■日本システムウエア<9739>の業績動向



1. 2022年3月期第2四半期累計の業績概要

2022年3月期第2四半期累計期間における日本経済は、コロナ禍の影響により依然として厳しい状況にあるものの、ワクチン接種の進展などによる経済活動の再開に伴い正常化に向かいつつある。企業活動においては、コロナ禍で変化が加速している社会環境に適応するため、ビジネスモデル変革やバリューチェーンの最適化などこれまでにない成長戦略が求められており、情報サービス産業界においては、DX関連の取り組みやウィズ/アフターコロナを見据えた多様な働き方への対応ニーズが底堅く推移している。



このような状況のもとで同社は、「DX FIRST」を掲げる中期経営計画の最終年度を迎え、ITソリューション、サービスソリューション、プロダクトソリューションの3つの事業を手掛ける特長を最大限に生かして、各事業の連携強化やIoT、AI、5G/ローカル5G等のデジタル技術を活用したサービス展開により、顧客のビジネスモデル変革やマネジメントサイクルの最適化など、企業のデジタル変革を支える事業展開に注力している。



この結果、2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高20,548百万円(前年同期比15.8%増)、営業利益2,161百万円(同23.9%増)、経常利益2,187百万円(同24.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,493百万円(同33.6%増)と、大幅な増収増益となった。上期ベースで初めて売上高200億円、営業利益20億円を超えて過去最高を記録し、営業利益率も10.5%(同0.7ポイント上昇)となった。また、計画比では、営業利益は20.1%、営業利益率も1.1ポイント上回るなど、計画を大きく上回る着地となった。



具体的には、ITソリューションセグメントにおいて、国や自治体の補助金申請システム案件を複数受注したことによる売上増加が人件費や業務委託費等の増加を吸収し、業績に大きく貢献した。事実、2022年3月期第2四半期の業種別売上高構成(単体)では、官公庁・団体の構成比が13.8%と前年同期の7.7%から大きく増加している。これは、7〜8年前からものづくり補助金申請システムを手掛けた実績とノウハウを生かして、各種補助金申請システムに横展開してきた成果と言えよう。利益面ではITソリューションセグメントが寄与したほか、前年同期はコロナ禍による案件の一時中断や下期への後ろ倒し等のマイナスの影響が大きかったが、2022年3月期第2四半期は大きな影響はなかったことも増益につながったようだ。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益の増加率が特に高いのは、前年同期に特別損失として計上した損害賠償損失引当金がなくなったことによる。コロナ禍が続く厳しい経営環境ではあったが、同社が多岐にわたる取引先を確保していることが功を奏し、IT業界全体への底堅い需要にも支えられて、ITソリューションセグメントを中心に手堅く増収増益を達成したと評価できよう。





ITソリューションセグメントが好決算に大きく貢献



2. セグメント別概況

セグメント別の業績は、以下のとおりであった。



(1) ITソリューションセグメント

ITソリューションセグメントの売上高は7,251百万円(前年同期比28.6%増)、営業利益は901百万円(同125.4%増)、営業利益率は12.4%(同5.3ポイント上昇)となった。売上高については、官公庁・団体向けシステム開発や小売業向け機器販売が堅調に推移した。営業利益については、増収に伴う利益増のほか高収益案件が寄与し、大幅な増益となった。なお、計画比では売上高17.0%増、営業利益80.3%増となり、同セグメントの好業績が同社の好決算に大きく貢献した。



売上高の内訳を見ると、金融・公共ソリューションの売上高は3,398百万円(前年同期比20.4%増)となった。官公庁・団体向けの補助金申請システム案件や既存顧客案件の拡大等により増加し、金融・保険業向けも生損保系既存顧客の深耕により増加した。ビジネスソリューションの売上高は2,130百万円(同20.0%増)となった。小売業向けが既存顧客案件の深耕により店舗系システムを中心に増加したほか、製造業・物流業向けも既存領域の深耕や昨年から取り扱いを開始したERP(企業が有する経営資源を一元管理しリアルタイムで経営判断に役立てるシステム)の商談が活性化した。システム機器販売は小売業向けのセミセルフレジ・POS関連が増加した結果、売上高は1,722百万円(同65.7%増)となった。



(2) サービスソリューションセグメント

サービスソリューションセグメントの売上高は5,337百万円(前年同期比15.0%増)、営業利益は153百万円(同31.8%減)、営業利益率は2.9%(同1.9ポイント低下)となった。売上高については、クラウド環境構築サービス、BPO※サービスなどが増加し、増収となった。一方で営業利益については、事業拡大に向けた体制強化のための先行投資のほか、一部の低採算案件の影響などにより減益となった。この結果、計画比では売上高が4.7%増となったものの、営業利益は38.7%下回った。同セグメントは2020年3月期より独立したセグメントであり、事業が軌道に乗り同社全体の業績に貢献するにはもう少し時間がかかるようだ。



※Business Process Outsourcingの略。業務プロセスの一部について、一括して専門業者に外部委託すること。





売上高の内訳を見ると、クラウド・インフラサービスの売上高は4,180百万円(前年同期比18.8%増)となった。パブリッククラウド※移行案件が拡大したほか、インフラ構築案件、データ連携やBPOサービスなどが堅調に推移した。一方、デジタルソリューションの売上高は1,157百万円(同2.9%増)にとどまった。Web・ECが既存顧客の深耕等により事業規模を維持したものの、IoT・AIがIoT関連のライセンス販売が増加した一方で一部低採算案件の対応により機会損失が発生したことによる。



※サーバーなどのクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービス。





(3) プロダクトソリューションセグメント

プロダクトソリューションセグメントの売上高は7,959百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益は1,107百万円(同1.2%減)、営業利益率は13.9%(同1.1ポイント低下)となった。売上高については、組込み開発事業における通信分野や設備分野を中心に伸長し増収となった。営業利益については高水準を維持しながらも、前期の高収益案件の反動等の影響により横ばいにとどまった。なお、計画比では売上高が0.8%増、営業利益が5.4%増となった。引き続きセグメントで最も高い利益率を維持しているが、これは既述のとおり技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。



売上高の内訳を見ると、組込み開発の売上高は4,559百万円(前年同期比12.1%増)となった。設備機器で放送関連装置系の次機種開発や決済端末関連が伸長し、通信では5G/ローカル5G、次世代通信関連の開発・評価業務が拡大したほか、モバイルではキャリア向けアプリ開発などが増加した。ただ、オートモーティブではCASE※1、ADAS※2、モビリティ関連などの新領域が増加したものの、IVI(次世代の車載情報通信システム)関連の既存領域が減少した。一方、デバイス開発の売上高は、前期の高収益案件の反動もあり3,399百万円(同0.1%増)にとどまった。世界的な半導体供給不足はあるものの、LSIの設計・開発は堅調に推移している。



※1 Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の4つの頭文字をとった車の次世代技術や新サービスの造語。

※2 Advanced driver-assistance systemsの略で先進運転支援システムのこと。車の衝突検知や位置判定などドライバーの運転操作を支援するシステムの総称。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)