■業績動向



2. 2021年8月期のセグメント別業績動向

USEN-NEXT HOLDINGS<9418>の2021年8月期の事業セグメント別の業績は、店舗サービス事業が売上高56,112百万円(前期比0.1%減)、営業利益8,590百万円(同2.5%減)、通信事業が売上高48,179百万円(同9.5%増)、営業利益4,534百万円(同12.4%増)、業務用システム事業が売上高18,925百万円(同6.7%減)、営業利益2,898百万円(同16.0%減)、コンテンツ配信事業が売上高59,956百万円(同30.7%増)、営業利益5,731百万円(同667.7%増)、エネルギー事業が売上高27,926百万円(同5.2%減)、営業利益354百万円(同258.6%増)となった。各事業でまちまちな結果に見えるが、コンテンツ事業の飛躍やコロナ禍で厳しい環境となった事業で一定の利益水準を確保したことなどを考えると、事業間シナジーや経営戦略が効果的だったと言うことができる。



(1) 店舗サービス事業

2020年11月以降の新型コロナウイルス感染症の急拡大に伴い、全国各地で長期間、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出・実施された。このため、特に飲食店では営業時間の短縮や酒類の提供自粛などの要請が強まり、厳しい経営環境が続くことになった。同社はこれに対し、顧客ニーズの把握とスピード感のあるサービス提供とグループシナジーを生かした総合的な支援を行った。併せて、各店の業務ニーズに合わせてトータルでデジタル化する「USENまるっと店舗DX」、クラウドPOSレジ「Uレジ」、決済サービス「Uペイ」、回線工事不要の業務用Wi-fi「U AIR」、AIで最適なBGMを構成する「U MUSIC」などの拡販に努めた。また、飲食店など食品を取り扱う事業者向けには、食品衛生法の改正を受けて簡単に食品衛生管理を実施・記録保存できる「お店のHACCP」を開発した。こうしたサービスは、フロントからバックオフィスまで顧客のあらゆる業務の効率化や省人化・非接触化を推進するものであり、ウィズコロナ/アフターコロナにおいても不可欠な店舗DXと言える。なお、子会社のUSENは、2021年7月に中小企業庁から「経営革新等支援機関」に認定された。USENの店舗支援サービスの信頼性や認知度は今後一段と高まるだろう。



1回目の緊急事態宣言が発令された2020年8月期第3四半期は、一時的に顧客の離脱が増えて契約件数が純減した。しかし、2020年8月期第4四半期には早くも契約件数が純増に転じ、以後は契約件数の増加が加速し、2021年8月期第4四半期にはコロナ禍以前の契約件数を上回る91.2万件に達した。契約件数の中身を見ると、店舗向け音楽配信の契約数がネットで横ばいを続ける一方、その他店舗向けサービスの契約数が拡大している。これはバンドル率(1店舗当たりの契約数)が上昇しているということであり、高シェアを占める店舗配信サービスの顧客基盤をテコに1店舗当たり売上高を拡大するという、統合当時からの同社目的に沿った動きになっていると言えるだろう。なお、2021年8月期から同事業に統合された旧メディア事業は、「ヒトサラ」や「食べログ」といった飲食店向け集客支援サービスをメインで展開しているため、引き続き厳しい状況が続いている。そうしたなかでも、Instagramからヒトサラ加盟店の予約を可能にしたほか、全国主要都市のデジタルOOH(デジタルサイネージを活用した広告媒体)に応援ムービーを配信するなど、新たな飲食店支援も強化した。同事業の営業利益は微減となったが、期末に向けてPOSレジ初期費用無料キャンペーンやWebプロモーション、販売支援金など先行投資を強めたことが要因である。先行投資が翌期につながる施策であるという点、疲弊した飲食店が数多くあるなかで一定の利益規模を確保できた点を考慮すると、同事業の収益は非常に底堅く推移したと評価できる。



(2) 通信事業

もともと堅調な事業だが、BGMサービスとともにワンストップで提案したこともあり、コロナ禍により一段と高まる良好なオフィス環境の構築に向けて、ネットワーク関連サービスやクラウドサービス、データセンターサービスなどICT環境へのニーズをスムーズに取り込むことができた。テレワーク需要の拡大やオンライン会議の進展など、コロナ禍の影響も比較的プラスに出た事業と言える。なかでも、教育現場や公共団体へと業容を広げた法人向けICTの商材・サービスや、ワンショット型の回線取次からランニング収益型の月額課金型手数料収入へのシフトを進めている業務店向け自社光回線「USEN光plus」が順調に拡大した。利益面では、回線取次の減益や業務店向け自社光回線の販促強化の一方、法人向けICTの拡大、のれん償却(上期3億円)の終了などにより、営業増益を確保することができた。



(3) 業務用システム事業

同事業の売上の過半を占めるホテルは、インバウンド需要の急減とコロナ禍による外出自粛の影響が2020年8月期下期より1年半続いており、特に首都圏を中心としたビジネスホテルでは出張減少などもあって稼働率が大きく低下し、同社の事業活動にも影響を及ぼしている。しかし、こうした状況がゆえにホテルにおける省人化・省力化ニーズに一層拍車がかかってくるうえ、「非対面・非接触」という新たな課題の解消が「おもてなし」サービスを続けるホテルやゴルフ場などで必須となってきた。このため同社は、客室テレビを起点としたDXによりスマート・ホテルルームを実現する「IoT Terminal」や、ホテルとゲストの非接触接点を広げるDXアプリ「Stay Concierge」をリリースするなど、ウィズコロナ/アフターコロナを見据えた営業を積極的に推進した。



一方、病院においては、人工知能を使った顔認証・保険証確認機能搭載の次世代型キオスクを市場投入するとともに、クリニック向け精算機を市場投入した。従来総合病院を中心に機器を納品してきたが、これらによってクリニックや歯科などの小規模病院にもアプローチすることが可能となり、納品数は堅調に拡大した。さらに、厚生労働省が推進しているマイナンバーカードの保険証適用(オンライン資格確認)が2021年10月から本格運用された。同社の「Sma-paマイナタッチ」は推奨機器の1つに選定されていることから、総合病院から小規模病院、調剤薬局まで全方位の積極営業を展開した。省人化ニーズの強い飲食店向けにおいては、好みの食材や量を選びながらオリジナルメニューを作ってオーダーできる、パーソナル・オーダーシステムと自動精算機を連動させた完全無人化会計精算システムを開発した。主力のホテルが苦戦したことから、病院やゴルフ場などではカバーしきれずに減収減益となったが、アフターコロナを見越したホテルの先行投資も復活しつつあり、四半期別に見ると業況は改善傾向にある。なお、第4四半期に「Sma-paマイナタッチ」の売上が11億円発生したため大幅増収となったが、粗利率が相対的に低いため、それまで改善を続けていた営業利益率は一時的に低下した。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)