■今後の見通し



1. 2022年9月期の業績見通し

インタースペース<2122>の2022年9月期の連結業績は売上高で7,000百万円、営業利益で600百万円、経常利益で635百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で420百万円を計画している。2022年9月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用することで、売上高が目減りする格好となっている。具体的には、インターネット広告事業において従前は売上高、売上原価に含めていた広告媒体費を新基準では除外することになった。このため売上高が大きく目減りすることになるが、売上原価も同様に減少するため、営業利益への影響はない。2021年9月期の売上高を「収益認識に関する会計基準」等を適用したと仮定して算出すると6,380百万円となり、実質ベースの増減率は売上高で前期比9.7%増、営業利益で24.2%増、経常利益で1.8%増、親会社株主に帰属する当期純利益で1.8%減となる。営業外収支が1億円強悪化するのは、投資事業組合運用益(前期実績71百万円)を計上しない前提としているほか、持分法投資利益についても保守的に見ていることが要因だ。



2022年9月期の事業方針としては、国内広告事業の付加価値の強化、海外事業のさらなる拡大と早期黒字化、メディア運営事業へのさらなる投資と成長、の3点を掲げており、インターネット広告事業、メディア運営事業ともに増収増益を見込んでいる。



(1) インターネット広告事業

インターネット広告事業の業績は売上高で前期比6%増の45億円と3期ぶりの増収に転じる見通しで、営業利益も2ケタ増益を見込んでいる。国内アフィリエイト広告市場の回復に加えて、ストアフロントのさらなる収益拡大、海外事業の拡大などが要因となる。



アフィリエイト広告のカテゴリー別では、EC分野で売上低迷が続く可能があるものの、金融分野が引き続き堅調に推移するほか、2021年9月期下期から上向いてきたサービス分野の売上増加でカバーする見通しだ。サービス分野では、人材サービスに加えて2021年9月期下期から低迷が続いている美容・エステ関連の需要回復も見込んでいる。また、売上拡大施策として需要拡大が見込める新規広告商材の探索に注力していくほか、これまで蓄積してきたノウハウやデータを利用してコンバージョン率を高める施策の提案も推進していく。



ストアフロントについては、継続課金型商材であるセキュリティ商品の契約件数が前期と同様のペースで増加していることから、引き続き右肩上がりで売上増が続く見通しで、通期では前期実績の25億円から30億円超と予想される。また、携帯電話関連で継続課金型の新商品を2022年早々にも投入する予定にしており、同サービスの販売状況次第ではさらに成長する可能性がある。そのほか、サブスクリプション型サービスを個人事業主でも手軽に開始できるプラットフォーム「サブスクランプ」のリニューアルを2021年12月に実施している。業績に与える影響は軽微だが、潜在需要は大きいだけに今後の動向に注目したい。





海外事業では、新たな取り組みとして、2021年10月よりタイでナノ・マイクロインフルエンサーに特化した成果報酬型プラットフォームの提供を開始した。インフルエンサーがSNSを通じて商材を紹介するインフルエンサーマーケティングの市場がここ数年拡大しているが、東南アジアでもFacebookやYouTube、Instagramなどで影響力を持つインフルエンサーによる広告モデルが主流になってきており、同社でもこの市場を開拓していく方針だ。このプラットフォームの特徴は、誰でもインフルエンサーの登録が可能で、同社が海外版「ACCESSTRADE」に掲載しているEC、金融、旅行、教育など幅広いカテゴリーのキャンペーンのプロモーションについて、自身で簡単に参加し成果報酬を得ることができる仕組みにある。タイからスタートし、サービスエリアを東南アジア各国に拡大していく予定にしている。また、既存事業についてもメディアパートナーの発掘及び教育に注力していくほか、広告商材の拡充にも取り組んでいく方針だ。なお、人員体制についても見直す予定で、インドネシアに続いてその他の子会社も早期黒字化を目指していく。これらを推進することにより、若干の損失を見込んでいるものの前期からは改善する見通しとなっており、今後の動向が注目される。



(2) メディア運営事業

メディア運営事業の売上高は前期比8%増の25億円、営業利益で2ケタ増益を見込んでいる。運営メディアのUU数拡大に向けてコンテンツ拡充など投資を継続するほか、「塾シル」については認知度向上に向けたプロモーション施策を下期に実施する予定にしている。また、新たな収益モデルとして課金型コンテンツのサービスも開始しており、収益の多様化を進めていく。



「ママスタ」については、UU数が順調に伸びていることから増収増益を見込んでいるものの、競争激化やアドネットワーク広告単価の下落傾向が続いていることから保守的な計画となっている。「塾シル」については、業界最大のポータルサイト「塾ナビ」の掲載教室数が8.7万教室以上あることから、さらなる掲載教室数の拡大が課題となっている。このため、「ママスタ」との連携強化を進めていくと同時に、約30百万円を投下してWebプロモーションやテレビCMなどを実施する予定にしている。この結果、売上高は1億円を超えるものの、営業損失は前期から若干拡大する計画となっている。「塾シル」の特徴は、保護者や生徒の知りたい情報が充実している点にある。送客ルートには資料請求、体験授業、電話と3つのルートがあるが、なかでも体験授業申し込みと電話の問い合わせ件数が多く、結果的に送客に対する入塾率の割合が35〜50%と競合サイトに比べて格段に高い点が強みとなっている。学習塾側から見た費用対効果が高いことが認知されれば、掲載教室数も大きく伸びる可能性はあり、今後の動向が注目される。



課金型コンテンツについては、自社運営の「ヨガジャーナルオンライン」で公認インストラクター4人によるオンラインレッスンの提供を開始している(課金体系は月額及び都度課金で提供)。また、子会社の4MEEEでも、2021年9月より、ヘルスケアアプリ「4MOON(フォームーン)」でサブスクリプションサービスを開始した(月額360円)。ヘルスケアアプリ「Moon(ムーン)」(広告型モデルで無料)を10年以上運営しており登録ユーザー数も数万人規模となっているが、より幅広い年齢層の女性に役立てるアプリとして「4MOON」を開発しており、今後は「Moon」のユーザーを「4MOON」に移管していく予定だ。このほか、ユーザーから要望の多いオンライン医療相談に関しては、(株)メディカルノートの「Medical Note 医療相談」を同アプリで提供している。



(3) 人材戦略について

人員の採用戦略については、生産性を重視した採用を進めていくほか、優秀な人材の定着率を高めていくため、テレワーク環境下での教育体制を充実するほか、今後は制度改革にも積極的に取り込むとしている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)