■パイプドHD<3919>の業績動向



● 2021年2月期の業績概要

(1) 損益状況

2021年2月期は、売上高6,524百万円(前期比5.1%増)、営業利益1,427百万円(同2.6%増)、経常利益1,455百万円(同3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,226百万円(同78.2%増)となった。第1四半期にはコロナ禍の影響を大きく受けたが、下期以降は回復に向かい通期では営業増益を確保した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増益となった要因については、2020年2月期に投資有価証券評価損を計上していたことに加え、2021年2月期には米国株式の売却益を計上したことによる。



セグメント別では、主力の情報資産プラットフォーム事業が前期比6.4%増収、同9.3%増益となり全体の業績を牽引した。また、販促CRMソリューション事業はコロナ禍の影響で減益となったものの、広告事業、xTech事業及び社会イノベーション事業については、金額は少ないものの増益となった。また四半期別では、特に第4四半期で前年同期比14.8%増収となっており、回復傾向を裏付けている。



損益面では、比較的利益率の高い情報資産プラットフォーム事業の売上構成比が上がったこと、不採算子会社を整理したことなどから売上総利益率は75.3%(前期は72.3%)へ改善し、売上総利益は4,910百万円(前期比9.4%増)となった。販管費は、コロナ禍の影響による営業費用(出張費等)の減少があったものの、新卒採用による人件費増等により同12.4%増となった。その結果、営業利益は同2.6%増を確保した。



売上高は前期比316百万円増加したが、増減要因としては、情報資産プラットフォーム事業が273百万円増(うち「SPIRAL(R)」280百万円増)、販促CRMソリューション事業が2百万円増(うちデジタルCRM18百万円減、EC運営支援18百万円減、開発請負47百万円増)、広告事業が40百万円増(うちスパイラルアフィリエイト(R)65百万円増)、xTech事業/社会イノベーション事業1百万円減(うちBIM15百万円増、マイ広報紙7百万円増、ネット投票6百万円増、オーダーメイド人材育成代行25百万円減)であった。オーダーメイド人材育成代行は事業から撤退したことで前期比では減収となった。



営業利益は前期比36百万円増加したが、主な増加要因は、売上高増による増加316百万円、外注費の減少77百万円(主に内部人事の育成効果による)など。主な減少要因は、人件費/研修費の増加164百万円(主に人員増)、業務委託費の増加113百万円(案件により外部委託が増加)、販売促進費の増加58百万円、その他費用の増加20百万円であった。



(2) 従業員数の推移

同社では2020年2月期を最終年度とする中期経営計画の達成のために、2018年2月期から2019年2月期にかけて積極的に人材の採用(先行投資)を行い、2019年2月期末には従業員数は466名となった。その後、2020年2月期は新卒を含めて新規の採用を控えたことから、2020年2月期末の従業員数は418名まで減少した。しかし今後の成長を見据えて、2021年2月期に入ってからは新卒37名、第二新卒11名を採用した結果、自然減と合わせて2021年2月期末の従業員数は454名(前期末比36名増)となった。



(3) セグメント別損益状況

「機能別事業群」の状況は以下のとおり。



a) 情報資産プラットフォーム事業

売上高は4,522百万円(前期比6.4%増)、営業利益は1,551百万円(同9.3%増)となった。期末の「SPIRAL(R)」有効アカウント数が3,772件(前期末は3,680件)と増加したことなどから、契約販売(クラウド利用の月額課金)は堅調に推移した。一方、スポット的な売上である一般販売は、コロナ禍の影響による営業活動の自粛、商談の先送りなどが発生した。この事業の主力製品はクラウドであることから、損益分岐点を超えてからの利益率は高く、さらに人件費を中心とした経費増が抑制されたことから、増収に伴ってセグメント利益は増益となった。



b) 販促CRMソリューション事業

コロナ禍の影響により顧客側の需要が減少し、売上高は965百万円(前期比0.2%増)と微増収に止まった。主力のEC支援では、一般向けは比較的堅調であったものの、主力のアパレル業界向けがコロナ禍の影響を受けて低調であったことから、売上高は微増に止まった。その結果、経費増を吸収できず、営業利益は同61.5%減の32百万円となった。



c) 広告事業

売上高は768百万円(前期比5.6%増)、営業利益は319百万円(同3.4%増)となった。全体的にはコロナ禍の影響で経済活動停滞の影響を受けたものの、一部ではWeb広告へのシフトも見られた。



「分野別事業群」の状況は以下のとおり。



d) xTech事業

IT技術の利活用により企業や団体の垣根を越えて情報を共有することで、業界に革新的なサービスを創出することが期待できる事業を行っている。BIMは堅調に推移したものの、「美歴(R)」は主要顧客である美容院がコロナ禍の影響を受け低調に推移し、売上高は180百万円(前期比4.5%減)となった。利益面では、不採算子会社を解散(2019年12月)したことなどにより、営業利益は7百万円(前期は34百万円の損失)となり前期比では改善した。



e) 社会イノベーション事業

個々の企業や業界の内部にある問題の解決だけでなく、それらの枠を超えて存在する社会的問題の解決を図ることを目的とした公益性の高い事業を行う。売上高は86百万円(前期比9.3%増)、営業損失22百万円(前期は41百万円の損失)となった。コロナ禍の影響を受けて様々なイベントが中止や延期となり「I Love下北沢」「シモキタコイン(R)」などが大きな影響を受けた。一方で自治体向け広報紙のオープン化・活用サービス「マイ広報紙」は順調に拡大が続いている。2021年2月期末には掲載自治体が931となり、国内の自治体数の5割超をカバーするまでになっている。このセグメントは、依然として小規模であり収益への貢献は少ないが、将来的には期待できる分野でもある。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)