■業績動向



1. 2020年12月期の業績概要

トレードワークス<3997>の2020年12月期の売上高は前期比6.1%増の2,110百万円、営業利益は同13.9%減の107百万円、経常利益は同14.2%減の107百万円、当期純利益は同18.0%減の73百万円と増収減益決算となった。コロナ禍の影響により、予定していた証券取引システムの売上計上時期が2021年12月期にずれ込んだこともあり、会社計画に対して売上高、各利益ともに下振れて着地した。ただ、期初に掲げた重点施策への取り組みに関しては、順調に進捗した。



(1) 営業利益の増減要因

営業利益の減益要因は、ソフトウエア資産を中心とした減価償却費が前期の15百万円から73百万円に増加したことが主因となった。償却前営業利益で見ると前期比28.8%増の180百万円となり2期ぶりの増益に転じたことになる。利益率も前期の7.0%から8.6%に上昇しているが、これは前期に人材不足によってコストの高い派遣を活用し、高くなっていた外注費負担を2020年12月期は社内エンジニアの育成によって削減できたことが要因となっている。期末従業員数も前期末比9名増の93名となったが、増加分はエンジニアとなっている。



こうした取り組みにより、売上高に占める労務費率は前期の22.5%から24.5%に上昇した一方で、外注比率は52.2%から44.8%に低下している。金額ベースで見ると、労務費は前期比68百万円増加し、外注費は同92百万円減少している。外注費のなかには派遣コストが半分程度を占めており(残り半分はデータセンター利用料等のインフラコスト)、減少分のほとんどは派遣コストの削減効果によるものと見られる。



(2) 重点施策の進捗状況

重点施策の進捗については以下の通りとなる。



a) プロジェクト管理の徹底による収益性改善

コロナ禍において、テレワークを含むニューノーマルに対応した働き方改革に取り組んだ。納期の期ズレの影響や減価償却費の増加で営業利益率は低下したものの、償却前営業利益率ベースでは収益性向上が進んでいる。



b) 既存顧客への営業活動強化

対面営業が制限されるなか、オンラインミーティングを活発に行える既存顧客への営業活動を強化した。開発提案数や検討数は増加したものの、顧客の検討時間がコロナ禍の影響もあって長引くなど、その効果は2021年以降に持ち越しとなった。



c) 人材の育成

大型プロジェクトにも対応できる人材の育成に注力し、エンジニアの採用についても人材サービス会社を活用することで計画どおり採用できた。開発力強化に向けた教育・育成についても順調に進んでいる。



d) データセンター増強など戦略的投資を継続

ストック型ビジネスモデルへの転換を図るため、ここ2〜3年でデータセンターの能力増強に取り組んできたが、先行投資部分は一巡し、適切なコストで運営できる体制をほぼ構築した。



e) 新サービスへの取り組み

同社が有するシステム開発ノウハウのうち、新サービスに活用できる部分を生かして、開発をスタートさせている。





金融ソリューション事業はコロナ禍の影響を受けるも、ストック型収入の拡大により2期ぶりの増収に転じる

2. 事業別の状況

(1) 金融ソリューション事業

金融ソリューション事業の売上高は前期比6.9%増の1,930百万円と2期ぶりの増収に転じた。コロナ禍の影響で開発案件の一時中断やリリースの遅延があったものの、ストック型収入が順調に積み上がったことが増収要因となった。また、エイチ・エス証券(株)の「インターネット取引サービス」のシステム基盤をAWSベースにリニューアル開発したほか、藍澤證券(株)のインターネット取引システム「ブルートレード」及び「アイザワオンライン」向けに、ASPサービスとして「グローバル投資情報サービス※」の提供を開始した。



※国内市場情報だけでなく、外国株式情報や為替、経済指標など幅広い情報コンテンツを提供している。





主要顧客別で見ると、DMM FinTechが前期比24.9%減の369百万円、auカブコム証券が同4.0%減の380百万円と減少したものの、岩井コスモ証券が同78.3%増の419百万円と大きく伸長し、増収に貢献した。岩井コスモ証券については、2019年12月期第4四半期に納品した新規システムに関するストック型収入が2020年12月期にはフルに貢献したことが増収要因となっている。



(2) FXシステム事業

FXシステム事業の売上高は前期比0.3%増の160百万円と若干ながらも増収を確保した。主力商品の「TRAdING STUDIO」のPC版、スマートフォン版ともに、顧客ニーズに対応した機能拡充を進めたこと(チャート機能の追加・機能強化等)で、既存顧客の売上平均単価が若干ながら上昇した。



(3) セキュリティ診断事業

セキュリティ診断事業の売上高は前期比16.6%減の19百万円と減収基調が続いた。コロナ禍の影響により、既存顧客及び新規顧客への訪問の制限や商談の延期・中止などがあった。また、一部の既存顧客において契約更新の遅れや、オンサイトによる脆弱性診断サービスの延期、または規模縮小といった動きがあり、減収要因となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)