■今後の見通し



1. 2021年9月期の業績見通し

アドバンスクリエイト<8798>は2021年9月期の業績について、2021年3月に上方修正※を行ったが、直営店での申込ANPが4月に前年同月比93%増、5月に同52%増と大幅に伸長し、コロナ禍以前の業績も上回って単月としては過去最高を更新するなど好調を持続していることから、相応のリスクを加味したうえでも従前の業績予想を上回る見込みとなったため、6月2日付で再度上方修正を発表した。売上高で前期比16.1%増の12,200百万円、営業利益で同68.9%増の2,000百万円、経常利益で同73.5%増の1,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同78.6%増の1,250百万円と過去最高を大きく更新する見込みとなる。



※3月16日付で売上高12,000百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で1,100百万円に修正発表した。





6月以降の市場環境については、コロナ禍による現状が続く前提とし、各種イベント等のリスクファクターを考慮した保守的なものとなっている。ただ、2021年9月期第2四半期までの通期計画に対する進捗率は、売上高で47.4%、営業利益で61.1%となっている。同社の過去の傾向を見ると、第2四半期までの進捗率は売上高、営業利益ともにおおむね50%弱程度となっており、特に利益面で保守的な印象が強い。売上高については、第2四半期の32億円のペースが下期も続く見通しとなっているのに対して、営業利益は第2四半期の10億円に対して下期は四半期換算で4億円の見込みとなっている。第2四半期は利益が偏重する季節要因があるとは言え、下期に特段の費用増は予定していないことから、現状の売上ペースが続くようであれば、再度計画を上振れする可能性は高いと弊社では見ている。なお、2021年春の新卒採用者数は30名弱とほぼ計画通りの採用となっており(2020年実績は22名)、教育研修費用の増加等により第3四半期の営業利益は前四半期比で低下する見込みだが、前年同期比では大幅増益となる見通しだ。



なお、2021年9月期の主な施策は以下のとおりとなる。



a) 保険業界のイノベーターとして常に進化し続けるべく、人材の育成・強化を図る(2022年の採用目標50名に向けたリクルーティングの強化を含む)。



b) 「オンライン面談」を軸としたOMO戦略を引き続き推進し、感染対策を行いながら、真に顧客に役立つ情報の提供とコンサルティングの実現を図る。



c) Webマーケティングの強化とともに各種端末への対応も強化し、顧客の利便性向上に向けたプラットフォーム戦略をさらに推進する。



d) 「協業」代理店とのシステム連携強化により、顧客ニーズに効率的かつ効果的に対応できる体制を構築する。



e) 保険代理店事業を軸としてASP事業、メディア事業、メディアレップ事業及び再保険事業においてシナジーを最大限に追求し、保険に関わるあらゆる収益機会にアプローチする「金融情報サービス業」として確固たる営業基盤を構築する。



f) 顧客本位の業務運営を推進するべく、コンプライアンスチェック体制の充実やシステム化、情報セキュリティ体制の構築、研修制度の強化等により、一層の保険募集管理態勢の強化を図る。





保険代理店事業は「オンライン面談」を軸としたOMO戦略を推進、ASP事業では新サービスの拡販を推進

2. 事業セグメント別見通し

(1) 保険代理店事業

保険代理店事業については、需要が拡大している「オンライン面談」のニーズに対して、協業店への送客も行いながら申込ANPの拡大を図っていくほか、直営店での「オンライン面談」と「実面談」のバランスを最適化していくことで生産性のさらなる向上を図り、増収増益を目指していく方針となっている。保険選びサイト「保険市場」を通じたアポイントの獲得については、引き続きチャットボットやSNSなどを活用しながら効率的に進めていく方針だ。



申込ANPの月次動向を見ると、2021年5月は通信販売が前年同月比38%減と前年の反動から減少となっているものの、対面販売が同52%増、協業店が同98%増と逆に大きく伸長し、合計では同36%増と4ヶ月連続の2ケタ成長となっている。2020年はコロナ禍による緊急事態宣言発出によって、直営店や協業店が大きく落ち込んでいた反動もあるが、コロナ禍以前の2019年の水準と比較しても2021年4月、5月は1割強の増加となっており、コロナ禍を克服して成長していることが窺える。この要因としては、前述したように早期からオンライン保険相談システムを活用し、その知見を生かして営業の生産性を高めてきたことが大きい。





同社の月次アポイント数を見ると、2020年4月以降、オンライン保険相談の比率が増加し、6月以降は実面談数の回復とともに全体のアポイント数の水準がコロナ禍前と比べて2割以上底上げされており、直近も高水準が続いている。また、こうしたアポイント数の増加に対して、面談率を高めていくことでオンライン保険相談の生産性も2021年に入って顕著に上昇しており、第2四半期の収益性向上につながっている。直近4月においても生産性向上が続いており、この傾向が今後も続くようであれば、収益性もさらに向上していく可能性がある。



(2) ASP事業

ASP事業では「御用聞き」や「丁稚(DECHI)」「folder」などの導入先の拡大に加えて、2021年3月に外販を開始した「Dynamic OMO」等の拡販に取り組んでいく。コロナ禍の影響により、営業活動が十分に行えていないため、売上高が伸び悩む可能性はあるものの、ストック収入の積み上げにより利益面では増益となる見通しだ。



(3) メディア事業/メディアレップ事業

メディア事業については、保険会社の広告出稿意欲が回復していないため、下期も売上高が低調に推移する可能性がある。メディアレップ事業については、同社の費用対効果の高い広告運用サービスが評価されており、通期でも好調が続く見通しだ。保険業界が投下する広告費のなかでインターネット広告の占める比率はまだ低く、成長余地は大きいと弊社では見ている。



(4) 再保険事業

再保険事業については1ケタ台の増収増益が見込まれる。既存顧客からの再保険契約の積み上げに加えて、新たに生命保険会社1社と契約できる可能性がある。既に、同社が販売する生命保険商品の再保険カバー率は9割近くに達しているため、今後は販売保険額と連動した売上成長が見込まれる。営業利益については第2四半期累計で減益となったものの、通期では増益が続く見通しだ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)