■今後の見通し



2. 中期経営計画

RS Technologies<3445>が2022年2月に発表した4ヶ年の中期経営計画では、最終年度となる2025年12月期に売上高45,000百万円、営業利益10,000百万円を目標として掲げた。2025年12月期までの年平均成長率で見ると売上高で6.8%、営業利益で9.8%の成長となる。半導体市場全体では年率5%の成長を前提としているため、同社は業界平均を上回る成長を目指すことになる。なお、営業外収支に計上している補助金収入については、徳州工場の規模拡大によって2023年12月期以降は緩やかに増加することを見込んでいる。



世界半導体市場統計(WSTS)の直近の市場予測(2021年11月発表)によれば、2022年の半導体出荷額伸び率は8.8%と前年からは鈍化するものの成長が続く見通しだ。自動車やデータセンター向けを中心に需要は旺盛で、今なお半導体不足が続いている状況にあり、大手半導体メーカーでは12インチウェーハの新工場を新設し、需要増に対応していく計画となっている。同社の調べでは、世界で33ヶ所の新工場が計画されており、12インチ再生ウェーハ及びプライムウェーハの需要も拡大していくことが見込まれる。同社は生産能力を増強してこれらの需要に対応していくほか、第3の収益柱として半導体製造装置用消耗部材の事業を育成していくことで、収益を拡大していく戦略だ。なお、中国における12インチ再生ウェーハ及びプライムウェーハ事業については、持分法適用関連会社のSGRSで展開していくため当面の業績に与える影響は軽微だが、収益化の目途が立った段階で連結子会社として組み入れる意向となっている。



(1) ウェーハ再生事業

ウェーハ再生事業については、12インチ再生ウェーハの旺盛な需要に対応するため、日本及び台湾での能力増強に加えて、2022年12月期よりSGRSの徳州工場で量産を開始する。12インチ再生ウェーハを3拠点(日本、台湾、中国)で量産するのは同社が初となる。また、旺盛な需要に対応すべく日本での投資計画を見直し、2023年の生産能力を従来計画(2021年8月発表時点)の30万枚から31万枚に引き上げる。また、2024年には32万枚まで増強する計画とした。台湾子会社についてもTSMCやMicron Technologyのグループ会社からの強い引き合いがあることから、2024年の生産能力を2021年末比で1.4倍となる25万枚に引き上げる計画となっている。



この結果、12インチ再生ウェーハの月産能力はグループ全体で2021年12月期末の46万枚から2024年12月期末には62万枚と約1.3倍に拡大し、徳州工場分を除けば57万枚で約1.2倍となる計算だ。2021年12月期第4四半期の同事業の売上高が約33億円、2025年12月期に月産能力57万枚、価格や稼働率が変わらないと仮定すれば売上高は約163億円となり、年率約6%の成長となる。半導体市場全体の成長率は約5%の前提だが、12インチウェーハの成長率は相対的に高いと考えられることから妥当な水準と考えられる。営業利益率に関しては2021年12月期に37.2%となっており、今後も同程度の水準を維持していく計画となっている。



設備投資計画について見ると、グループ全体では徳州工場の量産開始に向けた設備投資を実施した2021年12月期の47億円がピークとなり、2022年12月期は23億円、2023年12月期は22億円となる見通し。旺盛な需要に対応すべくそれぞれ前回発表値(2021年8月時点)から6億円、11億円上積みしている。なお、徳州工場については関連会社のため設備投資額の約2割を負担するスキームとなっている。徳州工場については2022年12月期までに月産5万枚の体制を整備する。中国では12インチウェーハの半導体工場の新設計画が今後も続くことから、再生ウェーハの需要も想定以上のスピードで拡大する可能性がある。このため、2024年以降のいずれかの段階で月産10万枚まで引き上げていくことも視野に入れている。



中国での12インチ再生ウェーハ市場については、新たな競合としてフェローテックホールディングス<6890>の中国子会社が2021年に月産能力12万枚の工場を竣工し量産を開始しているもようだ。ただ、技術面や品質面での同社の優位性は変わらないと見ている。具体的には、ウェーハ表面のダメージを最小限にとどめて、再生利用可能回数を業界平均よりも約2倍に伸ばす精緻な膜剥離技術や研磨技術力等が挙げられ、こうした技術力では他社の追随を許さない。このため、一時的に価格競争が激化する局面があったとしても、中期的に同社の市場シェアは3割強の水準を維持していくものと弊社では予想している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)