■今後の見通し



1. 2022年6月期業績の見通し

ベイシス<4068>の2022年6月期の業績予想については、売上高5,941百万円(前期比21.4%増)、営業利益445百万円(同16.1%増)、経常利益439百万円(同19.9%増)、当期純利益277百万円(同16.2%増)を見込んでおり、期初計画を据え置いている。通期計画に対し売上高、営業利益ともに順調に進捗しており、第1四半期営業利益の進捗率は33.9%となる。売上総利益については、原価の見直し及び最適化を行い、計画よりも改善。足元でのキャリア各社による5G投資の動きやガス業界によるスマートメーターの旺盛な切り替え需要を勘案すると、やや保守的な計画であると弊社では考えている。



また、同社はソフトバンクと10年程の付き合いがあり、信頼関係を構築している。2021年4月にはソフトバンクとソフトバンクの子会社であるSBエンジニアリング(株)と協業し、LPガス事業者向けに、LPガススマートメーター用NCU(Network Control Unit)設置・保守サービスを全国で開始しており、ソフトバンクとの協業メリットなども今後は期待されてくると弊社では考えている。また、電力会社のスマートメーター化は一巡したものの、前述したとおり故障などもあるため、入れ替え作業のほか定期的な更新需要もあるだろう。さらに、中長期的には保守・管理等のストック売上につながることが見込まれるため、継続的な利益の積み上げが期待されよう。



そのほか、ガス業界向けスマートメーターの設置が進んでいるが、東京ガス<9531>と大阪ガス<9532>、東邦ガス<9533>は、2020年12月に、通信機能を持つ次世代検針器「スマートメーター」のシステムを共同開発することで合意。他の都市ガス事業者、LPガス事業者、水道等の他のインフラ事業者の利用も視野に入れているとのことであり、この分野において需要を囲い込むことも可能であろう。



2. 中長期成長戦略

(1) モバイルの安定継続成長

インフラ業界は5Gの拡大を受け、利用エリア拡大に向けた電波環境の構築、保守運用ニーズが増加している。同社はその事業機会を確実に捉え、今まで培ったノウハウやテクノロジーをベースに事業領域を拡大し、高成長を目指す。安定収益基盤としては、モバイルの安定継続成長を挙げており、ローカル5Gを含めた5G時代のモバイルインフラを構築することに伴う、順調な成長を見込んでいる。



(2) 事業領域の拡大、IoTを第2の柱に

成長ドライバーとしては、事業領域の拡大先としてIoTを第2の柱に挙げている。今後、多種多様な業界に広がり、急成長が予測されるIoTインフラビジネスを拡大することで、事業の第2の柱を作る計画である。5Gの拡大、通信技術のさらなる高度化によって、生活インフラ分野や環境、エネルギー、モビリティ、農業・畜産分野など、事業領域は拡大していくことになろう。また、各種IoT機器は、設置後一定の期間で交換の必要が生じるため、毎年一定の更新需要が発生し、安定・継続的にキャッシュ・フローの創出が期待できると弊社では考えている。



(3) アライアンス・M&Aでさらなる成長

そして新領域については、アライアンス及びM&Aを通じたさらなる成長を目指している。アライアンスやM&Aを活用し、新たな商品・サービスの追加、新たな顧客を開拓することでさらなる成長エンジンを作る狙いである。これについては、2021年10月に業務提携している(株)INDUSTRIAL-Xへ資本参加することを決議している。INDUSTRIAL-Xは、DXを推進するためのリソース(戦略、ビジネスモデル、人、モノ、金、情報、セキュリティ)をサービスとして提供するRaaS(Resource as a Service)のビジネスモデルであり、同社のインフラテック事業(IoTエンジニアリングサービス)との事業シナジーがあると見込んで、2020年3月に業務提携した。5G通信のサービスが開始され、その普及が加速度的な広がりを見せ始めており、近い将来にIoT社会の到来が予見されるなか、さらなる関係の強化を図ることで双方の企業価値向上を目指す。



(4) 今期の重要施策

また今期の重要施策としては、モバイルエンジニアリングサービスにおいて、楽天モバイル、ソフトバンク、KDDIとの取引拡大による各キャリア内でのシェア拡大によるストック売上高の増加を図る。なお、同社はNTTドコモとの取引はないが、NTTグループ内で業務対応する慣例が残っていることも関係していると推察される。二次請け・孫請けまでしてNTTドコモとの取引を取りに行くよりも、楽天モバイル、ソフトバンク、KDDIとの取引拡大を進めた方が全体最適であると弊社では考えている。もっとも、価格面では同社の優位性は高く、コスト競争力の観点からは、いずれNTTグループの牙城を崩す時は訪れる可能性はあると期待したい。また、IoTエンジニアリングサービスにおいては、IoT設置台数の増加及びフローからストックへの提案強化となっている。



なお、同社は通信工事会社とは一線を画している。自社・系列のメンテナンス会社を独占的に行ってきたエレベーターメンテナンス業界を、質の高いサービスを適正価格で提供することで大きく変えたジャパンエレベーターサービスホールディングス<6544>、多重下請け構造の印刷業界を大きく変えたラクスル<4384>のように、同社は通信工事業界に新たな旋風を巻き起こす可能性がある企業として弊社では期待している。



(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)