■業績動向



1. 2020年12月期業績概要

JIG-SAW<3914>の2020年12月期連結業績は、売上高が前期比22.0%増の2,192百万円、営業利益が同0.4%減の313百万円、経常利益が同26.5%減の454百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同26.8%減の326百万円となった。



2019年12月期に再加速に転じた売上高は、2期連続で20%台の成長を実現し、解約率の低い月額課金案件と堅調な受注積み上げにより、上場以来24四半期連続で過去最高売上を更新した。一方で、先行投資を一段と積極化したため、営業利益は2期連続での減益となったものの、四半期推移を見ると、第1四半期37.4%減、第2四半期10.9%減、第3四半期4.3%増、第4四半期69.8%増と右肩上がりの傾向が確認できる。また、先行投資負担の影響を一部考慮した利益指標であるEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)を見ると、3期振りに前期比プラスに転じている。



2020年12月期末における資産合計は、2,175百万円と前期末比で24百万円減少した。内訳を見ると、流動資産が同49百万円減少、固定資産が同25百万円増加となった。流動資産減少の主因は、現金及び預金が同214百万円減少したこと、固定資産増加の主因は、建物(純額)が同82百万円増加したことによる。一方、負債合計は、592百万円と同160百万円減少した。主因は、有利子負債残高が233百万円と、同75百万円減少したことによる。



資産と負債の増減により、純資産は、同136百万円増加して1,583百万円となった。この結果、期末の自己資本比率は、72.8%と前期末比7.1ポイント上昇、流動比率は、339.8%と同40.4ポイント上昇した。なお、ROEは21.6%、ROAも20.8%と、資産に対する収益性は高水準にある。



2020年12月期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比214百万円減の890百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加等により18百万円の支出超、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形・無形の固定資産取得等による支出を投資有価証券売却による収入で補いきれず、134百万円の支出超となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により、68百万円の支出超となった。



2. 2021年12月期業績見通し

2021年12月期については、国内だけにとどまらないグローバルなIoT事業の大きな成長とそのための事業投資に関する不確定な要素が多く、適正かつ合理的な業績予想の策定が困難であることを理由に業績予想を開示していない。しかしながら、ストック型ビジネスの堅調な推移により、現時点において過去最高の売上高の更新が見込まれる状況としている。既存事業領域で積極的な投資を行っていることは、同社の自信の表れである。旺盛な需要を取り込んで高い増収ペースが維持される可能性は高いと弊社では見ている。なお、同社は、自社のコア技術を応用したプロジェクトとして再生医療分野や自動運転・自動操縦分野での取り組みを継続しているが、現時点では短期業績への影響は軽微と見られる。



新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、同社は、東京オフィスの従業員の約7割を在宅勤務としているが、これまで問題は生じておらず、札幌拠点及び北米拠点でのコントロールセンター業務についても、2021年に札幌新コントロールセンターが稼働することで一段と安定感が増すことが見込まれるため、懸念すべき点は取り立てて見当たらないと弊社では考えている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)