■事業環境変化の影響



テックポイント・インク<6697>の半導体は、大手の監視カメラメーカーや、デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)のメーカーによる採用実績があり、これらの技術を応用して車載カメラへの展開を進めてきた。車載・監視カメラ向けともに、販売数量増加により大幅増収増益を予想している。監視カメラシステム向けのアナログカメラ市場の成長率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり鈍化しているものの、同社の半導体シェアは徐々に拡大。監視カメラにおいては世界的に需要が見込まれているものの、前期はロックダウンによって設置を行う業者が動けないといった影響もあった。しかし、経済活動の正常化によって需要はコロナ禍前の8割まで改善しているようである。足元で新型コロナウイルス感染症の変異株が拡大していることによって、コロナ禍の収束は未だ見られていないものの、各国ともコロナ対策と経済活動の促進に積極的に取り組んでいることもあり、今後需要は一段と回復傾向を強めてくると考えられる。



ただし、工場を持たないファブレス企業という特性から、製品を製造するファウンドリー不足に伴うキャパオーバーが目先の懸念要因の1つではある。2021年12月期下期の顧客の需要は上半期に比べて増加しているが、現在は世界的に半導体の生産能力が不足しているため、2021年12月期第3四半期及び第4四半期の売上高は2021年12月期第1四半期と同程度になると同社側は考えているようである。弊社も同様の見方であり、生産能力の状況に改善が見られるまでは、四半期ごとの売上高が大きく伸びることはないと考えている。とはいえ、これらは同社の競争力低下などの固有要因というわけではなく、あくまで不可避的な市場環境であり、ネガティブ視する必要はないだろう。



むしろ、下期についてはファウンドリーの確保による生産見通しの具体化が進んだことにより、通期業績予想を上方修正している。同社では大きな需要が見込まれ、成長エンジンとなり得る戦略商品を完成させているが、このファウンドリー不足によって量産に移行できない状態でもあると弊社では考えている。足元では、世界的な半導体不足の正常化は来年以降になるとの見方も市場で出ているほか、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)などは過去最大の値上げを実施するなどファウンドリー企業は軒並み強気姿勢を見せている。こういった状況下において、必然的に生産キャパを確保することが同社の更なる成長に向けたカギとなるため、動向に注目していく必要があるだろう。



(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)