ナノキャリア<4571>は13日、2021年3月期決算を発表した。売上高が前期比43.3%減の3.13億円、営業損失が13.02億円(前期は11.05億円の損失)、経常損失が12.78億円(同11.44億円の損失)、当期純損失が28.35億円(同20.09億円の損失)となった。純損失の拡大については、2020年9月のアキュルナ社吸収合併にともなったのれん償却の15.53億円が含まれる。



臨床パイプラインについて、Vascular Biogenics (イスラエル、以下「VBL」)からライセンスを取得した遺伝子治療製品VB-111は、プラチナ抵抗性卵巣がんを対象に国際共同第III相臨床試験(OVAL試験)が実施されており、国内の施設においても患者リクルートが開始された。患者投与に向け準備が進んでいる。本製剤は、VBLにおいて海外で大腸がん及び膠芽腫の第II相臨床試験も進められており、適応症拡大も期待される。セオリアファーマと共同開発中のENT103は、国内で中耳炎を対象とした第III相臨床試験を実施しており、患者登録加速化を図っている。NC-6004(シスプラチンミセル)は、頭頸部がんを対象に、2020年11月、欧州、台湾においてNC-6004及び免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ(R)」との併用による第IIb相試験を開始した。NC-6300(エピルビシンミセル)は、軟部肉腫を対象にオーファンドラック指定を受け、米国で軟部肉腫の一種である血管肉腫に絞った例数追加試験を実施し、2020年10月に患者登録が完了している。NC-6100(SRN-14/GL2-800)は、乳がんの約50%で過剰発現する転写因子PRDM14に対するsiRNA医薬として、再発乳がんを対象に2020年9月より医師主導第I相臨床試験が開始された。



パイプライン拡充については、吸収合併したアキュルナが進めていた核酸医薬品の研究を継承し推進している。長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ)医薬は、次期パイプライン候補として、非臨床試験を推進している。軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNA医薬は、アクセリードと共同でPrimRNAを設立し、非臨床試験の実施、GMP製造の確立及び第I相臨床試験の実施に向け、事業を開始した。アキュルナから継承した核酸医薬のDDS技術など、アカデミアとの共同研究や企業との協働により新規パイプラインの拡充を推進する。



2022年3月期通期の業績予想については、売上高が前期比27.2%減の2.28億円、営業損失が18.04億円、経常損失が17.51億円、当期純損失が17.34億円を見込んでいる。

引き続き、臨床パイプラインのライセンス/承認による早期収益化と革新技術の取り込みを推進し、グローバルで最先端な治療薬の獲得や収益化を見込んだ次世代モダリティ技術による創薬事業の拡大などを進めるとしている。