■TOKAIホールディングス<3167>の業績動向



2. 事業セグメント別動向

(1) エネルギー事業

エネルギー事業の売上高は前年同期比7.7%増の18,998百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益となり、決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同20.0%減の1,578百万円となった。このうちLPガス事業の売上高は同9.5%増の16,197百万円となり、顧客件数は前年同期末比30千件増加の687千件となった。増収要因は販売価格の上昇によるもので、家庭用については前年同期比1.8%の上昇にとどまったが、仕入価格に連動する産業用や卸売用については同40%強の上昇となり、増収分の大半を占める格好となった。一方、家庭用については前年同期と比べて平均気温が高く推移したこと、並びに巣ごもり消費の反動減もあって契約世帯当たりのガス消費量が減少し、全体の販売量も前年同期比で1.5%減となった。利益面では、家庭用販売量の減少で約3億円、顧客獲得費用の増加で約3億円の減益要因となっている。なお仕入価格上昇による家庭用LPガスの利益への影響については、既に2022年3月期分の仕入量相当分の予約を終えていることからほとんどなかった。



都市ガス事業については、売上高で前年同期比1.3%減の2,800百万円、顧客件数で前年同期末比3千件増加の64千件となった。原料費調整制度による販売単価の低下が減収要因となった。



(2) 情報通信事業

情報通信事業の売上高は前年同期比0.2%減の12,619百万円、営業利益は同10.3%増の1,224百万円となった。コンシューマー向け事業の売上高は同6.1%減の6,186百万円と減収基調が続いたが、営業利益は顧客獲得コストの減少やLIBMO(格安スマートフォン)の収益改善により同30百万円の増益となった。また、顧客件数は前年同期末比21千件増加の781千件と増加に転じている。内訳を見ると、従来型ISP等で同8千件増加の391千件、光コラボで同9千件増加の337千件、LIBMOで同3千件増加の53千件となっており、このうち光コラボについては大手携帯キャリアとの提携によるメニューの拡充を図ったことが増加につながっている。ただ光コラボ契約のなかで携帯キャリアとの連携案件が増えたこと等によりARPU(顧客当たり平均売上高)が低下し、減収要因となった。



法人向け事業の売上高は前年同期比6.1%増の6,432百万円、営業利益は同80百万円の増益となった。Amazon Web Service(AWS)の構築案件やクラウドサービス等のストック型ビジネスが順調に拡大したほか、システム受託開発も回復し増収増益基調が続いた。なお2021年4月末に、システム開発会社の(株)クエリの全株式を(株)TOKAIコミュニケーションズが取得し子会社化している。クエリの持つ技術力を融合することで、顧客へのさらなる付加価値の提供や取引先の拡大を見込んでいる(クエリの2020年12月期業績は売上高355百万円、営業利益39百万円)。



(3) CATV事業

CATV事業の売上高は前年同期比2.8%減の7,996百万円、営業利益は同6.7%増の1,459百万円となった。前述のとおり売上高は収益認識に関する会計基準の適用で5億円目減りしており、実質ベースでは約3%増となっている。顧客件数が着実に増加していることが増収増益要因となった。地域密着型の情報発信や番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携するなど放送コンテンツの充実に取り組んだことや光化投資による高速通信サービスの提供エリアを拡大したことにより、顧客件数は放送サービスで前年同期末比14千件増加の878千件、通信サービスで同31千件増加の328千件となった。



(4) 建築設備不動産事業

建築設備不動産事業の売上高は前年同期比45.1%増の5,542百万円、営業利益は同12.9%増の263百万円となった。増収の内訳を見ると、M&A効果で8億円、既存事業の回復で5億円、収益認識会計基準の変更による影響で4億円となる。M&Aでは2020年8月に中央電機工事(株)、同年11月に(株)イノウエテクニカ、2021年4月に(株)マルコオ・ポーロ化工を子会社化しており、これら子会社の売上が加算された格好だ※。2019年9月に子会社化した土木建築会社の日産工業(株)も含めて、東海エリアにおける総合建築・設備工事会社としての基盤を固めており、今後グループシナジーによりさらなる事業規模拡大を推進していく戦略となっている。



※中央電機工事は愛知県内で電設工事業を従業員30名弱で展開している。イノウエテクニカは静岡県東部でビルメンテナンス事業を展開し、年間売上高は約5億円。マルコオ・ポーロ加工は愛知県でマンションや公共施設の大規模修繕工事等を展開し、2020年4月期の売上規模は約22億円。





(5) アクア事業

アクア事業の売上高は前年同期比1.3%増の1,921百万円、営業利益は同86.3%減の37百万円となった。顧客件数は前年同期末比5千件増加の164千件(約3%増)となったが、巣ごもり消費の反動で世帯当たり消費量が若干減少したことにより、増収率は約1%にとどまった。利益面では、顧客獲得費用を前年同期から2億円積み増したことが減益要因となった。2021年3月期末第1四半期末の顧客件数は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)で大型商業施設等での営業活動が制限された影響で2020年3月期末比2千件減少したが、2022年3月期第1四半期末の顧客件数は通常の営業活動を実施したことにより2021年3月期末比2千件の増加となり、概ね会社計画どおりの進捗となった。



(6) その他・調整額

その他の売上高は前年同期比49.0%増の1,319百万円となった。内訳を見ると、造船事業は船舶修繕の隻数が増加したことや収益認識に関する会計基準の適用の影響により、同79.0%増の580百万円と大きく伸長した。一方、介護事業はコロナ禍でデイサービスの利用者数が減少したことにより、同1.8%減の317百万円と低迷した。また婚礼催事事業については、婚礼及び会議の利用について若干の回復が見られ同484.0%増の161百万円となったが、コロナ禍以前となる2020年3月期第1四半期の売上水準(274百万円)と比べると依然、低水準であることに変わりない。



なお内部調整額も含めた営業損失は1,337百万円と前年同期比で166百万円増加したが、主に社内共通費用の増加によるものとなっている。ワークスタイル変革の実施に伴うオフィスの環境整備に取り組んでいる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)