■業績の動向



1. 2021年3月期決算の概要

(1) 損益状況

エレマテック<2715>の2021年3月期の業績は、売上高180,218百万円(前期比2.6%増)、営業利益5,463百万円(同14.6%増)、経常利益5,179百万円(同15.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,666百万円(同12.4%増)となった。



上期はコロナ禍の影響で減収となったが、下期に入り回復傾向が強まり通年では増収を達成した。自動車向けが減少し黒物家電向けも低調であったが、半導体製造装置等の設備用部材やアフターマーケットでのドライブレコーダー向け、巣ごもり需要によるTOY・ホビー向けが好調に推移した。地域別では欧州とその他アジアが減収となったが、日本と中国は増収・増益となった。



利益面では、売上総利益率は前期の9.8%から9.7%に低下したがこれは商品構成の変化による。販管費は前期比3.3%減の11,974百万円となったが、売上高が増加したことから販管費率は前期の7.1%から6.6%へ低下した。販管費の減少(412百万円)の内訳では、人件費が82百万円増(前期比1.2%増)となったが、主に昇給や昇格による。荷造運賃は増収や物流のひっ迫による運賃高騰により前期比では236百万円増(同12.2%増)となった。その他費用は731百万円減少したが、コロナ禍の影響で出張を一時的に自粛したことや旅費交通費が減少したことが主要因。



同社は輸出型の商社であることから、業績は為替レートの影響(円高マイナス、円安プラス)を受ける。会社によれば、1円の変動で売上高は約1,200百万円、経常利益は50百万円の影響を受けるとのこと。2021年3月期の対ドル平均レートは106.10円(2020年3月期は108.70円)であった。



コロナ禍の影響については、第1四半期には自動車向けを中心に大きく影響を受けたが、第2四半期以降は回復し、現在ではほぼ以前を上回るレベルに戻っている。下期だけを見ると、増収増益となった。



(2) 地域別状況

地域別売上高は、日本が103,634百万円(前期比5.5%増)、中国が36,776百万円(同11.2%増)、その他アジアが31,457百万円(同8.4%減)、欧米が8,350百万円(同17.0%減)となった。国内が増収となったのは主にアフターマーケット向けのドライブレコーダー等が好調だったことによる。中国はコロナ禍の影響が比較的早く収まったことに加え、電気・電子部品関連に加えてTOY・ホビー向けが比較的好調であったことから2ケタの増収となった。その他アジアは顧客事情により黒物家電向け(主にTV向け)が不振だったことに加え、マレーシアなどがコロナ禍の影響を大きく受けて減収となった。欧米では、特に上期に欧州での自動車向けが大きく落ち込んだことから、通年でも減収となった。



セグメント利益は、日本が2,470百万円(同13.9%増)、中国が1,424百万円(同72.2%増)、その他アジアが854百万円(同21.4%減)、欧米が261百万円(同26.5%減)となった。日本と中国は増収に伴い大幅増益となった。その他アジア及び欧米は減収により減益率が大きくなったが、金額が小さいことから全体への影響は小さかった。



(3) 財務状況

流動資産は95,333百万円(前期末比9,056百万円増)となったが、主に現金及び預金の増加4,490百万円、受取手形及び売掛金の増加4,380百万円、たな卸資産の増加234百万円などによる。固定資産は5,984百万円(同479百万円増)となったが、主に投資その他の資産の増加552百万円(投資有価証券の増加228百万円、退職給付に係る資産の増加210百万円等)による。この結果、2021年3月期末の資産合計は101,317百万円(同9,536百万円増)となった。



一方で、負債合計は46,903百万円(同6,018百万円増)となったが、主に流動負債のうち、支払手形及び買掛金の増加4,828百万円、短期借入金等の増加138百万円などによる。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加2,521百万円などを受けて54,413百万円(同3,517百万円増)となった。この結果、2021年3月期末の自己資本比率は53.7%(前期末55.5%)となった。



(4) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは6,104百万円の収入となった。主な収入は、税金等調整前当期純利益の計上5,179百万円、減価償却費669百万円、仕入債務の増加3,555百万円などとなっている。主な支出は、売上債権の増加3,245百万円などとなっている。なお営業活動によるキャッシュ・フローが前期に比較して大幅に増加しているように見えるが、これは2019年3月期末が銀行休業日であったことから、前期のキャッシュ・フローが一時的に減少したことによるもので、今回の水準が通常レベルに戻ったと言える。



投資活動によるキャッシュ・フローは747百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得676百万円など。財務活動によるキャッシュ・フローは1,264百万円の支出だったが、主に配当金の支払額1,146百万円による。この結果、現金及び現金同等物は4,490百万円の増加となり、2021年3月期末残高は27,877百万円となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)