■業績動向



1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要

サイバネットシステム<4312>の2021年12月第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比5.4%増の12,507百万円、営業利益で同10.2%増の2,238百万円、経常利益で同10.7%増の2,227百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同6.2%増の1,426百万円と増収増益となった。



売上高はCAEソリューションサービス事業におけるライセンス契約の更新需要が堅調に推移したほか、前年同期にコロナ禍で低調だったエンジニアリングサービスの売上が回復したことが増収要因となった。地域別売上高では、日本が前年同期比1.3%増の9,917百万円とやや伸び悩んだものの、アジアが同31.2%増の1,553百万円と増収基調が続いたほか、前年同期にコロナ禍の影響で落ち込んでいた北米が同7.8%増の663百万円、欧州が同31.0%増の341百万円とそれぞれ増収に転じた。また形態別売上高では、代理店ビジネスが前年同期比3.3%増の9,617百万円、自社開発製品が同3.1%増の1,563百万円、サービスが同27.1%増の1,326百万円となった。サービスの増収はCAEソリューションサービス事業におけるエンジニアリングサービスの回復と、ITソリューションサービス事業におけるクラウド・セキュリティサービスの伸長による。



なお、同社ではコロナ禍での対面営業が制限されるなかにおいて、新規見込み顧客獲得に向けた営業活動としてオンラインイベントやオンラインセミナーを積極的に開催した。当第2四半期累計での開催数は187回(前年同期は58回)、延べ参加者数は11,134人(同2,468人)となっており、今後も状況に応じてリアルとオンラインの両方を使い分けていく方針となっている。



営業利益の増減要因を見ると、増収効果と販売ミックスの改善に伴う原価率の低減効果により、販管費の増加(主に海外子会社の人件費増)を吸収した格好となっており、営業利益率は前年同期の17.1%から17.9%に上昇した。なお、特別損失として減損損失59百万円並びに事業整理損失引当金繰入額11百万円を計上している。減損損失の内容は、本社オフィスのスペース見直し等により廃棄が見込まれる固定資産や、Synopsysとの販売代理店契約終了に伴って投資回収が困難と判断した資産について、帳簿価額の全額を減損処理したものとなっている。また、事業整理損失引当金繰入額については、Synopsysとの代理店契約終了に伴って、光学系CAEソフトウェアの販売子会社であった韓国のCYFEMを清算することを決定しており、清算に関連して現時点で見込まれる損失を計上した。



(1) セグメント別業績動向

a) CAEソリューションサービス事業

CAEソリューションサービス事業の売上高は前年同期比6.5%増の10,346百万円、セグメント利益は同6.0%増の2,669百万円となった。国内では主力製品のマルチフィジックス解析ツールや光学系解析ツールの新規ライセンス販売が低調だったものの、ライセンス更新契約が堅調に推移したほか、機械・精密業界からの大型受注獲得等によりエンジニアリングサービスの売上が伸長した。



海外の販売子会社については、中国向けを中心にマルチフィジックス解析ツールや光学系解析ツールの販売が好調に推移した。また、開発子会社については、MaplesoftのSTEM※コンピューティング・プラットフォームやSigmetrixの公差解析マネジメントツール、Noesisの最適設計支援ツール等の自社開発ソフトの販売と技術サポートサービスが収益に寄与した。前年同期はコロナ禍によるロックダウンの影響等により営業活動の制限を受けていたが、2021年に入ってからは営業活動も正常化したことにより、Maplesoft、Sigmetrixともに増収となった。



※STEM:Science、Technology、Engineering、and Mathematics(科学、技術、工学、数学)という総合的な分野の総称。





b) ITソリューションサービス事業

ITソリューションサービス事業の売上高は前年同期比0.2%増の2,160百万円、セグメント利益は同72.2%増の333百万円となった。エンド・ポイントセキュリティ製品の販売が低調だったものの、企業のテレワーク体制の定着・浸透に伴い、クラウド環境向けセキュリティソリューションが前年同期比115.0%増と大きく伸長した。具体的には、「OneLogin」(クラウド型シングルサインオン・アクセスコントロールソリューション)のほか、新規取扱製品となる「Box」(クラウド型コンテンツ管理・共有サービス)、「Mobileiron」(統合エンドポイント管理機能を基盤とする業界初のモバイルを中心としたゼロトラスト・プラットフォーム)等が売上増に貢献した。



また、医療分野における自社開発製品となる「EndoBRAIN(R)」シリーズ(AIを用いた大腸内視鏡画像診断支援ソフトウェア)の販売も、機能強化(ユーザーインターフェースの強化、及び精度の向上)に取り組んだこともあって好調に推移した。同製品は、オリンパス<7733>製の大腸の超拡大内視鏡、汎用型大腸内視鏡で撮影された画像をAI が解析し、病変を検出すると警告を発して医師による病変の発見を補助するソフトウェアとなる。2020年に管理医療機器(クラスII)として承認され、オリンパスが大腸内視鏡とセットにして同ソフトウェアを医療機関に販売している。



売上高が微増だったのに対して利益が大幅増益となったのは、自社開発製品であり、売上高の増加が利益に直接繋がる「EndoBRAIN(R)」の販売増が要因である。



(2) 業種別、契約形態別売上動向(単体ベース)

単体ベースの売上高は前年同期比1.0%増の9,830百万円となった。顧客業種別の売上動向を見ると、電気機器が前年同期比2.6%減と減少傾向が続いた一方で、機械・精密機器が同10.5%増、輸送用機器が同3.9%増とそれぞれ伸長した。また、その他製造業は同1.3%減、教育・官公庁は同1.8%減となり、情報・通信については同9.8%増と増収に転じた。



電気機器業界向けについてはコロナ禍の影響が残るなかで、マルチフィジックス解析ツールの新規受注が低調に推移し減収となった。一方、機械・精密業界向けについては、エンジニアリングサービスの大型受注を獲得したことや、光学系解析ツールの新規ライセンスを受注したこと、オリンパス向け「EndoBRAIN(R)」が伸長したことなどが増収要因となった。輸送用機器向けについてはコロナ禍の影響が一巡したことにより増収となったものの、2年前の水準と比較するとまだ低く回復力は緩慢だった。また、情報・通信向けについては光学系解析ツールの受注増加により2年前の水準まで売上が回復している。



単体ベースの契約形態別売上高の動向について見ると、ライセンス形態のうち新規契約については前年同期比9.7%減の2,439百万円と減少したものの、更新契約については同1.0%増の6,307百万円と堅調に推移した。新規契約については前年同期に大型案件があった反動減に加えて、Synopsys製品の低迷が減少要因となった。更新契約が1.0%増にとどまった要因は、第1四半期にAnsys製品の更新契約(主に中小企業向け)に関する社内体制の整備が遅れたことによる。このため、第1四半期は前年同期比7.2%減と落ち込んだが、社内体制の整備が完了した第2四半期は同5.8%増と回復に転じている。



ライセンス形態以外の売上高は、前年同期比37.2%増の1,082百万円と大きく伸長した。エンジニアリングサービスで大型受注を獲得したことや、クラウド・セキュリティサービスが好調に推移したこと等が主因となっている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)