■要約



デリカフーズホールディングス<3392>は外食・中食・コンビニエンス業界向けにカット野菜や、ホール野菜を卸す、いわゆる「業務用の八百屋」の国内最大手で、農産物の流通を通じて農業の発展と人々の健康な生活づくりに貢献する創造型企業である。2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で外食市場が大打撃を受けるなか、量販・小売業界向けの顧客開拓、並びにBtoC事業、ミールキット※事業を相次いで立ち上げ、事業ポートフォリオの変革を推進している。



※ミールキットとは、あらかじめ決まった料理メニューを簡便に作れるように、肉や魚、野菜などの食材と調味液などをパックにして提供する商品で、肉や魚などは半分調理した状態、野菜はカットした状態で提供される。





1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要

2022年3月期第2四半期累計(2021年4月〜9月)の連結業績は、売上高で前年同期比29.0%増の18,117百万円、経常損失で611百万円(前年同期は1,015百万円の損失)となった。コロナ禍により断続的に発出した緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う飲食店への営業時間短縮要請等の影響により、黒字回復には至らなかったものの損失額は縮小した。収益回復施策として取り組んできた事業ポートフォリオ変革の効果が出ている。具体的には、コロナ禍に強い外食業態(テイクアウト、宅配・デリバリー業態等)や中食、給食、量販・小売業界等で新規顧客開拓を進めてきた。これら新規顧客並びに既存顧客の取引深耕による増収効果は1,815百万円と前年同期比で1.5倍に拡大した。また、BtoC事業や新規事業となるミールキット事業も売上増に貢献した。



2. 2022年3月期の業績見通し

2022年3月期の業績見通しについては、売上高で35,000〜37,000百万円(前期比10.3〜16.6%増)、経常利益で100〜500百万円(前期は1,031百万円の損失)と期初計画を据え置いている。同社は緊急事態宣言の解除時期によってレンジでの開示を行っており、予想の下限値の前提(2021年9月まで半年間緊急事態宣言が続き、その後は再発出されない)が実態にもっとも近い前提となっている。売上面では外食業界以外の開拓が順調に進んでいることから計画を上回る可能性が高いが、経常利益に関しては下期だけで7億円以上の水準が必要となり、ややハードルは高い。ただ、2021年10月の月別経常利益は83百万円と、緊急事態宣言発出により一時的に落ち込んだ前月9月からV字回復を見せていることから、同社では通期での黒字化は現時点では十分可能と見ている。また、下期はミールキット事業拡大のため長崎工場の生産能力増強を計画しているほか、同社として初となる冷凍野菜の製造ラインを愛知事業所に整備する予定で、合わせて6億円程度の投資を計画している。



3. 第四次中期経営計画

2022年3月期からスタートしている第四次中期経営計画では、事業ポートフォリオの変革、青果物流通インフラの構築、サスティナビリティ経営の推進の3つを基本戦略として掲げている。事業ポートフォリオの変革については順調に進んでおり、商品ラインナップも、ミールキットに加えて2022年4月から冷凍野菜の製造販売も開始する予定で、さらなる顧客開拓や既存顧客との取引深耕が進むものと期待される。またBtoC事業では、「野菜BOX」の通販サービスに加えて異業種連携によるビジネス拡大に取り組み、ミールキット事業では自社ブランドでの展開も進めていく予定だ。インフラ面では新工場または物流センターを新たに3拠点開設する計画となっている。フードロスの削減にも取り組みつつ、これら戦略を推進することで2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円と過去最高業績の更新を目指す。コロナ禍の影響により業績は一時的に悪化したものの、事業ポートフォリオの変革によって顧客層を拡大することに成功しており、今後ミールキット事業やBtoC事業が順調に育ってくれば収益の成長ポテンシャルも一段と高まることになるだけに、今後の動向が注目される。



■Key Points

・2022年3月期第2四半期累計業績はコロナ禍で損失が続いたものの、事業ポートフォリオの変革で売上高は急回復

・直近の月別業績ではコロナ禍前(2019年10月)を上回る水準まで売上が回復。2022年3月期業績は2期ぶりの黒字化を目指す

・事業ポートフォリオの変革、青果物流通インフラの構築等により、2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)