■業績動向



1. 2021年9月期第2四半期の業績概要

メディネット<2370>の2021年9月期第2四半期の業績は、売上高274百万円(前期比45.7%減)、営業損失が545百万円(前期は372百万円の損失)、経常損失が536百万円(同360百万円の損失)、四半期純損失が509百万円(同362百万円の損失)となった。細胞加工業において、コロナ禍での取引先医療機関におけるインバウンドの患者数の低迷、さらにCDMO案件の売上の期ずれなどがあり減収となった。損益面では、減収等により売上総利益は49百万円(前期比78.4%減)、販管費は595百万円(同1.2%減)となったことで営業損失は拡大した。販管費は昨年から継続実施中の事業構造改革の徹底・強化等による一般管理費の効率化、研究開発活動の遅れに伴う研究開発費の抑制等により微減となった。また、投資事業組合運用益6百万円、固定資産売却益5百万円、新株予約権戻入益に伴う特別利益24百万円などにより、四半期純損失はやや増加した。





2021年9月期通期は細胞加工業は黒字回復へ

2. 2021年9月期通期の業績見通し

2021年9月期通期の業績は、売上高は810百万円(前期比3.4%増)、営業損失が1,775百万円(前期は926百万円の損失)、経常損失が1,762百万円(同836百万円の損失)、当期純損失が1,768百万円(同842百万円の損失)を見込んでいる。



細胞加工業においては、現時点で海外からのインバウンド患者数の回復時期が不透明で需要回復分は+αと見ており、2021年9月期事業計画はこうした不確定要素を除外した計画となっている。規制動向(海外渡航時の陰性証明書)を注視しながら、インバウンド患者の需要回復分はその都度折り込む予定である。



細胞加工業は、2019年9月期には初めて黒字化を達成したが、その後コロナ禍での免疫細胞治療を受ける患者(特にインバウンド患者)が激減したため、大幅減収・赤字に逆戻りしてしまった。コロナ禍の終息に見通しがつかない現在において、同社はインバウンド患者依存の事業体質を改め、新たな市場や顧客創出を図る。「特定細胞加工物」では、細胞種や品目拡大に向けて既に新規の受託製造を開始している。また、「CDMO」では、前期一部の案件が“期ずれ”となっていたが、第3四半期に売上計上が見込まれ、製造受託に向けた技術移転などを実施することにより、第3四半期以降に売上回復・拡大を図りながら、早期の黒字回復を目指す。



3. 財務状況と新株予約権発行

2021年9月期第2四半期の財務状況を見ると、資産は、現金及び預金が4,077百万円(前期末比434百万円増)と2018年9月期末の2,126百万円を大幅に上回り、現金及び預金が手厚くなり研究開発資金が潤沢になったと言える。そのほかに投資有価証券152百万円増加、売掛金が59百万円減少し、資産合計は前期末に比べ499百万円増加した。一方、負債合計は前期末に比べ38百万円増加した。主な増加要因は、賞与引当金12百万円、流動負債その他の前受金22百万円、固定負債その他の繰延税金負債43百万円で、主な減少要因は、未払法人税等37百万円である。純資産合計は、新株予約権41百万円の減少の一方、株主資本340百万円及びその他有価証券評価差額金161百万円の増加により、前期末に比べて460百万円増加した。株主資本のうち、利益剰余金6,842百万円増加し、資本金3,892百万円、資本剰余金2,608百万円それぞれ減少した。



4. 資金調達

同社では2020年9月期に第三者割当増資(新株予約権の発行・行使)を通算4回実施し、資金2,942百万円を調達した。これまで第三者割当増資で実績のあるマッコーリー・バンク・リミテッドによる新株予約権を第14回(行使価額修正事項付)、第15回(行使価額修正選択権付)、第16回(行使価額修正事項付)、第17回(行使価額修正事項付)と発行した。第14回、第15回、第16回は行使を完了し、第17回新株予約権は、現在最優先で取り組んでいる新型コロナウイルス感染症の予防を目的とした自家樹状細胞ワクチンの開発資金に特化した第三者割当である。同開発は、2021年中ごろを目指して第I相治験をスタートさせることが喫緊の課題となっていたが、非臨床安全性試験の必要が出てきたため2022年以降の治験届を予定している。なお、第17回新株予約権の行使は2021年6月15日に完了した。



また、ほかの新株予約権の使途は、2019年から取り組んでいる開発パイプラインの各テーマの研究や臨床研究に充てられる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)