■スカラ<4845>の業績動向



2. 事業セグメント別動向

(1) IT/AI/IoT/DX事業

IT/AI/IoT/DX事業の売上収益は前期比0.6%増の4,146百万円、営業利益は同9.1%減の756百万円となった。コロナ禍による企業のコスト削減やコンタクトセンターの業務縮小、マーケティング施策の中止や延期などの影響を受け、関連サービスの一部で解約が発生したことにより、第2四半期までは減収が続いた。しかしながら、第3四半期以降はDXによる業務効率化ニーズの高まりにより、主力サービスが堅調に推移したほか、マイナンバーカードと連携した「xID」アプリを活用したデジタルプラットフォームの開発案件や、愛媛県のDX推進基盤「エールラボえひめ」の年次運用業務受託、損害保険ジャパン向けの安全運転支援サービスの追加開発案件の一部を売上計上したことなどにより、通期では増収を確保した。



売上形態別で見ると、コロナ禍の影響による関連サービスの一部解約により、月額課金収入が前期比2%減と若干ながら減少した一方で、「i-gift」の利用拡大により従量課金収入が同11%増、受託開発等の一時売上が同3%増となった。コロナ禍においても、月額課金収入・従量課金収入ともに安定的に推移したと言える。なお、「i-ask」や「i-assist」「i-livechat」など主力サービスについては、大企業からの新規導入が続いている。



利益面では、さまざまな事業展開に向けた積極的な投資(新規事業立ち上げに対する人材確保、起業意識の高い若手人材の獲得や若手ベンチャー企業とのコミュニケーション促進)により、減益となった。



新たな取り組みとしては、地方自治体が抱える課題をDX推進により解決することを目的に、知見・技術を共有する「地方公共団体DX研究会」を立ち上げ、企画・運営を開始したほか、インベスターリレーションを含む価値創造経営支援に関するノウハウをDX支援に融合させ、DXを通じた顧客企業の企業価値創造に取り組んでいる。



(2) カスタマーサポート事業

カスタマーサポート事業の売上収益は前期比18.8%減の1,837百万円、営業損失は12百万円(前期は29百万円の利益)となった。コロナ禍が長期化するなかで、光通信グループ各社の新規商材販売に対する従来型のコールセンター業務で減少基調が継続したほか、新規顧客の開拓も苦戦したことが減収減益要因となった。



同社では、2021年6月期から2022年6月期を収益構造転換の過渡期と位置付け、拡大戦略を推進している。具体的には、利益率の高いコールセンターの構築など、カスタマーサポート領域のサービスの高付加価値化に取り組んでいる。また、資本業務提携先のVALT JAPAN(株)が展開する価格競争力の高い障がい者特化型BPOサービスをコールセンター運営業務の一部として活用することで、収益力の強化を図っていく。



(3) 人材・教育事業

人材・教育事業の売上収益は1,353百万円、営業損失は144百万円となった。人材事業については、コロナ禍の影響により、冬から春に開催される合同説明会等の対面型新卒採用イベントの開催が困難な状況となるなど、厳しい環境が続いた。これに対し同社では、オンライン等を活用した代替案により影響を軽微にとどめたほか、新たな営業活動や体制強化などの対策が奏効し、マイナス分を補完した。一方、教育事業については、保育園「みんなのほいくえん」やインターナショナル幼保園「Universal Kids」などが堅調に推移したものの、一部の教育サービスでコロナ禍の影響を受けた。ただし、営業のテコ入れや人材紹介の強化に取り組んだことが奏功し、第4四半期には営業利益で黒字転換するなど、収益は回復トレンドとなっている。



(4) EC事業

EC事業の売上収益は前期比33.0%増の1,311百万円、営業利益は同71.3%増の162百万円と好調に推移した。コロナ禍の巣篭もり需要を追い風に、オンラインでの売買ニーズが拡大したことに加え、ECサイトの利便性向上や携帯端末への最適化等の施策が奏効した。利益面では、増収効果に加えて、AI画像処理システムを用いてカードの判別や値付け業務などを自動化することで、バックエンド業務が効率化し収益性の向上に寄与した。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)