■業績動向



1. 2021年3月期業績

プロスペクト<3528>の2021年3月期の連結業績は、売上高10,510百万円(前期比56.1%増)、営業損失395百万円(前期は1,281百万円の損失)、経常損失586百万円(同435百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益55百万円(前期比76.5%減)となった。



売上高が前期比で大幅増となったが、これは前期にはアセットマネジメント事業の売上高が1,010百万円のマイナスとして計上されていたためで、このアセットマネジメント事業の売上高を除くと前期比35.9%の増収となる。セグメント別では、不動産事業は増収ながら営業損失を計上した。再生可能エネルギー事業は順調に拡大し増収増益となった。また2021年2月から開始した投資事業も営業利益を計上した。全社費用721百万円を控除した結果、営業損失は395百万円となった。



なお、持分法による投資損失(ロシアのペレット事業子会社)373百万円を営業外費用として計上したことから、経常損失額は営業損失額を上回っている。また、保有するカナダ上場株式の投資有価証券評価損1,952百万円を第1四半期に計上、その後売却したことで売却益2,207百万円が発生し、255百万円(ネット)を特別利益として計上した。同様に、太陽光発電事業における投資の回収可能性の見直しに伴う出資金についても、当初は評価損487百万円を計上したが、最終的には426百万円の売却益を計上したことから、ネットでは60百万円の損失計上となった。また、グローベルスの子会社化に伴う負ののれん発生益280百万円も特別利益として計上している。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は55百万円を計上した。ポートフォリオの見直しに伴い、投資有価証券や出資金の一部を売却して資金を得たので、バランスシートの適正化が進んだと言える。



2. セグメント別状況

(1) 不動産事業

既述のとおり2021年3月期からセグメント変更を行い、変更前の不動産販売事業マンション分譲、土地建物、注文住宅及び不動産賃貸業と、株式交換により完全子会社化したグローベルスが営んでいる戸建住宅の販売及び商業施設建築事業を集約し、不動産事業に変更した。



2021年3月期での新規契約の主なものは、マンション分譲で99戸、3,685百万円(前期は45戸、2,016百万円)、注文住宅で59棟、1,578百万円(同47棟、1,276百万円)、戸建分譲で13棟、1,486百万円(前期比較なし)であった。一方で売上高の主なものは、マンション分譲で100戸を引渡し、3,730百万円(同56戸、2,602百万円)、注文住宅で54棟を引渡し、1,872百万円(同65棟、2,044百万円)、戸建分譲で18棟を引渡し、864百万円(前期比較なし)となった。また、商業用施設建築では7件、156百万円の新規受注を行い、売上高は376百万円であった。その他(建物の一棟販売、マンション・戸建用地等の宅地販売、自社所有の不動産賃貸など)の売上高は1,914百万円(同1,987百万円)であった。この結果、2021年3月期の不動産事業の売上高は8,758百万円(前期比32.0%増)、一部資産において在庫の評価損を計上したことなどからセグメント損失は313百万円(前期は469百万円の利益)となった。



(2) 再生可能エネルギー事業

自社または合同で運営する太陽光発電設備で発電した電気を電力会社に販売する太陽光発電事業と、ロシアでの木質ペレット製造等を行うバイオマス発電関連事業からなり、売上高は1,367百万円(前期比24.3%増)、セグメント利益は466百万円(同60.4%増)となった。



2021年3月期末の稼動数※は7ヶ所(熊本八代PJ、陸前高田PJ、行方PJ、成田神崎PJ、山武南PJ、寄居PJ、東広島PJ)、出資のみが2ヶ所となり、同社持分の発電容量は33.84MWとなった。



※成田神崎PJは2021年5月に売却契約を締結済み。また、2021年7月には岡山英田光プロジェクト(同社持分11.09MW)が売電開始予定。





バランスシートの適正化が進む



3. 財務状況

2021年3月期末の資産合計は35,030百万円となり、前期末比5,266百万円増加した。流動資産は20,635百万円となり同10,037百万円増加したが、主な要因は投資有価証券の売却による現金及び預金の増加4,512百万円、グローベルスの連結子会社化による販売用不動産の増加5,249百万円などによる。一方で固定資産は14,394百万円となり同4,771百万円減少したが、主に投資有価証券や出資金の売却による投資その他の資産の減少4,027百万円などによる。



負債合計は16,488百万円となり、前期末比2,094百万円増加したが、主に長期借入金の増加3,215百万円などによる。純資産合計は18,541百万円となり、同3,171百万円の増加となったが、主にグローベルスの連結子会社化による新株の発行に伴う資本剰余金の増加、保有有価証券の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加等による。





営業キャッシュ・フローが黒字化



4. キャッシュ・フローの状況

2021年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,871百万円の収入となったが、主な収入は減価償却費624百万円、投資有価証券の評価損1,952百万円、出資金の評価損491百万円、評価損の計上を含めたたな卸資産の減少1,682百万円などで、一方で主な支出は、負ののれん発生益280百万円、投資有価証券の売却益2,309百万円、出資金の売却益426百万円などによる。



投資活動によるキャッシュ・フローは6,575百万円の収入であったが、主な収入は投資有価証券の取得及び売却による収支4,975百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入825万円などであった。



財務活動によるキャッシュ・フローは4,086百万円の支出であったが、主な支出は長短借入金の減少3,818百万円、配当金の支払い442百万円などによる。



この結果、期間中の現金及び現金同等物は4,410百万円の増加となり、2021年3月期末の現金及び現金同等物の残高は9,410百万円となった。なお、借入金については、バランスシート上は残高増となっていることに対してキャッシュ・フローでは返済となっているのは、グローベルスを子会社化したことによる。



営業キャッシュ・フローが黒字化し、加えて不要資産の整理を進めていることなどから手元の現金及び預金が大幅に増加している点は注目に値する。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)