■今後の見通し



1. 2022年3月期の業績見通し

アクセル<6730>の2022年3月期の業績は売上高で前期比6.7%増の9,600百万円、営業利益で同16.1%減の450百万円、経常利益で同20.6%減の560百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同34.4%減の440百万円となる見通し。



事業セグメント別の売上高は、LSI開発販売関連セグメントが前期比2.4%増の8,900百万円となる見通し。組み込み機器用G-LSIを新規事業関連セグメントに移管※したため、実質の伸び率は約4%増と見られる。主力市場であるパチンコ・パチスロ機器市場は、旧規則機の撤去期限となる2022年1月までに新規則機への入替需要が発生すると想定されることから、パチンコ・パチスロ機の出荷台数は前期比35万台増の155万台となる見通しだ。2021年4月時点で旧規則機の設置率がパチンコ・パチスロ機合わせて約5割となっており、2020年末の業界全体の設置台数が約400万台だったことからすれば、残り200万台の入替需要が発生する計算だが、市場環境の悪化から店舗数が減少傾向にあることや、パチスロ機で集客力の高い新規則機が未だ出ていないため、新規則機へ入れ替えずに撤去のみ行うケースも出てくることを想定しているようだ。ただ、新規則機への入れ替えが遅れているパチスロ機ではこうした現状を鑑み、2021年5月に一部規則の緩和を実施しており、こうした機種が秋以降に出始める見通しとなっている。集客力の高い新機種が生まれれば出荷台数も上乗せされる可能性があると弊社では見ている。



※組み込み機器向け半導体は、自動運転用AIチップの開発など近年AI系を中心とした新規事業との関係性が深まっていることに鑑み、新規事業関連に移管することにした。





パチンコ・パチスロ機向けG-LSIの販売数量については前期比1万個増の41万個を計画している。出荷台数の見通しと差があるのは、前期に先行して半導体の調達が進められていた可能性があることと、リユース率の上昇を見込んでいること、撤去期限以降の需要動向が不透明なことが要因で、50%という市場シェアについては変わらないと見ている。「AG6」の比率は前期の6%から20%に、基板比率は12%から15%に上昇する見込みで、売上高も前期比1ケタ増となる見通しだ。ただ、前期末の受注残が29万個と既に通期販売計画の7割が受注済みとなっていることから、今後コロナ禍の影響がさらに深刻なものにならなければ計画を上回る可能性も十分あると弊社では見ている。また、パチンコ・パチスロ機向けのその他半導体についても1ケタ台の増収を見込んでいると見られる。メモリモジュールの販売数量は前期比横ばいの71万個にとどまるが、大容量化による単価上昇を見込んでいる。



一方、新規事業関連の売上高は前期比128.8%増の700百万円となる見通し。組み込み機器用G-LSIの移管で1億円強上乗せされているため、既存事業ベースでは8割程度の増収となる計算だ。増収部分の大半はAI分野の開発支援案件で、ミドルウェア製品も含めると5億円強の売上に拡大する。残り数千万円を前期に販売開始したセキュリティ製品やブロックチェーン関連で見込んでいる。



売上原価率は前期の65.6%から67.2%に上昇する見通し。全体のプロダクトミックスは改善するものの、主力のパチンコ・パチスロ機向けG-LSIの仕入価格が、折からの半導体需給ひっ迫による単価見直しによって上昇することが主因だ。同社ではコスト上昇分を販売価格に転嫁したい考えだが、顧客の収益状況が厳しいことも考えればスムーズに交渉が進むかどうか不透明なため、業績計画には織り込んでいない。また、研究開発費を含めた販管費は前期比5.7%増となる見通し。AI分野を中心とした新規事業関連の売上拡大に向けた体制の強化を図るため、人件費等の増加を見込んでいる。



営業外収支については、前期に計上した投資事業組合運用益42百万円を見込まない前提となっているが、2022年3月期も前期並みの運用益が確保できる可能性があり、保守的な計画となっている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)