■要約



プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して誕生した。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長だ。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切り、以後、強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長する。保有顧客数は122万件に達し(2021年3月末時点)、宅配水業界のなかで売上収益はトップである。



1. 業績動向

2021年3月期通期の売上収益は56,339百万円(前期比23.9%増)、営業利益4,394百万円(同136.3%増)、税引前当期利益3,942百万円(同167.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益3,193百万円(同71.1%増)となり、2ケタ増収、大幅な増益を達成した。売上収益に関しては、新規契約獲得が好調に推移し、それに伴い保有顧客数が積み上がったことで前期比23.9%の増収となった。2021年3月末の保有顧客数は122万件(前期末は100万件)と22万件の純増となった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)で大型商業施設におけるデモンストレーション販売が制限されたケースがあったものの、代替施設の確保やテレマーケティング・Webの活用により顧客を増加させた。また、コロナ禍において、在宅時間の増加や内食需要の高まりにより、宅配水の需要が高まり、1顧客当たりの水の消費量が増えたことも増収の要因となった。営業利益に関しては、前期比136.3%の大幅な増益となった。結果として通期として過去最高の営業利益を達成した。



2. 業績見通し

2022年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比15.4%増の65,000百万円、営業利益は同22.9%増の5,400百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同3.4%増の3,300百万円と、さらなる業容拡大を計画する。売上高が前期比15.4%増の予想(前期実績は同23.9%増)と同社の過去の実績からはやや保守的な数字だが、前期も期初予想は16.6%増だったことからすれば、最低限のコミットメントと捉えることができる。宅配水業界にとってコロナ禍による影響はプラスに傾いた。顧客の在宅時間が増え、新しいライフスタイルへと変化しているためである。在宅時間が長いことは、Web受注及びテレマーケティングの有効性が増すことにつながることに加え、顧客一件当たりの水の消費量が増える効果も期待できる。「プレミアムウォーター」ブランドの知名度向上により、代販(取次)の引き合いが増える傾向にあることや、製造面での規模の効果によるコスト競争力により製造受託が増えるなど売上拡大につながる好条件が揃っている。そのため弊社は、売上高、各利益の期初予想が保守的なものであると考えており、例年通り上振れが期待できると考える。



3. 成長戦略・トピック

2019年3月期以降、同社の業績は損益分岐点を超え、成長と利益が両立するフェーズに入った。今後も成長ペースを緩めることなく新規顧客の獲得を行う方針である。新しい中長期目標としては、「世帯普及率20%、1,000万ユーザー」が発表された。一見、過大な目標に見えるかもしれないが、実際にはリアリティの伴った数字である。水道水が飲めるという恵まれた環境の日本ではあるが、自然災害が多い点やPETボトルの環境問題(宅配水もPETは使用されているが、500ミリリットル〜2リットルの容器と比較するとPET使用比率は少ない)なども追い風となり宅配水の普及は今後も続くと考えられる。仮に日本のウォーターサーバー世帯普及率が30%前後になった際に、同社が20%を占めることも、過去数年の顧客獲得実績から考えられる。ちなみに、過去4年間の宅配水業界全体の顧客純増は93万件、そのうち同社の顧客純増が73万件である。今後の成長のための施策としては、1)他社製品のOEM製造の受託、2)現状の営業体制の強化、3)M&Aの検討、の3点を打ち出した。



■Key Points

・宅配水市場はコロナ禍で前期比10.4%成長。市場シェアは26.7%とトップ

・2021年3月期通期は2ケタ増収、大幅な増益を達成

・財務体質の強化が進展。利益剰余金が増加し、親会社所有者帰属持分比率が向上(17.0%)。短期的に20%、中期的に30%を目指す

・2022年3月期通期は売上収益65,000百万円、営業利益5,400百万円を予想。例年どおり上振れる可能性あり

・中長期で世帯普及率20%、1,000万ユーザーを目指す

・ESGへの取り組み:水資源の保護やプラスチック使用料削減などで実績



(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)