■品川リフラクトリーズ<5351>の業績動向



1. 2021年3月期の連結業績概要

(1) 2021年3月期の業績概況

2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比16.0%減の99,969百万円、営業利益が同24.1%減の7,285百万円、経常利益が同16.5%減の8,220百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同61.9%減の2,114百万円であった。売上高経常利益率(ROS)は、前期の8.3%に対し8.2%と高水準を維持した。親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な落込みは、後述する特別損失の計上による。コロナ禍のため、ほかの多くの企業と同様に期初予想の発表を見送り、第1四半期決算発表時に通期予想を開示した。売上高が前期比16.0%減の100,000百万円、営業利益が同30.2%減の6,700百万円であった。同予想を第3四半期決算発表時まで据え置いたが、2021年4月に下半期の全社的なコストダウンの推進などによる利益確保策の効果と、期末にかけて円安となった為替レートによる為替差益の計上があり、営業利益を7.5%、経常利益を15.7%、親会社に帰属する当期純利益を46.7%上方修正した。実績は、上方修正後の予想とほぼ同水準で着地した。



(2) 事業別動向

事業別では、全体の7割以上を占める耐火物及び関連製品事業の売上高が前期比14.8%減の76,648百万円、セグメント利益が同22.3%減の6,714百万円であった。減収減益の最大要因は、粗鋼生産に使用される耐火物の販売数量減である。同年度の国内粗鋼生産は、前年度比15.9%減の8,279万トンと10年ぶりに1億トンを割り、前年度からさらに減少した。第4次中期経営計画の主要課題である「非鉄・セメントユーザー等の未開拓分野への新規参入」に関して、最終年度となることからさらに注力し、コロナ禍による景気後退局面のなかで収益維持に努めた。



エンジニアリング事業は、売上高が前期比20.6%減の21,505百万円、セグメント利益が同21.5%減の924百万円であった。粗鋼生産量が落ちたため、製鉄所構内のメンテナンス工事も減少した。また、前期にあったような大型工事が当期はなかった。



不動産・レジャー等事業は、売上高が前期比7.8%減の1,814百万円、セグメント利益が同7.4%減の979百万円となった。2020年1月に、神奈川県座間市にあった賃貸倉庫の契約が満了となった。倉庫を取り壊し、新たに土地のみを賃貸する新規契約を行った。



(3) 連結営業利益の増減要因

連結営業利益は、前期比で約23億円減少した。減益要因としては、耐火物及び関連製品の数量減が20億円、エンジニアリングが3億円、グループ会社が4億円、品種構成他が5億円と計32億円であったのに対し、増益要因はコストダウンによる8億円、為替影響による1億円の計9億円であった。



(4) 特別損失 − 商業用賃貸物件の減損処理

愛知県名古屋市で営業中の賃貸物件等に関して、第2四半期に固定資産の減損損失3,276百万円を特別損失として計上した。当該施設は、同社が土地と建物を所有する名古屋市港区品川町に所在するショッピングセンターの「イオンモール名古屋みなと」である。1999年11月の開業当初は「ベイシティ品川」と呼ばれ、中核店は「ジャスコ名古屋みなと店」であった。2011年に名称が変更され、2013年から管理運営がイオンリテール(株)からイオンモール<8905>に移った。敷地面積74,168m2、延床面積が132,11m2、商業施設面積は48,650m2である。後から進出してきた近隣の大型ショッピングセンターとの競争激化により、2021年2月に同ショッピングセンターが閉鎖され、賃貸契約が当初計画より前倒しで終了することとなったため、残存簿価を減損処理したものだ。同立地は、2004年に全線開通した名古屋臨海高速鉄道あおなみ線の荒子川公園駅から徒歩3分のところにあり、桜の名所である荒子川公園に隣接している。敷地面積も比較的広いため、新たな再開発を計画している。



2. 財務状況と経営指標、キャッシュ・フロー計算書

(1) 連結貸借対照表

2021年3月期末の総資産は、前期末比42百万円減の110,205百万円となった。流動資産は、同356百万円減の71,654百万円であった。主な増減項目は、現金及び預金、有価証券の手元流動性が2,719百万円増、受取手形及び売掛金、電子記録債権が2,659百万円減、棚卸資産が557百万円減であった。有形・無形固定資産は、減損損失の計上もあり2,468百万円減少、投資その他が2,781百万円増加した。負債合計は、同3,660百万円減の39,872百万円となった。主要な項目は、支払手形及び買掛金、電子記録債務が1,285百万円減少した。



(2) 財務比率

2021年3月期における財務の安全性を見る指標となる流動比率が203.9%、自己資本比率が55.1%と堅固な財務体質を示している。現預金と有価証券の手元流動性の金額が、有利子負債を上回った。経営総合指標となる自己資本当期純利益(ROE)は、減損損失を特別損失として計上した影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に落ち込んだため、3.6%と前期比6.3ポイント低下した。総資産経常利益率は7.5%と、同1.4ポイントの小幅な落ち込みにとどまった。



(3) 連結キャッシュ・フロー計算書

2021年3月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期比2,895百万円増の15,564百万円となった。営業活動による入金9,327百万円が、投資活動による出金4,006百万円及び財務活動による出金2,411百万円を上回った。営業活動によるキャッシュ・フローの主な内容は、収入が税金等調整前当期純利益4,413百万円、減価償却費2,581百万円、減損損失3,384百万円、売上債権の減少2,648百万円、支出が仕入債務の減少1,270百万円、法人税等の支払額1,369百万円であった。投資活動CFの支出は、主に有形固定資産の取得による支出4,085百万円による。財務活動CFの出超内容は、長期借入金の返済による支出1,122百万円と配当金の支払額1,027百万円である。キャッシュ・フロー対有利子負債比率は、前期比0.4ポイント改善の1.7%となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)