■業績動向



1. 2021年9月期の業績概要

(1) 損益状況

アイナボホールディングス<7539>の2021年9月期の連結業績は、売上高66,121百万円(前期比1.2%増)、営業利益1,903百万円(同5.9%増)、経常利益2,121百万円(同3.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,309百万円(同2.9%減)となった。セグメント別では、戸建住宅事業・大型物件事業ともに増収増益となった。コロナ禍からの回復時期ではあったものの、伸び率はやや低調であった。同社の場合、一般的に他業種より遅れて回復する傾向があるため、コロナ禍からの回復もやや遅れたと言える。



売上総利益率は14.4%(前期14.2%)と前期比0.2ポイント改善したが、主に製品構成の変化による。この結果、売上総利益は前期比2.9%増となり、販管費が同2.1%増に止まったことから営業利益は増益となった。サブセグメント別では、建材販売とタイル販売が低調で、業績全体の足を引っ張る格好となった。親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったのは、前期比で税率がアップしたことによるものだ。



営業利益の増減を分析すると、増益要因としては増収による増益が244百万円、売上総利益率改善(前期比0.2ポイント増)による増加が22百万円となり、減益要因としては販管費の増加による減益が159百万円となった。その結果、営業利益は前期比で106百万円増となった。



(2) セグメント別状況

セグメント別及びサブセグメント別状況は以下のとおり。



a) 戸建住宅事業

戸建住宅事業の売上高は56,480百万円(前期比1.4%増)、セグメント利益は2,325百万円(同1.7%増)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が14,373百万円(同1.6%増)、住設工事が17,107百万円(同3.2%増)、建材販売が13,142百万円(同3.7%減)、住設販売が11,858百万円(同4.9%増)となった。



前期のコロナ禍の影響による最悪期に比べて2021年9月期は回復傾向にあると言えるが、回復ペースはやや鈍い。同事業の場合、過去の景気回復局面においても他業種に比べてやや遅れて回復する傾向があったことから、今回もその傾向の表れと言えそうだ。足元の受注残は、堅調で新規顧客開拓も着実に進んでおり、2022年9月期に期待が持てる内容であった。



b) 大型物件事業

大型物件事業の売上高は9,641百万円(前期比0.2%減)、セグメント利益は827百万円(同1.7%増)となった。減収ながら、コスト見直し効果や温調技研(株)の好調による利益率の改善で増益となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が3,427百万円(同13.5%減)、住設販売・工事が6,213百万円(同9.1%増)となった。タイル販売・工事が減収となったのは、店舗・商業施設向けが低調であったことに加え、コロナ禍の影響でマンション向けの不振(仕様変更が発生し、タイル使用率が低下した)による。一方で、住設販売・工事は比較的堅調であったが、主に温調技研が寄与した。



(3) 事業会社別業績

各事業会社の業績では、(株)アベルコの売上高は50,548百万円(前期比1.1%増)、営業利益は1,600百万円(同10.1%増)、(株)インテルグローの売上高は10,543百万円(同4.0%増)、営業利益は181百万円(同57.1%増)、温調技研の売上高は2,096百万円(同16.4%増)、営業利益は310百万円(13.0%増)となった。(株)今村の売上高は3,126百万円(同13.9%減)、営業利益は35百万円(同63.0%減)となった。今村はタイル関連の売上比率が比較的高いため、タイル不振の影響を大きく受けた。



(4) 重点課題の達成状況

同社が「重点課題」とした各課題の達成状況は以下のとおりとなった。サイディングの売上高は2,919百万円(前期比2.3%減)、サイディングプレカットの件数は794件(同3.7%増)とほぼ前期並みであった。コロナ禍の影響で施工の外注先を思うように確保出来なかったことが伸び悩んだ主因である。しかし、利益率も改善しており、内容としては悪くなかったと言える。非住宅の売上高は1,623百万円(前期比較なし)となった。注力しているサッシ関連では、サッシ支店含む売上高は2,802百万円(同24.8%増)、サッシ支店を除く売上高は1,636百万円(同37.4%)となり順調に拡大した。サッシ事業では、組立て及び図面の内製化を進めており、利益率は改善した。



ブランド事業では、(株)アルティスが「アルティス(システムバス)」の売上高は269百万円(同1.1%減)とまずまずであったが、アベルコで取り扱う「マリスト(タイル)」の売上高は1,004百万円(同28.7%減)と不調であった。マリストは、金額は少ないが利益率が高いことから、全体の利益率にも影響したもようだ。また同社が最も重視している指標の1つである新規顧客開拓については、件数は739件(同22.6%増)、売上高は1,480百万円(同52.1%増)と計画どおり順調な伸びとなった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)