■要約



1. 会社概要

日新<9066>は1938年に創業し、優れた海外ネットワーク網が強みの独立系総合物流企業である。国際総合物流のパイオニアとして海上輸送、航空輸送、鉄道輸送、トラック輸送、倉庫、引越、通関など物流全般にかかわる事業を幅広く展開している。強みである海外ネットワークと国際物流を生かし、海外事業展開及び顧客ニーズに合致した新たなビジネスモデルをグループ一体となって創出することで、顧客から信頼され評価される「グローバル・ロジスティクス・サービス・プロバイダー」を目指している。



同社グループの海外拠点は24ヶ国・地域、35現地法人(一部合弁会社含む)にわたる。豊富な海外拠点によってきめ細かなグローバル・ロジスティクス・ネットワークが構築され、航空貨物、海上貨物、港湾・倉庫、国内までワンストップで多様な顧客ニーズに対応している。



2. 業績動向

2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比24.2%増の85,931百万円、営業利益が3,603百万円(前年同期は251百万円の損失)となった。また期初計画比では、売上高で14.6%増、営業利益で71.6%増と計画を大きく上回って着地した。ワクチン接種率の地域差や新型ウイルス変異株発生による感染者拡大の影響で荷動きが鈍化するとの予想に反し、好調な荷動きが継続した。また、輸送スペースが逼迫するなかでも安定供給に努めた結果、通常貨物に加え緊急貨物取扱いも増加した。物流事業では、海上コンテナ不足と米国西海岸の混乱によって2021年3月期第3四半期から急増している航空シフトの需要を着実に捉えたことに加え、需給逼迫のなかでも輸送スペースを確保し取扱いが増加した。旅行事業では、国内旅行の取扱人数増加に加え、経費削減施策効果により収益が改善した。



2022年3月期の連結業績について同社は、2021年11月に上方修正を発表し、売上高が前期比1.9%減の153,000百万円、営業利益が同145.1%増の6,400百万円とした。これは第2四半期業績が期初計画を上回って着地したこと、また、回復基調は今後も継続する見込みであることが背景にある。なお、2022年3月期の期末配当については、2021年11月に発表した業績上方修正等を勘案し、前回予想(同年5月公表)の1株当たり28.00円から2.00円増配し、30.00円(年間58.00円、前期比2.00円増)を予定している。



3. 中期経営計画

第6次中期経営計画の最終年度となる2022年3月期の取り組みとしては、(1) EV・FCV関連市場の開拓、(2) 化学品・危険品、食品物流の国内外事業強化、(3) 物流施設再編による収益拡大、(4) 新基幹システムの軌道化、(5) DXへの積極的な取り組み、(6) グループ会社のガバナンス機能強化、がある。このうち「(4) 新基幹システムの軌道化」については、2021年7月に稼働した新基幹システムにより事業ごとの収益を明確にアウトプットすることで、同社の事業ポートフォリオを改めて精査し、より効果的な経営資源の投入を目指していく。また、「(5) DXへの積極的な取り組み」としては、オンラインで「見積もり」「発注」「作業進捗」の一元管理ができるデジタルフォワーディングサービス「Forward ONE」開設により営業プロセス改善を図るほか、貿易情報連携プラットフォーム「TreadeWaltz(R)」を運営する(株)トレードワルツに共同出資し、「TreadeWaltz(R)」を活用することでフォワーディングサービスのデジタル化を進め、よりスピーディな国際物流ポータルサービスの提供を目指す。



第6次中期経営計画は2022年3月期が最終年度となり、2023年3月期から第7次中期経営計画がスタートする。第7次中期経営計画については2038年の創立100周年を見据え、2038年の目指すべき企業像を明確にし、それに向けた施策を第7次中期経営計画として策定する方針だ。具体的には、外部環境変化に柔軟に対応できる強靭な事業構造の構築を目指し、「事業基盤強化」及び「経営基盤強化」を重点施策としている。なお、第6次中期経営計画で設定した重点3分野への注力については、第7次中期経営計画においても継続する方針で、化学品・危険品物流、食品物流の売上シェアを自動車関連物流に次ぐ柱とすべく取り組んでいく。



■Key Points

・国際総合物流のパイオニアとして物流全般にかかわる事業を幅広く展開。「グローバル・ロジスティクス・サービス・プロバイダー」を目指す

・2022年3月期第2四半期業績が期初計画を上回って好調に推移、回復基調は今後も継続する見込みであることから、通期業績予想を上方修正

・第6次中期経営計画の重点施策は順調に推移、次期中期経営計画に向けて最終段階へ



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)