■エコモット<3987>の業績動向



1. 2020年8月期の業績概要

(1) 損益計算書

2020年8月期は、決算期を3月から8月に変更したことから17ヶ月の変則決算となった。売上高が2,859百万円、営業損失が339百万円、経常損失が331百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が393百万円となった。当初計画比では、売上高が4.0%上回ったが、営業損失は259百万円増加した。第5四半期累計(15ヶ月)の売上高は2,487百万円、営業利益は65百万円と黒字であったものの、第6四半期(2ヶ月)に棚卸資産評価損412百万円を売上原価に計上したことから、同四半期は売上総利益の段階で267百万円の損失となった。また、ベンチャー企業に関わる投資有価証券評価損28百万円を特別損失として計上している。なお、一過性の棚卸資産評価損及び有価証券評価損の影響を除くと、営業利益は73百万円(計画比153百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は47百万円(同115百万円増)となる。ちなみに、全株式を取得して連結対象としたストークは第3四半期から損益計算書に反映されているものの、連結子会社の事業規模は小さい。



3月期決算時には、4つの主要なソリューションのうち、3つが下期(10〜3月)偏重のため、上期(4〜9月)に営業損失が発生し、下期の利益で通期の黒字化を果たす季節的なパターンが見られた。一例を挙げると、2019年3月期のサービス別売上高の上下比率は、インテグレーションソリューションが36.4%:63.6%、コンストラクションソリューションが43.1%:56.9%、モニタリングソリューションが15.3%:84.7%、GPSソリューションが52.0%:48.0%であった。一方で、売上高の季節的変動は大きいものの、販管費に大きな差異はない。第4四半期にならないと通期の収益見通しのめどが立たず、年間を見通した事業運営に支障があるため、決算期を変更した。なお、17ヶ月決算となった2020年8月期は、半期毎に分けると需要期が1回、不需要期が2回入ったことになる。



同社は、事業基盤強化及び生産性向上、キャッシュ・フロー改善の取り組みの一環として、棚卸資産の評価法を精緻化したことで棚卸資産評価損を計上した。対象となった製品と計上された評価損額は、カーテレマティクス端末「TMX-DM03」で204百万円、エッジAIカメラ「MRM-900」で104百万円、その他で104百万円の計412百万円であった。評価替えの理由として、「TMX-DM03」はGPSソリューションの戦略商品であるが、新型コロナウイルス感染症拡大により大口顧客の受注のずれ込み、他の顧客へのリプレイス営業活動の低下が挙げられた。エッジAIカメラは、引き合いや受注があるものの想定した水準になく、2021年8月期以降の見通しが不透明だったことが挙げられる。加えて、案件ごとにAI画像学習モデルの作成が必要であり、提案から受注までのリードタイムが長いこともある。ただし、両製品とも積極的な営業活動を展開しており、評価損の計上により製造原価が低減しているため、売上に伴い利益拡大に寄与することが期待される。



2. 財務状況

(1) 貸借対照表

2021年8月期第2四半期末の総資産は前期末比87百万円増の2,047百万円であった。現金及び預金が90百万円増加、売上債権(受取手形及び売掛金、電子記録債権)が57百万円増加した一方、商品及び製品が25百万円減少、原材料及び貯蔵品が26百万円減少した結果、流動資産は96百万円増加した。固定資産は8百万円減少した。流動負債は99百万円増加した。支払手形及び買掛金が20百万円減少し、その他の流動負債が100百万円増加した。有利子負債合計は38百万円減少した。この結果、財務の健全性を見る流動比率は308.4%、より長期的な比率となる自己資本比率は52.9%といずれも高い。



(2) キャッシュ・フロー計算書

2020年8月期末の現金及び現金同等物の期末残高は610百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失が362百万円あったことから278百万円の出金となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入104百万円があったが、無形固定資産の取得による支出71百万円及び投資有価証券の取得による支出が38百万円あった。財務活動によるキャッシュ・フローの入金は141百万円であった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)