■業績動向



1. 2020年12月期連結業績の概要

サカタインクス<4633>の2020年12月期の連結業績は、売上高が前期比3.4%減の161,507百万円、営業利益が同15.9%増の7,212百万円、経常利益が同6.4%増の7,789百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.2%増の5,275百万円だった。2020年12月期の業績予想(2020年8月7日付修正値では、売上高161,800百万円、営業利益7,000百万円、経常利益6,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,200百万円)に対して、各利益は上振れて着地した。



平均為替レートは1米ドル=106.82円(2019年12月期は1米ドル=109.05円)で、為替換算影響排除後ベースでは売上高が前期比1.5%減収、営業利益が同19.2%増益、経常利益が同6.2%増益、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.6%増益だった。



売上面は、米州と欧州がパッケージ用インキの数量増などで増収となったが、日本、アジア、機能性材料がコロナ禍の影響(イベント中止や広告需要減少に伴うオフセットインキや産業用インクジェットインキの減少、各種工業製品の生産量減少や移動制限に伴う段ボール用・紙袋用フレキソインキの減少、テレワーク化に伴うオフィス用複合機のトナーの減少など)を受けて減収となり、全体として減収となった。円高による為替換算も影響した。



利益面は各利益とも従来予想を上回る増益で着地した。営業利益は、インキのコスト改善(原材料コスト削減効果、欧州の構造改革効果など)や、単価上昇(米州における製品MIX改善効果やブラジルの価格改定効果など)が増益要因となり、インキの販売数量減少、機能性材料における在庫評価減、為替換算影響などの減益要因を吸収した。売上総利益は0.8%減少にとどまり、売上総利益率は22.0%で0.6ポイント上昇した。販管費は営業活動の制約などで4.3%減少し、販管費比率は17.5%で0.1ポイント低下した。



経常利益は、営業外収益で持分法投資利益が減少(2019年12月期741百万円、2020年12月期314百万円)し、営業外費用で為替差損がやや増加したため、増益率が営業利益の増益率に比べて小幅にとどまった。親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等の減少で大幅増益となった。



なお四半期別に見ると、多くの地域でロックダウンや移動制限が発生した第2四半期に落ち込んだが、第3四半期から緩やかに回復傾向となっている。第1四半期は売上高41,269百万円で営業利益1,908百万円、第2四半期は売上高38,203百万円で営業利益1,273百万円、第3四半期は売上高39,945百万円で営業利益1,794百万円、第4四半期は売上高42,090百万円で営業利益2,237百万円だった。





米州は大幅増益、欧州は構造改革が進展

2. セグメント別動向

セグメント別(連結調整前、為替影響排除前)の動向は以下のとおりである。



印刷インキ・機材(日本)は、売上高が前期比7.3%減の48,071百万円、営業利益が同19.6%増の983百万円だった。売上面では、コロナ禍の影響で2020年12月期上期に巣ごもり消費関連の特需があったが、一方では、工業製品用途の需要減少やインバウンド需要減少で段ボール用・紙袋用フレキソインキが減少した。また広告需要減少やデジタル化進展で、新聞用・オフセット用インキ及び印刷製版用材料が低調だった。利益面では、軟包材用グラビアインキの堅調推移、価格改定(フレキソインキ、新聞用インキ)効果、コスト削減(原材料費、物流費、交通費など)効果で減収影響を吸収した。



印刷インキ(アジア)は、売上高が前期比7.6%減の32,597百万円、営業利益が同1.3%増の2,451百万円だった。売上面では、インドネシアやベトナムにおいてグラビアインキの数量が増加した。上期の事業活動に大きな制約を受けたインドや中国においても、下期は回復傾向となった。コロナ禍の影響を強く受けた情報メディア関連では、中国において下期は需要が回復したものの、インドは需要の回復が鈍く、通期では新聞インキ、オフセットインキともに販売が落ち込んだ。利益面では、原材料を中心にコスト削減を推進し、減収影響を吸収して増益を確保した。



印刷インキ(米州)は、売上高が前期比1.5%増の49,510百万円、営業利益が同51.8%増の2,953百万円だった。売上高は為替換算影響を除くベースで5.6%増収と順調だった。旺盛な個人消費を背景に、パッケージ用インキ(フレキソインキ、グラビアインキ、缶用インキ、UVインキ)の数量が増加した。米州では金属缶用インキの売上比率が高いため、コロナ禍の影響による家飲み需要で缶ビール等の需要が増加したことや、リサイクル機運の高まりでPETボトルからアルミ缶へのシフトが進行していることも寄与した。利益面では、数量増効果に加えて製品MIX改善効果や価格戦略改善効果も寄与して、大幅増益となった。



印刷インキ(欧州)は、売上高が前期比3.8%増の10,164百万円、営業利益が同432百万円の損失(2019年12月期は985百万円の損失)だった。売上面では、販売体制強化やコロナ禍によるプラス影響で、パッケージ用インキ(グラビアインキ、フレキソインキ、缶用インキ)の数量が増加した。利益面では、数量増効果に加えて構造改革効果(不採算だったフランス工場の閉鎖、イギリスとスペインの設備増強による内製化進展で外注費削減)により、赤字が縮小した。



機能性材料は、売上高が前期比4.9%減の11,844百万円、営業利益が同48.0%減の481百万円だった。同事業はコロナ禍の影響を大きく受けた。液晶パネルの市況改善でカラーフィルター用顔料分散液が堅調だったが、コロナ禍による広告需要減少でインクジェットインキ、テレワークに伴うオフィス需要の減少でトナーが低調となった。利益面では、減収影響に加えて在庫評価減も影響した。



3. 財務の状況

2020年12月期末の資産合計は、前期末比3,020百万円減少して145,272百万円となった。負債合計は同3,001百万円減少して63,850百万円、純資産合計は同18百万円減少して81,421百万円となった。特に大きな変動項目はないが、コロナ禍の影響に備えて手元資金を厚くしたため、借入金が増加して現金及び預金が増加した。自己資本比率は52.6%で0.9ポイント上昇した。財務の健全性に問題はないだろう。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)