■ベルトラ<7048>の中長期の成長戦略・トピックス



3. 観光IT事業

(1) プラットフォーム事業

子会社のリンクティビティでは、国内の公共交通機関と世界各国の旅行会社を結ぶ予約プラットフォームシステム事業を展開している。様々なサービスを連携するMaaSや電子チケット化を推進する動きが高まるなか、インバウンド需要だけでなく、国内向けの販売チャネルも強化している。国内の鉄道会社や各都道府県施設などをベースとした販売商品数は、2020年末の30社から2021年6月末時点で63社と順調に増加している。また、販売チャネルも世界各国に200社超となっている。今後は、販売商品の強化と同時に、直販サイトの構築やMaaS推進企業との連携強化を図る。



(2) インバウンド向けメディア事業

観光IT事業として、「ニューノーマル時代の体験提供と情報発信」を軸に、複数メディアを運営している。一例を挙げると、日常の新たな体験や趣味のアイデアを提案する新オンラインメディア「YOKKA」を2021年3月に開始した。「YOKKA」は、気軽に始められる趣味さがしや休日の過ごし方など、余暇の時間を充実させる情報を発信する新しい体験メディアである。「旅や外出をしにくい今でも、おうち時間や休日を楽しく充実させよう!」をモットーに、「余暇プランナー」と呼ばれる外部ライターの執筆を通じてHow to記事を掲載している。また、「趣味さがし」「おでかけ」「旅行」などのテーマや目的別に余暇のアイデアをキュレーションすることで、利用者にとって利便性の高い機能も併せ持つ。今後は、現在10名の余暇プランナーを増員することで、キャンプや登山などのアウトドアから、ヨガやDIYなど健やかな生活を送るための情報など、バラエティに富んだ記事を配信し、2021年末までに1,000以上の記事提供を予定している。また、「所要時間/予算/道具の揃えやすさ/始めやすさ/経験度合い」などでタグ付けされた記事から挑戦したい体験を探すことができる検索機能や、趣味や興味にマッチするおすすめ記事を表示するパーソナライズ機能を充実させるなど、ユーザーエクスペリエンスの向上も図る。



海外でのメディア展開としては、家庭で作る日本食を世界に広め、料理を通じた文化交流を促進するための英語情報サイト「Umami Recipe」を2021年3月に開始した。海外で和食の注目度が高まるなか、調理師や栄養士などが監修した本格派の日本食を紹介し、料理初心者から上級者までレベルにあったレシピを掲載している。今後は、会員向けメールマガジンや動画、オンライン講座でのレシピ配信など、機能やサービス強化を通じた利便性の向上を図ることで、日本食レシピサイトのユーザー数シェアで首位を目指す。



同社では、これらのメディアを通じて自社サービスへの送客や広告収入の計上などを見込んでおり、既存サービスのトップライン成長や新たな収益源の獲得などが期待できる。



(3) 観光産業支援型クラウドファンディング

同社は、観光関連サービス特化型クラウドファンディング「Zenes(ゼネス)」を2021年5月に開始した。「Zenes」は、ウィズコロナ/アフターコロナの観光再開に向けた復興支援や、新たな観光ビジネスの創造・商品開発のためのテストマーケティングの機会を提供する、観光産業に特化したクラウドファンディングサービスである。主に旅行や観光に関係するプロジェクトを、同社が持つ世界150ヶ国、5,000社を超える体験提供事業者ネットワークを通じて企画・実施する。「購入型」クラウドファンディングでは、期間限定の旅行・食・体験イベントなど、通常ではできない特別な体験、価格以上のサービスを数量限定で提案する。一方で「寄付型」クラウドファンディングでは、コロナ禍で大きな打撃を受けた日本及び世界各地の観光サービス事業者や地域に対して、寄付を通じて応援することで、地方創生やサステナブル・ツーリズムを担う機会を提供する。同社としては、プロジェクトの反響を通じてテストマーケティングを図れ、人気のプロジェクトは自社のツアーに追加できる。いわば出資者の資金を通じたマーケティング・企画となり、低コストでの商品開発ができる点が評価できる。



4. 今後の成長戦略

同社は今後の成長戦略として、競争優位性の源泉となりうる資産を最大限に活用し、旅行業に留まらない観光に関わるIT事業を成長させることで、コロナ禍回復期に企業価値の最大化を目指している。新たな挑戦でも、同社の使命であり企業理念でもある国際交流、人と人との本物のつながりを大切にしたサービスを提供することで、関わるすべての人とともに持続的に成長し、独自の存在感で観光産業と国際交流をリードしていく方針だ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)