■クリーク・アンド・リバー社<4763>の業績動向



(4) 会計・法曹分野

会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)(出資比率100.0%)、法曹分野はC&Rリーガル・エージェンシー社(同90.0%)でエージェント事業を中心に展開している。



2022年2月期の売上高は前期比6.2%増の2,117百万円、営業利益は同18.3%増の118百万円と2期ぶりに増収増益に転じた。このうち会計分野は売上高で同4.7%増の1,797百万円、営業利益で同0.7%増の88百万円となり、法曹分野についても増収増益になったと見られる。コロナ禍が続くなかで、顧客企業の採用選考の遅延や管理部門を中心とした採用計画の見直し等の影響が第2四半期まで続いたが、第3四半期以降は需要も回復基調に転じた。利益面では、今後の成長に向けた人材登録の促進に取り組んだことで会計分野が伸び悩んだものの、紹介案件の回復により法曹分野が増加した。



(5) その他の事業

子会社9社で構成されるその他の事業の売上高は前期比14.5%増の2,519百万円、営業損失は32百万円(前期は104百万円の損失)となった。9社のうち5社が増収、7社が収益改善した。



子会社別の動向を見ると、IT分野のエージェンシー事業を展開する(株)リーディング・エッジ社(出資比率99.9%)は、ロボット・AI市場向けで多く利用されるプログラム言語「Python」に精通した5千人以上のエンジニア等のネットワークを構築し、IT技術者の採用や育成、紹介に取り組んでいる。2022年2月期の売上高は前期に受注した受託案件がなくなった影響で若干の減収となったが、利益面では増益に転じている。



ファッション分野のエージェンシー事業を展開する(株)インター・ベル(同90.9%)は、主に販売職の派遣や店舗の運営代行業務を展開している。緊急事態宣言発出に伴う百貨店や商業施設の時短営業等の影響が継続したものの、前期と比較すれば需要は回復し増収増益となった。また、ポストコロナ社会を見据えた新たなサービスとして、オンライン接客やライブコマース等にも取り組み始めている。売上面での貢献は軽微なものの、今後の成長が期待できるサービスとして注目される。



人材メディア事業を展開する(株)プロフェッショナルメディア(同94.1%)は、2020年11月にサービス領域を従来の広告・Web業界からWeb、IT、AIといった「デジタルトランスフォーメーション領域」へと拡大強化するため、求人サイトの名称を「広告転職.com」から「DXキャリア」へとリニューアルし、登録者数の拡大に取り組んでいる。事業の転換に伴い、若干の減収となったが、損失額は縮小した。



VR事業を展開する(株)VR Japan(同84.21%、12月決算)は、中国のIDEALENS及びSKYWORTH からVRゴーグルを調達し、国内で販売・運用・保守を行っている。前期はコロナ禍の影響で中国の生産ラインがストップし、製品が供給できず低迷していたが、調達面での問題が解消したことで増収となり損失額も縮小した。5G技術を活用した「医療機関向けVR遠隔同時講義システム」の販売を2022年1月より開始するなど、今後は医療分野における教育研修等の領域に注力し、収益拡大を図っていく戦略となっている。



AIシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行う(株)Idrasys(同80.1%)では、独自開発したAI予測プラットフォーム「Forecasting Experience」(2020年5月リリース)を展開している。「Forecasting Experience」の特長は、学習データをExcelベースで簡単に作成でき、専門知識がなくても比較的容易に予測モデルを構築できる点にある。セミナー開催や展示会への出展により新規リードの獲得に取り組んでおり、導入件数も徐々に増加している。売上高は若干の減収となり、先行投資の実施により損失額も若干拡大した。



米国で法曹分野のSNSプラットフォーム「JURISTERRA」の開発・運営を行うCREEK & RIVER Global, Inc.(同100%)については、「JURISTERRA」の本格稼働に向けた開発を進めると同時に、その一部機能を活用して、米国と日本を結んだ法務コンサルティングサービスを展開している。売上計上方法の変更により減収となったものの、利益面では増益となっている。なお、弁護士と企業の法務部門のマッチングを行う「JURISTELLA」については、法制度面においてクリアすべき課題があるため運用開始時期は未定となっており、当面はアナログでのマッチングサービスを継続していく方針となっている。



2020年7月に子会社化した(株)Grune(同75%、10月決算)は、ITコンサルティング、WebアプリケーションやAIシステムの構築サービスを展開しており、2022年2月期より連結対象に組み入れている。年間売上規模は1億円強程度とまだ小さいものの、受注は順調に拡大している。2021年6月にはオフショア開発拠点としているインドネシアにおいて、ラボ型オフショア開発サービス※も開始した。利益面では、事業拡大に向けて第4四半期に国内外で人材投資を集中的に実施したことにより、若干の損失を計上した。



※ラボ型開発とは、ある一定期間(通常は半年〜1年程度)、海外のエンジニアを一定数確保してシステム開発プロジェクトを進めることができる契約。コストを抑えながら一定期間、人材を確保したい場合や、仕様が明確に決まっていない、または仕様変更が多い開発プロジェクト等を進める場合に利用メリットがあるサービス。





2020年10月に子会社化したきづきアーキテクト(株)(同70.0%)は、同社と連携して東京都より受託した「5G技術活用型開発等促進事業」にてスタートアップ支援を行うなど、新規事業の経営支援を主に行っている。グループ内取引が多いため、連結業績への影響は軽微となっている。そのほか、中国で版権ビジネスを展開するCREEK & RIVER SHANGHAI Co., Ltd.(同100%)は、版権収入の伸長により売上高が前期比48.6%増の83百万円と過去最高を更新し、営業利益も増益となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)