■ブイキューブ<3681>の業績動向



2. 事業セグメント別業績

(1) エンタープライズDX事業

エンタープライズDX事業の売上高は前年同期比8.7%増の2,423百万円、セグメント利益は同43.4%増の461百万円となった。主力サービスの売上動向を見ると、「V-CUBEミーティング」等の汎用Web会議は、前年同期の14.7億円から15.9億円に増加した。2020年12月期第2四半期以降、コロナ禍を契機としたWeb会議需要の拡大により増収となっているが、2021年12月期第2四半期単独で見ると8.2億円から7.2億円に減少している。毎月課金のクラウド提供とオンプレミス提供による一時的な増減が発生する収益モデルをベースに、同領域はZoomやMicrosoftなど大手外資系ベンダーも参入し競争が激しい市場であることから、需要が旺盛なイベントDX事業やその他の付加価値サービスにリソースを投入する方針のため、今後も横ばいのトレンドが続く見通しだ。



一方で、高付加価値サービスである「SDK」は、サービスのオンライン化やライブ配信の需要拡大に加えて様々な機能を付け加えたいという顧客ニーズの増加を背景に、売上高は前年同期の1.4億円から3.5億円と2.5倍に拡大した。加えて、限界利益率が60%と高いことから、エンタープライズDX事業の増益にも寄与した。「SDK」は利用時間に応じて料金が課金されるため、顧客数と利用時間の増加に伴って売上高も成長するビジネスモデルであるが、2021年12月期第2四半期末の顧客数は、エンターテイメント業界や健康サービス業界向けを中心に125社(前期末比18%増)と好調に推移した。また、SaaSビジネスのKPIとなるARR※1は7.3億円、NRR※2は116%となった。



※1 ARR(年間経常収益):利用分数従量課金の年間売上高。2021年12月期第2四半期のARRは、同期間の売上を年換算したもの。

※2 NRR(売上継続率):利用分数従量課金の売上継続率。2021年12月期第2四半期のNRRは、2020年12月期第4四半期の継続顧客の売上高と、2021年12月期第2四半期の同一顧客の売上高との比率となる。





緊急対策ソリューションの売上高は前年同期の2.1億円から1.4億円に減少した。コロナ禍の影響で営業活動が行えなかったことや、自治体の予算がコロナ禍対策に優先的に振り向けられたことが影響したものと思われる。ただし、自治体のDX投資拡大もあり、2022年12月期以降は増加することが見込まれる。自治体の緊急対策ソリューション導入率は都道府県レベルでも10〜20%であること、競合が少ないことから、今後の成長余地は大きいと見られる。



LMS/TMSは前年同期の3.9億円から3.4億円に減少した。シンガポール子会社の学校向けサービスが減少傾向であることが要因と見られる。同社では、2021年12月期中に学校向けが下げ止まることに加え、2022年12月期以降は企業向けの需要が増加することにより、緩やかながらも増収に転じると見ている。



(2) イベントDX事業

イベントDX事業の売上高は前年同期比253.7%増の2,606百万円、セグメント利益は同345.4%増の552百万円となった。既述のとおり、コロナ禍を契機としたセミナーや説明会、株主総会などのオンライン化が、2020年12月期下期以降急速に浸透したことが高成長の要因となった。



2021年12月期第2四半期累計期間のイベント配信回数は前年同期比262.7%増の4,639回と急増した。これは、2020年12月期の年間配信回数(4,753回)に近い水準である。1回当たり平均単価は前年同期の57.5万円から56.2万円に若干低下したものの、期初計画は40万円弱まで下落する想定であったことを考慮すると、採算の良い高単価案件を中心に獲得できたと言える。一例を挙げると、1回当たり平均単価が100万円以上となるバーチャル株主総会を146社受注した。オンラインとオフラインのハイブリッド形式での株主総会であったが、評価は良好で2022年12月期以降も継続受注が見込まれている。また、2021年6月の法改正によってバーチャルオンリーの株主総会が開催できるようになったこともあり、2022年12月期はバーチャル株主総会を開催する企業数がさらに増加し、同社の売上増にも寄与すると弊社では見ている。



KPIについては、ARR※1は期初比96%増の33.9億円、NRR※2は252%と極めて高い。また、継続顧客数は365社、新規顧客の継続率は約6割、月平均解約率は1.14%と継続率が高いことも特徴である(SaaSサービスの月平均解約率は約2%)。



※1 ARR:継続顧客からの年間売上高(季節性を考慮して過去12か月間の数値)。2021年12月期第2四半期のARRは、継続顧客の2020年7月から1年間の売上高となる。

※2 NRR:継続顧客の1年間の売上継続率。2021年12月期第2四半期のNRRは、2020年12月期第2四半期時点の継続顧客のARRと、2021年12月期第2四半期の同一顧客のARRとの比率となる。





(3) サードプレイスDX事業

サードプレイスDX事業の売上高は前年同期比230.5%増の996百万円、セグメント利益は同339.9%増の327百万円となった。コロナ禍を契機としたWeb会議の需要が拡大するなか、Web会議を行う「場」の不足により企業向けの需要が急拡大した。注文から納品までのリードタイムが1か月から3か月に伸びるなど、生産体制の増強に追われるほどの好調ぶりであった。



2021年12月期第2四半期累計期間の「テレキューブ」設置台数は、前年同期の471台から2,152台に急拡大した。期初計画では通期で2,500台の販売を計画していたことから、計画を大幅に上回る進捗となっている。内訳を見ると、企業向け(サブスクリプション含む)が423台から2,059台、公共空間向けが48台から93台であった。企業向けの大半はロイヤリティ収入のみを売上計上するオカムラ経由の販売であるため、売上高の伸びは台数よりも低くなっているものの、利益率は前年同期の7.9%から16.9%と大きく上昇した。また、公共空間向けに関しては、駅構内やオフィスビルエントランス、複合施設などに加えて、マンションやコンビニエンスストアなどの生活圏内でも導入が進んでいることから、さらなる普及拡大が期待できる。なお、2021年6月時点の公共空間向けの利用率は、前年同月比84%増と好調に推移している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)