■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の今後の成長戦略



1. 市場動向

パチンコ市場は長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2021」によれば、2020年のパチンコ・パチスロ参加人口はコロナ禍の影響もあって、前年比20%減の710万人、市場規模(貸玉料)で同27%減の14.6兆円と縮小ペースが一段と加速する格好となった。



こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数減少傾向も続いており、2020年末の店舗数は前年末比6.3%減の9,035店となり(警察庁「令和2年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より)、遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年末比4.9%減の2,432千台、パチスロ機が同4.0%減の1,572千台といずれも減少傾向が続いている。2021年に入ってもコロナ禍で稼働率の低迷が続いていることに加え、旧規則機から新規則機への移行に伴う投資負担増などから、中小規模のホールの淘汰が一段と進んでいるものと見られる。実際、ここ数年は1店舗当たりのパチンコ・パチスロ機の設置台数の上昇傾向が続いており、2020年末は443台と前年末から8台増となっている。ちなみに、同社グループの2021年9月末時点における1店舗当たりパチンコ・パチスロ機の設置台数は472台となっている。



なお、1店舗当たりの貸玉収入で見ると2020年3月期で同社は16億円強となっており、業界平均の20.7億円に対して低くなっている。設置台数が業界平均を上回っているにもかかわらず貸玉収入が少ないのは、パチンコ機で低貸玉タイプの設置比率が約7割と業界平均の5割弱に対して高いためと考えられる。前述したように、同社はパチンコを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽として位置付けており、低貸玉料でも収益力を確保できるローコストオペレーションに取り組み事業を拡大してきた。今回のコロナ禍での逆風により低貸玉営業店の収益性も厳しくなっているが、今まで培ってきたローコストオペレーションに対するノウハウや前述したコストマネジメント等によって、厳しい環境のなかでも収益を確保していくものと予想される。



2. 成長戦略

同社のパチンコ事業における今後の成長戦略として、「多店舗展開」「低貸玉営業」「商品開発」「データドリブン」「コストマネジメント」の5つをテーマに取り組んでいく。



(1) 多店舗展開

コロナ禍の影響が長引き、パチンコホールの淘汰が加速するなか、同社も当面は既存店舗の収益確保を最優先に取り組んでいくものの、収益が安定して見込めるようになった段階で居抜き物件の購入やM&Aなどによる店舗展開を進めていくものと見られる。M&Aの対象物件の条件としては、遊技機の設置台数で400〜500台と中規模クラスの店舗であること、近隣にグループ店舗がなく来店客の食い合いが生じない店舗となる。



(2) 低貸玉営業

店舗の新規出店については低貸玉営業を基本に進めていく。地域のインフラとして、パチンコ・パチスロを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽にすることをビジョンとして掲げており、ビジョンを達成するために低貸玉営業店舗を増やしていく。低貸玉営業に注力することの優位性としては、客層が幅広くなるため小商圏への出店が可能なことなどが挙げられる。



(3) 商品開発

PB機の商品開発を今後も強化していく。顧客ニーズにマッチした商品を開発・導入していくことによりコストマネジメントが図れることに加え、競合店との差別化を図るという点においても重要な戦略と位置付けている。



(4) データドリブン

店舗運営においてビッグデータを活用した取り組みを推進していく。具体的には遊技データや顧客データを基に顧客ニーズを分析し、遊技機の品揃えに反映させていくことで稼働率を高めていく。



(5) コストマネジメント

前述したとおり店舗オペレーションの見直しを全店舗で取り組んでいくことで、店舗の収益力を向上していく。



弊社では、今回のコロナ禍を契機としてパチンコホール市場は大手資本による集約化が進むものと予想しており、そのなかで低貸玉営業によって幅広い顧客層を持ち、ローコストオペレーションを確立している同社にとっては、シェア拡大によって再成長を図る好機になるものと予想している。現在グループ店舗数では業界トップとなっているものの市場シェアは5%程度であり、シェア拡大による成長余地は大きい。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)