■業績見通し



2. 事業セグメント別見通し

(1) クリエイティブ分野(日本)

クリエイティブ分野(日本)の売上高は前期比7.4%増の28,000百万円、営業利益は同12.7%増の2,000百万円を見込む。テレビ・映像分野では放送局における制作コスト削減の動きが懸念されるものの、コンテンツの企画・制作力強化を図ることで、2022年2月期も増収増益を見込んでいる。具体例として、クリーク・アンド・リバー社<4763>が企画・制作したテレビ番組「家事ヤロウ!」(テレビ朝日系列)が、Instagramのテレビ番組公式アカウントのフォロワー数で国内トップとなる197万人(2021年4月時点)となるなど好評を博しており、放送枠も2021年4月より深夜帯からゴールデンタイムに昇格した。ゴールデンタイムに昇格すると制作予算枠も拡大され、増収要因となる。



前期好調だったゲーム分野も開発需要は旺盛で増収増益が続く見通し。Web分野はアウトソーシング事業の受注状況が依然鈍いものの、派遣需要が回復してきたことから若干の増収増益で見込んでいる。電子書籍・YouTube関連については市場拡大を追い風に2ケタ成長が続く見通しだ。なお、前期に子会社化したGruneを2022年2月期より連結対象に組み入れる。売上規模は1億円程度とまだ小さいものの、VR/AR、3D技術を活用したWeb制作やアプリの開発、コンサルティングを強みとしており、同社で展開する建築・Web事業とのシナジーの創出を図っていくほか、グループ顧客基盤を活用していくことで、事業規模の更なる拡大を目指していくことになる。そのほかの新規エージェンシー事業については各分野とも人材ネットワークの拡充に取り組んでいくほか、ドローン事業の育成に注力していく方針となっている。ドローンの産業用途での活用に向けた法整備(規制緩和)が2022年頃に進むと見られており、事業の本格拡大に向けて積極的な投資を行っていく予定にしている。



(2) クリエイティブ分野(韓国)

クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比4.0%増の3,400百万円、営業利益は20百万円(前期は49百万円の損失)を見込む。前述したように、不採算だったゲームソフトのライツマネジメント事業を終息したことで、黒字化する見通しだ。韓国経済の低迷によって、テレビ業界向け派遣需要の伸び悩みが懸念されるものの、新たにWebマンガ市場向け取り組みを強化しているほか、Youtubeなどインターネット動画分野にも事業領域の拡大を進めており、テレビ業界以外の市場を開拓していくことで成長を目指していく方針だ。



(3) 医療分野

医療分野の売上高は前期比7.1%増の4,200百万円、営業利益は同10.5%増の800百万円と2期ぶりの増収増益に転じる見通し。医師の派遣需要が引き続き堅調に推移するほか、「レジナビフェア」のオンライン化による収益貢献を見込んでいる。前期にコロナ禍によるマイナス影響額が売上高で6億円、営業利益で3億円あったことを考慮すると、会社計画は保守的な印象が強い。



「レジナビフェア」については売上高で2億円強と若干の増収にとどまるものの、営業利益は黒字に転換するものと予想される。オンライン化によって、1開催当たりの売上規模は小さくなるが、イベント開催費用も大幅に減少するためだ。前期はオンライン化による収益モデル確立のための試行期間となっていたが、既に黒字化を実現している。紹介動画作成・配信料や医学生・研修医とのマッチングの際に発生する成果報酬を獲得していくビジネスモデルとなるため、参加する医療施設や医学生・研修医を多く獲得していくことによって、収益も拡大していくことになる。



(4) 会計・法曹分野

会計・法曹分野の売上高は前期比5.3%増の2,100百万円、営業利益は同9.5%増の110百万円と2期ぶりの増収増益に転じる見通し。売上水準は過去最高を記録した前々期とほぼ同水準まで回復するものの、営業利益についてはやや保守的に見ている。足元の需要動向がまだ本格回復までには至っておらず、感染拡大の収束が見えないなかで保守的な計画となっているようだ。



(5) その他事業

子会社7社で構成するその他の事業の売上高は前期比13.6%増の2,500百万円、営業損失は50百万円(前期は104百万円の損失)となる見通し。



注目される事業としてVR、AI分野が挙げられる。VR市場は5Gの普及拡大によって超高速大容量のリアル配信が可能となったことに加え、コロナ禍で非接触が求められる社会様式となったこともあり、BtoC市場だけでなくBtoB市場での本格成長が予想される。同社と子会社のVR Japanでは今まで、法人向けのVR/AR/MR関連サービスで4千件超の導入実績を積み重ね、コンテンツ制作も含めて豊富なノウハウを蓄積してきたことから、今後の市場拡大に伴う収益成長期待は大きい。特に、VR JapanではVRゴーグルの仕入販売だけでなく、ソリューション事業の拡大が見込まれる。具体的には、VR遠隔教育システムの導入が医療機関などで進む見通しとなっている。360度全方位カメラ等で撮影された動画を5Gの高速通信を用いてライブ配信し、VR機器で視聴する遠隔教育システムとなる。同ソリューションは医療分野だけでなく、建設・製造分野における教育研修や監視システムとしての利活用も見込まれており、今後の成長が期待される。



一方、AI分野ではIdrasysが提供するAI予測ツール「Forecasting Experience」が注目される。直販だけでなく販売代理店を通じた拡販を進めており、契約件数は当初の想定以上に伸びているもようで、今後も機能開発を含めて積極的に投資を行い、事業拡大を目指していく方針となっている。



そのほかの子会社について見ると、リーディング・エッジ社に関しては引き続きエンジニアの採用・育成に取り組み、需要が旺盛なロボット・AI業界等向け派遣サービスの拡大により10%超の売上成長を目指していく。利益面では投資も継続するため、若干増を見込む。ファッション分野のインター・ベルは、派遣サービスが伸び悩むものの、オンライン接客やライブコマース等の新たなサービスの提供に取り組むことで、若干の増収増益を見込んでいる。人材メディア事業を展開するプロフェッショナルメディアについては、「DXキャリア」を基盤としたメディア事業やエージェンシー事業の拡大に取り組んでいく計画だ。企業と弁護士のマッチングプラットフォーム「JURISTERRA」の開発を行う米子会社については、一部機能を使った紹介サービスを継続しながら、プラットフォームの実用化に向けた開発を進めていく計画となっている。2020年10月に子会社化したきづきアーキテクトでは、東京都の「5G技術活用型開発等促進事業」におけるスタートアップ企業支援を同社と協業しながら推進していく予定となっている。



また、同社は2021年4月7日付でブロックチェーンエンターテインメントプラットフォーム「PlayMining」を開発・運営するシンガポールの急成長企業、Digital Entertainment Asset Pte.Ltd.※に資本出資したことを発表している。今後、「PlayMining」経済圏の重要なコンテンツであるゲーム領域において、両社が持つ開発・運営ノウハウ、技術力及びリソースを活用しながら、ブロックチェーンゲームの開発やNFT(Non Fungible Token)のアート領域での協業を通じて、クリエイターの生涯価値の向上及びゲーム分野のグローバルな事業拡大を目指していく意向を示している。



※2018年設立のNFT(Non Fungible Token)を活用したプロックチェーンゲームの開発・運営を手掛け、プラットフォームとなる「PlayMining」の登録ユーザー数は70万人を超えている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)