■業績動向



1. 2021年12月期の業績概要

シンバイオ製薬<4582>の2021年12月期業績は、売上高で前期比176.4%増の8,256百万円、営業利益で1,016百万円(前期は4,506百万円の損失)、経常利益で1,001百万円(同4,615百万円の損失)、当期純利益で2,032百万円(同4,090百万円の損失)となり、創業来初めて黒字化を達成した。



売上高は「トレアキシン(R)」の販売を2020年12月から自社販売体制※に切り替えたこと、並びに適応対象が患者数の多い再発・難治性DLBCLに拡大したこと等により大幅増収となった。また、売上総利益率は自社販売体制への移行と、FD製剤からRTD製剤への切り替えが進んだことにより、前期の29.0%から70.2%に大幅上昇し、売上総利益は前期比569.1%増の5,800百万円となった。なお、FD製剤からRTD製剤への切り替えに伴って、第4四半期にFD製剤のたな卸し資産評価損等331百万円を計上している。



※流通体制としてはスズケン<9987>及び東邦薬品(株)(東邦ホールディングス<8129>連結子会社)と2020年9月に契約締結し、総代理店とした。また、物流に関してはスズケンの子会社である(株)エス・ディ・コラボに業務委託している(物流拠点は東日本と西日本で各1拠点)。





販管費は研究開発費の減少を主因に前期比11.0%減の4,784百万円となった。研究開発費は前期比530百万円減少したが、このうち520百万円はRTD製剤のマイルストーン支払金がなくなったことによるもので、同要因を除けばほぼ横ばい水準であった。その他販管費については自社販売体制への移行に伴う販売費の増加があったものの、その他経費の抑制により同58百万円の減少となり、これらの結果、営業利益は同5,522百万円の増益となった。



四半期ベースの売上高の推移を見ると、2021年12月期第1四半期から本格的に自社販売体制に移行したことで、売上高が増加しているが、2020年12月期第4四半期のエーザイによる売上高は約19億円だったため、実質的には前四半期比で減少していたことになる。これは、「トレアキシン(R)」の市中在庫が想定以上に多かったことやコロナ禍の影響で治療患者数が低迷したことが要因だ。第2四半期は市中在庫の消化が進み、第3四半期以降は再発・難治性DLBCL向けの販売が本格化したことで売上高も一段と増加する格好となり、第4四半期には2,703百万円まで拡大している。なお、第4四半期の営業利益が591百万円と前四半期比で若干減少しているが、これはたな卸資産評価損331百万円の計上が主因となっている。



また、会社計画比で見ると売上高で894百万円の未達となったが、このうち450百万円は想定以上の市中在庫があったこと、400百万円はコロナ禍で受診控えが生じ、治療患者数が伸び悩んだことによるものとなっている。販管費は計画よりも抑制できたものの、たな卸資産評価損を計上したこともあり、営業利益も344百万円の未達となった。一方、当期純利益に関しては、繰延税金資産を1,275百万円計上したこと等により、883百万円上振れて着地した。





2022年12月期以降は収益成長フェーズに入り、資金調達も金融機関からの借入が中心となる見込み

2. 財務状況

2021年12月期末の総資産は前期末比2,178百万円増加の8,452百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では売掛金が1,740百万円、前渡金が149百万円増加した一方で、半製品が412百万円、未収消費税等が314百万円、商品及び製品が146百万円減少した。固定資産では繰延税金資産が1,275百万円増加した。



負債合計は前期末比89百万円増加の1,707百万円となった。主な変動要因を見ると、未払消費税等が516百万円、未払法人税等が301百万円、商品及び製品切替引当金が186百万円増加した一方で、買掛金が595百万円、未払金が130百万円減少した。また、純資産は同2,088百万円増加の6,745百万円となった。当期純利益の計上により利益剰余金が2,032百万円増加したほか、新株予約権の行使により資本金が112百万円、資本剰余金が113百万円それぞれ増加した。この結果、自己資本比率は前期末の64.3%から73.7%と9.3ポイント上昇した。



なお、同社は2022年3月末に金融機関3行と、シンジケート・ローン(コミットメントライン)の契約更新を行っている。上限金額は31.5億円でコミットメント期間は2024年4月4日までとなっている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)