■今後の見通し



1. 2022年12月期業績見通し

シンバイオ製薬<4582>の2022年12月期の業績は、売上高で前期比33.1%増の10,992百万円、営業利益で同74.2%増の1,770百万円、経常利益で同74.8%増の1,750百万円、当期純利益で同27.2%減の1,480百万円を計画している。売上高は主に再発・難治性DLBCL向けの販売拡大が増収要因となる。「トレアキシン(R)」がどの適応疾患に使用されているかは正確には把握できないが、併用される薬剤の売上実績や見通しなどから類推すると、再発・難治性DLBCL向けについては2021年12月期の第3四半期から本格的に販売されたことから、2022年12月期は前期比2倍弱の増加となる約40億円を見込んでいる。その他適用領域においてもシェア拡大や治療件数の増加等により増収を見込んでいる。なお、後発医薬品の影響については今回の計画には織り込んでいない。



売上総利益率は期初からRTD製剤/RI投与に100%置き替わっているため、前期の70.2%から80.0%に上昇する見込みとなっている。なお、為替レートが123円/ドル前後と計画策定時の110円/ドルから円安に進んでいるが、Eagle社からの当期分の仕入分については概ね予約済みであり、利益への大きな影響はない。



販管費については前期比46.9%増の7,026百万円を計画している。このうち、研究開発費は同76.0%増の3,056百万円を見込む。主な増加要因は、BCVの臨床試験費用に加えて開発統括拠点となる米子会社のオペレーション費用の計上、アカデミアとの共同研究費用の増加などが挙げられる。また、その他の販管費については同30.3%増の3,970百万円を見込んでおり、主な増加要因としてRTD製剤の累計売上高が一定水準に到達した際に発生するEagle社へのマイルストーン支払い550百万円が含まれている。そのほか、新規開発候補品の導入に向けた協議を進めているが、業績計画には織り込んでいない。また、国内の営業、間接スタッフの人員については前期末の水準を維持する方針となっている。なお、海外での事業費用が円安の進展で増加する可能性があるが、経費の抑制により吸収できる範囲内と見ている。



当期純利益の減益要因は、前期に計上した繰延税金資産の影響がなくなることによる。なお、米子会社については現状の3名から4名体制とし、今後も海外での開発を積極的に推進していくことから、2025年頃には10数名体制まで規模を拡大していく計画となっている。



2022年12月期の売上高について、会社側では四半期ベースの見通しを開示しており、第1四半期は前年同期比67.8%増の2,383百万円を見込んでいる。実際の売上状況はコロナ禍による受診控えが影響して若干計画を下回ったものと見られるが、利益ベースでは経費の抑制により計画通りの進捗になったと見られる。





BCVの開発を進め、グローバル・スペシャリティファーマとして成長を目指す

2. 今後の事業戦略

同社が2021年2月に発表した3ヶ年の中期経営計画では、最終年度となる2023年12月期に売上高12,369百万円、営業利益2,099百万円、経常利益2,088百万円、当期純利益1,778百万円、1株当たり利益46.5円を業績目標として掲げていたが、今回、ブリンシドフォビルの適応拡大により新たな研究開発計画を策定中であり、2023年12月期の計画を開示しないこととした。



費用面に関しては、研究開発費が2023年12月期に40億円台前半まで増加すると予想される。当初計画では約38億円で見ていたが、BCVの開発パイプラインとして新たにCMV感染の脳腫瘍(GBM)を対象とした臨床試験を開始する可能性が出てきたためだ。人員体制については国内が現状維持で、米国子会社については適宜増員していく方針となっている。



長期的には、グローバル・スペシャリティファーマとして成長を目指していく方針を打ち出している。具体的には、「トレアキシン(R)」の収益最大化に向けた取り組みに加えて、BCVで4つの「空白の治療領域」においてPOCを確立し、パートナー契約の締結も視野に入れながら海外事業を拡大していく戦略となっている。また、BCVについては高品質の製品を安定供給していくため自社での製造(生産委託)を行うことで収益の最大化を図るほか、各パイプラインが持つ根源的な事業価値をアカデミア等との共同研究などを進めながら見い出し、事業価値の最大化に結び付けていくと同時に、新たな開発候補品の導入についても取り組んでいく予定となっている。



同社は経営のキーワードとして、「Local & Global」「50・50 in 30」を掲げている。これはBCVの開発を成功に導くことでグローバル製薬企業として飛躍し、2030年に海外売上比率50%を目指すことを意味したものとなる。弊社では、造血幹細胞移植や臓器移植後のウイルス感染症治療薬として、またウイルスに起因する脳腫瘍や脳神経疾患の治療薬としてBCVの開発に成功すれば、同社の企業価値は大きく向上するものと見ており、今後の開発動向に注目している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)