■業績予想



1. 2021年8月期の業績見通し

USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は2021年8月期の業績見通しに関して、売上高204,000百万円(前期比5.6%増)、営業利益15,500百万円(同42.4%増)、経常利益14,500百万円(同43.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円(同52.8%増)と見込んでいる。加えて、第2四半期の決算発表に合わせ通期の業績見通しを上方修正したが、売上高で2,000百万円増、営業利益で4,500百万円増、経常利益で4,300百万円増、親会社株主に帰属する当期純利益で2,500百万円増という大幅な上方修正となった。



店舗サービス事業の堅実性やコンテンツ配信事業の利益成長期入りなど第2四半期の業績に加え、各事業の下期へ向けての業績トレンドを考慮した。売上面では、コロナ禍の影響が大きい業務用システム事業やエネルギー事業が当初予想を下回るものの、通信事業やコンテンツ配信事業が想定以上に伸びていることで、通期の売上高は当初予想より微増となる見込みである。利益面では、収益拡大中の通信事業とコンテンツ配信事業に加え、店舗サービス事業の底堅さや業務用システム事業の段階的な回復、さらにグループ全体で取り組む原価と販管費の圧縮や生産性の改善を織り込み、各段階の利益で大幅な上方修正となった。



事業別営業利益の修正ポイントは、店舗サービス事業が、主要顧客である中小事業者の業況を考慮して予想を保守的に組んでいたこと、既存客の回復や新業種の開拓などにより第2四半期には音楽配信、その他商材ともに堅調に推移したこと、下期へ向けて契約件数がストックとして積み上がってきていること、償却や採用によるコストアップの一方で販管費コントロールが見込まれることで、通期では18億円という大幅な上方修正となった。通信事業は、上期に法人向けICTや回線取次が上振れて推移、のれん償却も終了、好採算の自社回線は順調に成長中だが、販促の拡充や下期の回線取次の弱含みを想定し、営業利益は小幅の上方修正にとどまった。業務用システム事業は、下期にホテルの段階的な回復と病院によるDX投資が期待できるが、ホテル市場の回復が想定より遅れているため下方修正となった。コンテンツ配信事業は、下期にコンテンツと販促を強化するための費用を積み増すが、課金ユーザーの伸びが想定を上回りPPVも好調に推移しているため、30億円という大幅な上方修正となった。エネルギー事業は、電力消費量が上期は想定に届かず下期は季節要因で減少の見込みだが、東京電力との新施策により利益を確保できたことで若干の上方修正となった。セグメント別営業利益見通しでは、このように2021年8月期通期も各事業間で売上・利益にばらつきが出る見込みだが、営業利益全体としては、事業ポートフォリオ効果によって期初の微増益見通しから大幅増益見通しへと上方修正となった。





中期経営計画「NEXT for 2024」を3年前倒し達成へ

2. 中期成長イメージ

同社は2019年6月に、「必要とされる次へ。」をスローガンに5ヶ年の中期経営計画「NEXT for 2024」を策定した。基本戦略は、1)顧客資産の最大活用と安定収益基盤の構築、2)キャッシュカウ事業の更なる強化及びその創出資金による成長領域への積極投資、3)労働環境の見直しによる生産性の向上・業務効率化、4)財務バランスの最適化、5)持続可能な成長投資と継続的な株主還元、の5つである。事業を3つのポートフォリオ※に区分することで、現在まで投資などにメリハリを付けながら基本戦略を遂行してきた。この結果、2020年8月期に中期経営計画の中間目標を2年前倒して達成、2021年8月期には最終目標を3年前倒して達成する見込みとなった。2022年8月期以降、コロナ禍で苦戦した事業の回復や事業間でばらつきのない順調な利益成長が期待できると考えられる。特にコンテンツ配信事業に関しては、映像市場やエンタメ市場は巨大で動画視聴のDX化が急速に進んでいることもあり、想像を超えるスピードで成長する可能性があると考える。早ければ2021年8月期の本決算で次期中期経営計画が発表されると思うが、内容に注目したい。



※事業ポートフォリオ:顧客基盤が盤石でキャッシュカウな安定高収益事業(音楽配信事業)、安定したニーズで成長を続ける安定成長事業(業務用システム事業、法人向けICT/SaaSサービス)、将来の収益源と期待される高成長事業(コンテンツ配信事業、店舗向けIoT/DXサービス)としている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)