■今後の見通し



1. 2021年12月期の業績見通し

サイバーリンクス<3683>の2021年12月期通期の連結業績は、売上高13,161百万円(前期比3.0%増)、定常収入6,711百万円(同4.5%増)、営業利益649百万円(同29.8%減)、経常利益658百万円(同30.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益421百万円(同34.7%減)を見込んでいる。



2021年12月期からトラスト分野を分離し、本格的にトラストサービス市場への参入を図る予定である。このセグメント再編成により、流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業の4セグメントとなる。主力の流通クラウド事業は定常収入の積上げなどから増収増益予想だが、官公庁クラウド事業では防災行政無線デジタル化工事需要等が一服することから減収減益予想となっている。モバイルネットワーク事業は増収予想ではあるものの、コロナ禍で支給されたキャリアからの感染症対策支援金がなくなることなどから減益が見込まれている。なお、トラスト事業は投資が先行することから損失を計上する予想となっている。ただし、これらはかなり厳しく見た予想であることから、各事業の進捗によっては全体の業績が上振れする可能性もありそうだ。



2. セグメント別見通し

(1) 流通クラウド事業

セグメント売上高は3,984百万円(前期比5.5%増)、セグメント利益は362百万円(同51.6%増)と予想している。



@rms等のサービス提供拡大により定常収入は増加する見込み。中大規模小売向け@rms開発が一段落したことに伴いソフトウェア償却費は減少基調にあることから、増収増益を見込んでいる。ただし、上期は研究開発投資が集中することに加え、展示会への出展費用等が発生することから、セグメント利益は82百万円(前年同期比19.6%減)と減益予想だが、下期は定常収入の積上げにより利益率が改善することに加えて定常収入以外の案件も相対的に多く見込まれることから、セグメント利益は280百万円(同105.9%増)と増益が見込まれており、下期偏重型の予想となっている。開発案件としては、流通業界DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するための「C2Platform」の新機能「C2PF小売商談プラットフォーム」の開発に注力し、2021年6月のリリースを目指している。



(2) 官公庁クラウド事業

セグメント売上高は6,181百万円(前期比0.9%減)、セグメント利益は408百万円(同35.3%減)と予想している。防災行政無線デジタル化工事需要等が一服する見込みであることに加え、先行投資を進めることから減収減益が予想されている。



防災行政無線デジタル化工事及びGIGAスクール関連案件は、第1四半期までは需要が続くが、その後は一服する見込み。その一方で、デジタル庁発足を契機に、国・自治体業務のデジタル化が急速に進むことが予想されており、これらの関連案件に迅速に対応するため、システム開発を積極的に進める。合わせて、今後成長が見込まれる校務クラウドサービス「Clarinet」や総合防災サービスの開発・導入にも注力する。



(3) トラスト事業

セグメント売上高は86百万円(前期は流通クラウド事業の内数であるため前期比較はなし)、セグメント損失169百万円(同)を予想している。



既述のとおり同社は、2020年7月に「電子委任状取扱業務」の認定を取得したが、これと「時刻認証業務認定事業者(TSA)」の認定(2017年4月取得)、「公的個人認証サービス プラットフォーム事業者」の認定(2017年12月取得)を合わせることで、トラストサービスを提供するための準備が整った。そのため2021年12月期から、トラストサービス市場に本格参入することを決定し、この事業を新たに「トラスト事業」としてセグメント分けする。具体的には、マイナンバーカードを利用した簡易かつ確実な認証サービスを提供することで、企業間の契約や官公庁における申請等のデジタル化を推進する。現時点ではまだ開発投資が先行しているが、今後の成長が期待できる分野である。ただし、詳細のサービス内容や価格体系は現時点ではまだ決定していない。



(4) モバイルネットワーク事業

セグメント売上高は2,910百万円(前期比5.3%増)、セグメント利益320百万円(同8.3%減)と予想している。



緊急事態宣言を受けて営業時間の短縮等を実施した前期に比べて販売台数は回復することが見込まれるが、オンライン限定の格安プラン「ahamo」が2021年3月にサービス開始されるなど厳しい状況が続くことに加え、コロナ禍で支給されたキャリアからの感染症対策支援金がなくなること等から、利益率は低下する見込み。一方で、店舗の拡充や応対品質の維持・向上に努めることで、顧客ロイヤルティを高めていく方針である。



なお、「ahamo」については、リアル店舗とネット販売という視点では同社にネガティブな面も否定できないが、一方で他のキャリアとの相対比較という視点では、「ahamo」の登場がドコモ全体にとっては有利に働いており、同社にとってポジティブな要素もあるようだ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)