■業績動向



1. 2021年3月期通期の業績概要

翻訳センター<2483>の2021年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比14.1%減の9,910百万円、営業利益が同48.5%減の418百万円、経常利益が同43.4%減の465百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同61.4%減の117百万円と減収減益となった。



売上高に関しては、コロナ禍の影響を受けて、主力の翻訳事業をはじめ通訳事業及びコンベンション事業の減収が重なった。翻訳事業では前期比592百万円減となった。特に工業・ローカライゼーション分野では主要顧客である自動車関連企業からの受注が伸び悩み同434百万円減となった。特許分野は、特許事務所からの受注が低調に推移し同158百万円減となった。金融・法務分野では、金融機関、企業の管理系部署からの受注が低調に推移し同127百万円減。唯一、医薬分野では、外資製薬会社からの受注が好調に推移し、国内製薬会社との取引も堅調なことから同126百万円増となった。派遣事業では、コロナ禍の影響で新規顧客の獲得は限定されたものの、既存顧客との取引が堅調に推移し同28百万円増となった。通訳事業では、コロナ禍の影響でオンライン通訳の実績を着実に積み重ねられたものの、対面での会議通訳案件の受注減少により同545百万円減と大幅に減少した。コンベンション事業では、大型国際会議の開催中止・延期の影響から同484百万円減と大幅に減少した。会社全体として、上期はコロナ禍の影響により顧客企業の業務がストップしたことから大きな減収となったが、第4四半期単独では前年同期の水準近くまで回復し、底打ちは確認された。



売上総利益率は44.1%と前期比1.5ポイントの改善となった。これは、機械翻訳や翻訳支援ツールを積極的に活用し、翻訳制作の生産性向上に取り組んだ成果と考えられる。販管費は前期比3.8%減。結果として、営業利益は、減収インパクトが大きく同48.5%減となった。セグメント利益では、翻訳事業(前期比190百万円減)、通訳事業(同129百万円減)、コンベンション事業(同73百万円減)の影響が大きかった。そのほか各段階利益においても、第4四半期単独では前年同期の水準まで回復している。





無借金経営を継続。短期及び中長期の安全性が極めて高い

2. 財務状況と経営指標

2021年3月期末の総資産残高は前期末比72百万円増の6,295百万円となった。そのうち流動資産は301百万円増であり、現預金の255百万円増、受取手形及び売掛金の59百万円増が主な要因である。固定資産は228百万円減であり、無形固定資産の減少が主な要因である。



負債合計は前期末比93百万円増の1,770百万円となった。そのうち流動負債は92百万円増であり、未払法人税等の93百万円増が主な要因である。固定負債に大きな変化はなかった。なお同社は無借金経営を継続しており、有利子負債はない。



経営指標では、流動比率で345.7%、自己資本比率で71.8%とともに高い水準にあり、財務の安全性は高いと言える。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)