■決算動向



3. 2022年3月期上期決算の概要

芙蓉総合リース<8424>の2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比20.1%減の2,854億円、営業利益が同12.3%増の235億円、経常利益が同20.7%増の274億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同30.3%増の180億円と、会計基準の変更により減収となったものの、各段階利益は増益かつ過去最高益(上期ベース)を更新した。通期予想に対しても順調に進捗している。



売上高は、会計基準の変更※1により減収となったものの、従来基準では前年同期とほぼ同水準を確保している。一方、事業本来の業績を示す「差引利益」については前年同期比4.8%増の481億円と順調に拡大した。特に、戦略分野では「航空機」などでコロナ禍に伴う厳しい環境が続いているものの、引き続き好調な「不動産」や「エネルギー・環境」の伸びでカバーするとともに、ファイナンス事業においても、適切なポートフォリオの入替やエクリティ投資※2による収益の増加が増益に大きく寄与した。また、費用面についても、前年同期に計上した一過性コスト※3のはく落による人物件費の減少や資金原価減、貸倒関連損益の改善※4などにより抑制するとともに、持分法投資利益※5の増加等に伴う営業外収益の伸長も手伝い、経常利益は大幅な増益となった。



※1 「収益認識に関する会計基準」等の適用によるもの。損益への影響はない。

※2 主に不動産ファイナンスや再生可能エネルギー事業におけるエクイティ出資からの収益。

※3 前年同期は本社移転関連費用(6億円)の計上があった。

※4 貸倒関連損益は、債権取立益14億円の計上などにより1億円のプラス(前年同期は7億円のマイナス計上)となった。

※5 特にカナダの子会社(ピックアップトラックのリース)や、横河電機との合弁による横河レンタ・リース(PC・計測器のレンタル)が好調であったもようだ。





「契約実行高」については、前年同期比2.8%減の6,439億円に若干減少したものの、収益性を意識しながら一定水準を維持したとの見方が妥当であろう。特に戦略分野の伸長により、リース全体の実行高は前年同期を上回ることができた。また、「営業資産」についても、流動化を通じたアセットコントロールによりファイナンス・リースが減少したものの、「不動産」及び「航空機」を中心としたオペレーティング・リースの積み上げでカバーし、前期末とほぼ同水準の2兆5,582億円を維持した。



これらの結果、ROA(年換算)※については2.15%(前年同期は1.94%)に大きく改善した。収益性の高いポートフォリオへの入替が奏功し、ROAは中期経営計画目標値(2.0%)を上回って推移した。



※経常利益(年換算)÷ 営業資産残高(平残)





財政状態については、総資産が前期末比1.0%減の2兆9,496億円とほぼ横ばいで推移した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同6.6%増の3,247億円に増加したことから、自己資本比率は11.0%(前期末は10.2%)に改善した。また、有利子負債(リース債務を除く)も前期末比1.8%減と若干減少するとともに、良好な調達環境を背景として積極的に社債※1を活用したことから、直接調達比率は31.1%(前期末は32.6%)、長期有利子負債比率※2は57.5%(同56.2%)、短期の支払い能力を示す流動比率も136.7%(同137.1%)と安定しており、財務の健全性は維持されている。



※1 ESGファイナンスの取り組みによる、サステナビリティボンド(芙蓉CSVボンド)の発行を含む。

※2 有利子負債(リースを除く)に占める、長期有利子負債(社債+長期借入金+債権流動化に伴う長期支払債務)の比率





各戦略分野における業績や活動実績は以下のとおりである。



(1) 不動産

2021年9月末の「営業資産残高」は、前期末比11.2%増の6,175億円と順調に拡大した。中期経営計画の増額修正目標(5,300億円)については1年前倒しで達成済みであるが、そこからさらに伸ばすことができた。不動産事業におけるユーザーやアライアンス先などディールソースの多様化が営業資産の積み上げに寄与した。また、事業会社向け財務戦略型ソリューションとしてのリースバック案件も着実に取り込むことができたようだ。建物用途別内訳を見ると、商業、ホテル、介護・居住、レジャー・サービス、物流、その他などに分散されているほか、ブリッジ案件※の比率も増えてきた。一方、ROAについても、既存アセットの流動化により資産効率性を高めたことなどにより2.4%(前年は2.3%)と高水準で推移している。今後に向けても、大和ハウス工業<1925>との連携による台湾での不動産リース(日系大手飲食事業者向け)の実行やアライアンス先との協業による開発案件への参加など、ビジネス領域が順調に拡大しているところは評価すべきポイントと言える。



※顧客が保有する土地・建物の問題に対処していく過程で、一時的に同社が預かり、様々な問題を解決していく案件のこと。





(2) 航空機

2021年9月末の「営業資産残高」は、前期末比14.0%増の1,692億円とコロナ禍に伴う前期の落ち込みから増加へ転じた。厳しい業界環境が続くなかで、良質な案件(エアライン・機種)を選別した着実な積み上げを推進。自社保有機体数(契約ベース)は45機(前期比1機増)となり、若齢機・ナローボディを中心とした健全な機体ポートフォリオを維持している。ただ、東南アジア所在のエアライン向けリース料回収は正常化には至らず、未収リース料に対する引当費用を計上したことなどから、ROAは-0.7%(前期は0.2%)に落ち込んだ※。



※ただし、JOLCO手数料収入や債権取立益などを含んでいない。それらを含むと、航空機事業全体での経常利益は黒字を確保しているようだ。





(3) 海外

2021年9月末の「営業資産残高」(海外事業における関連会社への出資額を含む)は、前期末比1.6%増の990億円に増加した。「エネルギー・環境」や「不動産」など、同社グループの強みである戦略分野を中心とした事業展開に加速の動きが見られる。前述した、同社初となる台湾での不動産リースの実行のほか、タイにおいてはシャープグループとの合弁によりPPA事業会社を設立するなど、マーケット特性に応じたアプローチとアライアンス先との連携が奏功しているようだ。ROAについても、付加価値の高い戦略分野との連携も進み、2.2%(前期は1.6%)と大きく改善した。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)