■会社概要



3. サイバーコム<3852>の強みと主要顧客、事業リスクについて

(1) 同社の強み

同社の最大の強みは、創業来培ってきた通信分野を基盤とした高度な技術開発力と、高品質なサービスを提供していることが挙げられる。特に顧客の現場レベルから出てきたニーズをくみ取り、求められる要件に対してプラスアルファの成果物を提供することで顧客から高い評価を受け、リピート受注につなげている。また、既存顧客からの口コミによって新規顧客の開拓にもつなげている。ここ数年は、車載システムの組込みソフトウェアや企業の業務支援システムの開発が伸長してきたが、次世代通信規格の需要拡大により本来の基盤技術である通信分野が急速に伸長しており、クラウド導入支援などSIサービス等の受注も拡大するなど、事業領域の拡大も進んでいる。



また、業界大手の富士ソフトグループに属することで、独立系ソフト会社に比べて不況期においても経営の安定性があることも強みと言える。富士ソフトグループでは独立性を重んじているため、同グループへの売上構成比は2021年12月期第2四半期累計で4.7%と小さいものの、グループ内で積み重ねた通信技術を活かしたソフトウェア開発事業を分担・連携することで、グループ内のシナジーを享受している。



さらに、外注先として協力企業のネットワークを構築していることも、業務量変動時における調節弁の役割を果たしており、収益性を維持しながら事業を拡大できているという点で強みとなっている。ここ数年、IT業界は慢性的な人材不足が続いており、同社においても人員を増やしてはいるものの、まだ十分とは言えない状況にある。人的リソースの不足分を協力企業の活用(人的リソースで800名超)によって解消し、売上成長につなげている。ここ数年は旺盛な需要に応えるため、外注を活用していたことから外注比率も上昇傾向が続いていたが、2020年12月期は売上高が減少したこともあり、前期比で若干低下している。IT業界では外注比率の上昇が利益率の低下につながるケースもあるが、同社の場合、外注比率が上昇しても営業利益率は5%台で安定して推移しており、付加価値の高い受注案件を増やしつつ、外注先を上手くコントロールしていることがうかがえる。外注先との関係では、新入社員を受け入れて自社の社員と同様の研修を行うなど、良好な関係を構築している。



(2) 主要顧客

2021年12月期第2四半期累計における主要顧客の売上構成比を見ると、主に通信用や車載向け制御用ソフトウェア開発を受注しているNECグループが33.1%と最大顧客となっている。次いで、日立グループが18.8%となり、上位2社で50%を超える水準となっている。



(3) 事業リスク

主な事業リスクとして、以下の点が挙げられる。



まず、同社の主力事業であるソフトウェア開発の通信分野では、NTTグループなど大手の通信事業者が最終顧客となっており、通信事業者の設備投資動向によって受注が左右される点にある。なかでも主力分野である携帯電話網基地局システムや5Gコアネットワークシステムについては、2020年の5G商用化以降、通信事業者の投資拡大とともに開発プロジェクトも増加している。2022年頃までは、5Gの普及拡大並びに機能拡充とともに開発プロジェクトも増加傾向が続く見通しだが、普及が一段落した際には次世代の6G投資が始まるまで端境期に入る可能性がある。



また、受託開発案件において不採算プロジェクトが発生するリスクが挙げられる。受託開発では要件定義の変更などで想定以上に工期が延伸したり不具合が発生することで、不採算プロジェクトとなるケースがある。同社はこうしたリスクを軽減するため、受注時の見積もり精度の向上やプロジェクト管理体制の強化に取り組んでおり、ここ数年は大きな不採算案件は発生していない。



そのほか、旺盛な受注に対応するためのエンジニアの採用が予定どおり進まない場合に、採用コストや教育研修コストが増加するリスクがある。同社では人材不足を解消するため、2019年以降の新卒採用において未経験者も採用しており、新卒採用は2020年に118名、2021年に122名と2年連続で100名以上を採用した。新人研修は通常2ヶ月間実施して現場に配属されるが、未経験者の場合は3ヶ月の研修期間を要するため研修コストはかかるものの、教育研修を充実させることで早期の戦力化に取り組んでいる。また、中途採用については年間40名ペースで実施している。ソフトウェア受託開発業界では、IT業界のなかでも採用に苦戦する企業が多いが、同社は既述のとおり横浜だけでなく、仙台、新潟、東京、福岡、愛知などにも事業拠点を有しているため現地採用が可能で、同業他社と比べると優位点になっていると思われる。また、離職率(入社3年後)でも1ケタ台と業界平均より低くなっており、定期的なフォローアップ研修など教育面の充実に取り組んでいることが一因と考えられる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)