■テリロジー<3356>の業績動向



2. 株主還元やM&Aによるキャッシュアウトを吸収して財務体質は健全性を保っている

財務体質についても、健全性を維持している。2022年3月期上期末の自己資本比率は41.4%(前期末は46.6%)、流動比率は150.1%(同169.9%)と低下した。近年の推移を見ると、自己資本比率が2018期3月期末の24.4%から2020年3月期末には53.9%へと大幅に上昇し、流動比率も2018年3月期末の99.0%から2020年3月期末には209.4%と十分な支払余力を示す200%超えを達成していただけに、足元の動きに注意を払う向きもあろう。



しかしながら、これらの財務指標の悪化は、自己株式の取得(2022年3月期上期234百万円)や警察庁向け大型案件受注を含む前受金(流動負債)の増加(2020年3月期末787百万円→2022年3月期上期末2,452百万円)を受けたものであり、特に問題視する必要はない。実際、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は0.14倍(同0.13倍)、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は1,952百万円(同2,070百万円)と前期末水準を保ち、配当やM&Aによるキャッシュアウトを吸収して財務体質は健全性を維持している。



また、通常の配当原資となる単体ベースの利益剰余金は2022年3月期上期末で301百万円(同502百万円)となっている。なお、1株当たり5円配当を賄うために必要な資金は82百万円程度であり、3年分弱の配当原資を確保していることになる。



2021年3月期上期末における総資産は前期末比293百万円減の5,331百万円、純資産は同407百万円増の2,235百万円となった。前期末比増減の内訳を見ると、資産では受取手形及び売掛金の564百万円減、負債では前受金(流動負債)の721百万円増などが目立ったものとして指摘できる。前者は季節習性要因と言え、後者は警察庁向け大型案件によるものである。



また、財務体質の健全化は営業外損益の改善にもつながっている。輸入商材を主力プロダクトとして取り扱う同社の場合、為替差損益が営業外収益に与える影響を完全に排除することはできないものの、2022年3月期上期の支払利息は前年同期比46.6%減となり、有利子負債圧縮効果が継続している。



2022年3月期上期末における現金及び現金同等物の残高は1,981百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益が174百万円となったことや前受金が184百万円増加したこと等を受けて320百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは有形・無形固定資産や投資有価証券の取得による支出を主因に113百万円の支出となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出28百万円、配当金の支払額82百万円、自己株の取得による支出249百万円等が積み上がり、全体として350百万円の支出となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)