では長期借入金が619百万円減少し、固定負債その他が1,139百万円増加した。また、純資産は前期末比4,384百万円増加の40,365百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、利益剰余金が2,824百万円増加したほか、非支配株主持分が1,330百万円増加したことによる。



キャッシュ・フローの状況を見ると、営業キャッシュ・フローが6,377百万円の収入となったのに対して、投資キャッシュ・フローは新工場関連投資の実行等により9,188百万円の支出となり、財務キャッシュ・フローについても有利子負債の返済や配当金支出等により776百万円の支出となった。この結果、期末現金及び現金同等物は前期末比3,453百万円減少の17,910百万円となっている。



経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の42.7%から40.5%に低下したが、有利子負債比率も17.5%から13.2%に低下しており、財務面での健全性は維持しているものと判断される。収益性について見ると、売上高営業利益率は2017年12月期の27.3%から2020年12月期は17.7%まで低下している。2017年当時は利益率が30%以上と高いウェーハ再生事業が売上高の9割弱を占めていたが、2018年以降、中国でプライムシリコンウェーハ製造販売事業を開始したほか、2018年以降はM&Aにより半導体商社や半導体製造装置向け消耗部材を手掛ける企業をグループ化したことが要因である。しかし、これらは中長期的な成長に向けた戦略的な事業拡大であり前向きに評価される。中国のプライムシリコンウェーハ製造販売事業については、2021年以降収益性の向上が見込まれるほか、半導体装置向け消耗部材等事業についても第3の柱として育成すべく積極的な事業展開を進めていく方針となっている。事業セグメントごとの収益性で見ればウェーハ再生事業を除く2つの事業に関しては、2021年以降向上していく可能性が高いと弊社では見ている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)