■要約



サイバーリンクス<3683>は、主に流通業と官公庁向けに基幹業務システム等を提供するITサービス会社である。事業セグメントについては、2020年12月期まではITクラウド事業とモバイルネットワーク事業の2本柱であったが、2021年12月期からは流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業の4つに変更している。同社が提供するクラウドサービスは、共同利用する「シェアクラウド」であり、高機能・高品質でありながら低価格を実現している点が特色であり強みとなっている。また、モバイルネットワーク事業は、(株)NTTドコモの2次代理店としてドコモショップの運営を行っている。



1. 2021年12月期第2四半期の業績概要

2021年12月期第2四半期の連結業績は、売上高6,862百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益578百万円(同21.8%増)、経常利益583百万円(同19.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益406百万円(同23.4%増)となった。セグメント別では、流通クラウド事業は、卸売業向けのEDIサービス「クラウドEDI-Platform」や、小売業向けEDIサービス「BXNOAH」、棚割システム「棚POWER」シリーズ等クラウドサービスの提供が拡大したことで定常収入が着実に増加したことに加え、ソフトウェア償却費も減少したことから利益率が向上し、増収増益となった。官公庁クラウド事業は、防災行政無線デジタル化工事等の特需がけん引し、増収増益となった。新たにセグメント分けされたトラスト事業は、先行投資の段階であることから、増収ながら損失を計上した。モバイルネットワーク事業は、前年同期に新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う営業時間短縮等の影響で落ち込んだ端末販売台数が回復し、増収増益となった。



2. 2021年12月期の業績見通し

2021年12月期通期の連結業績については、2021年5月に上方修正を発表した。上方修正後の連結業績として、売上高13,341百万円(前期比4.4%増)、定常収入6,688百万円(同4.1%増)、営業利益791百万円(同14.5%減)、経常利益824百万円(同13.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益556百万円(同13.8%減)としている。セグメント別では、主力の流通クラウド事業は定常収入の積上げなどから増収増益予想だが、官公庁クラウド事業では防災行政無線デジタル化工事需要等が一服することから減収減益予想となっている。また、モバイルネットワーク事業は、端末販売台数の回復により増収増益予想となっている。なお、トラスト事業は投資が先行することから損失を計上する予想となっている。ただし、これらはかなり厳しく見た予想であることから、各事業の進捗によっては全体の業績が上振れする可能性もありそうだ。



3. 中期経営計画

同社は2021年2月に、2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。基本方針は『「トランスフォーメーション2025」〜業界、顧客企業とともに、DXで生産性向上〜』を掲げている。重点戦略としては、流通クラウド事業では「企業間連携プラットフォームの立上げにより業界DXを実現」させること、官公庁クラウド事業では「大きく進展するデジタル化を、地方自治体の立場に立ってサポート」すること、トラスト事業では「マイナンバーカードをベースにしたトラスト分野への事業展開」を、モバイルネットワーク事業では「激変する競争環境で、リアル店舗の価値拡大を」目指す方針である。また数値目標としては、最終年度の2025年12月期に売上高145億円、経常利益16億円、経常利益率11.0%、定常収入90億円、定常収入比率62.5%、ROE13%以上を目指す。流通クラウド事業の成長により収益性を向上させる計画だが、2021年12月期上期実績も計画を上回って進捗していることから、中期経営計画も好調なスタートと言え、今後の動向が注目される。



■Key Points

・シェアクラウド、流通業界向けに特化したユニークなITベンダー

・2021年12月期第2四半期の営業利益は前年同期比21.8%増、流通クラウド事業が好調に推移

・2021年12月期は官公庁クラウド事業の需要一服により減益予想だが、上振れの可能性も

・中期経営計画では、2025年12月期に経常利益16億円、ROE13%以上を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)