■業績動向



1. 2021年2月期の業績概要

クリーク・アンド・リバー社<4763>の2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比13.3%増の37,314百万円、営業利益で同17.4%増の2,447百万円、経常利益で同18.1%増の2,485百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同21.2%増の1,647百万円と2ケタ増収増益となり、2期連続で過去最高を更新した。また、コロナ禍のマイナス影響を反映して2021年1月に修正発表した会社計画に対しても、売上高、各利益ともに上回って着地した。



売上高については、韓国で映像派遣事業を展開しているCREEK & RIVER ENTERTAINMENTを新たに連結子会社化したことにより約32億円、2020年8月よりウイング、きづきアーキテクトを連結子会社化したことにより約4億円の増収要因となっており、これら影響を除いた既存事業ベースでは、売上高で約2%の増収、営業利益で約16%の増益だったと見られる。



また、コロナ禍による業績へのマイナス影響額は売上高で20億円、営業利益で6億円となった。事業セグメント別で見ると、クリエイティブ分野(日本)と法曹・会計分野において2020年3月以降、新規稼働(派遣)、新規成約(紹介、請負)が遅れた影響、並びにアウトソーシング案件の受注が減少したことにより、売上高で12億円、営業利益で2.5億円のマイナス要因となったほか、医療分野で同社主催の「レジナビフェア」の開催が3月以降中止を余儀なくされたことにより、売上高で6億円、営業利益で3億円のマイナス要因となった。また、その他にもアパレルショップへの派遣需要減や、VR機材の調達先メーカーにおける生産ラインがストップしたことによる注文キャンセル発生等により、売上高で2億円、営業利益で0.5億円のマイナス影響が出た。四半期別で見ると、第2四半期(2020年6〜8月)のマイナス影響額が最も大きく、売上高で11.5億円、営業利益で2.6億円となった。この影響で第2四半期の営業利益は前年同期比で15%減となったが、その他の四半期について見れば、コロナ禍の影響を受けるなかでも2ケタ増収増益を維持した点は注目されよう。



事業別売上高を同社が開示している売上構成比から試算すると、プロデュース事業は前期比1.3%減の12,686百万円、エージェンシー(派遣)事業は同34.1%増の16,791百万円、エージェンシー(紹介)事業は同1.8%減の4,850百万円、ライツマネジメント事業他は同13.3%増の2,985百万円となり、プロデュース事業とエージェンシー(紹介)事業が若干ながら減収となった。プロデュース事業の減収は、主にWeb分野におけるアウトソーシング事業の受注がコロナ禍の影響で落ち込んだことによる。エージェンシー(紹介)事業については、会計・法曹事業がコロナ禍の影響で落ち込んだことが主因となっている。一方、エージェンシー(派遣)事業については、韓国子会社を新規連結したことやゲームを中心にクリエイティブ分野の派遣事業が堅調に推移したことが増収要因となった。また、ライツマネジメント事業では、電子書籍販売やYouTube「The Online Creators」※の運用収入などが好調に推移した。



※YouTubeで活躍するクリエイターの制作、収益化、ブランディング等の支援を行いながら、クリエイターの価値向上をサポートしているほか、企業やテレビ番組のYouTubeチャンネルの運用受託を行っている。





売上総利益率は前年同期の38.1%から35.7%に低下したが、これは韓国子会社を新規連結したことが主因で、韓国事業を除けば38.4%と前年同期から0.3ポイント上昇した。労働者派遣法において2020年4月より同一労働同一賃金制度が導入されたことに伴い派遣単価の是正が進んだことや、プロデュース事業の利益率が販売構成比の変化により改善したことが主因となっている。



販管費率については前期の31.8%から29.2%(韓国事業を除くと31.3%)に低下した。人員の増加により人件費は前期比7.8%増となったものの、コロナ禍を受けた全社的な経費削減に取り組んだことでその他販管費が抑制された。具体的には、全社でリモートワーク体制を導入したことにより、交通費や会議費、交際費等が合わせて前期比1.5億円減少した。なお、出社率については2020年6月以降の緊急事態宣言解除後でおおむね50%程度で推移しており※、コロナ収束後においても50%程度が最適水準になるものと会社側では見ている。



※2回目の緊急事態宣言が発出された2021年1月〜3月は30%台で推移している。





なお、特別損失として新型コロナウイルス感染症による損失や投資有価証券評価損、関係会社株式評価損等を合わせて121百万円計上した。このうち、関係会社株式評価損3百万円は連結子会社であったエコノミックインデックス(以下、EI社)の保有株式を2021年3月にすべて売却し、非連結化したことに伴う損失となっている。EI社は独自のデータ解析技術を持つ情報分析サービス会社で、同社のクリエイティブコンテンツの付加価値向上を目的に2015年5月にグループ化したが、両社において十分なシナジー効果を発揮するに至らず、EI社の業績も損失が続いていたことから売却することとなった※。



※エコノミックインデックスの2020年12月期業績は売上高30百万円、営業損失30百万円。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)