■ベンチマーキング



ザイマックス・リート投資法人<3488>は投資主還元策として年2回、半年ごとに高水準の分配金の支払いを実施している。2022年2月期の1口当たり分配金(利益超過分配金は含まない)は3,896円と、期初予想の2,977円を919円上回った。期初には見込んでいなかった、資産入替に伴う売却益もあり、大幅な増収増益決算となったことを反映して、大幅な増配を実施したものだ。また、2022年8月期は3,867円、2023年2月期は3,091円の分配金を予想する。2022年8月期は期初の公募増資に伴い発行済み投資口数が増加したが、計画的に前期並みの売却益を計上することで、おおむね前期並みの分配金を維持するが、2023年2月期はその売却益が剥落するため、減配を見込んでいる。ただ、同投資法人の業績予想は引き続き保守的な前提に基づいていることから、今後コロナ禍が収束に向かって想定より経営環境が改善し、また今後も新たな物件取得を計画していることから、予想をさらに上回る分配金となる可能性もあると弊社では考える。



同投資法人の投資口価格推移を見ると、2020年8月以降は東証REIT指数を上回る回復を見せた。ただ、2021年9月には、菅前首相が退任を表明し、政局の流動化懸念が後退したことから投資家がリスク選好姿勢を強め、株式への資金シフトが進んだこともあって、同投資法人及び東証REIT指数ともに全般的に軟調に推移した。2022年1月以降は、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めを急ぐとの見方が強まったことや、ウクライナ情勢の緊迫化等が嫌気されて、東証REIT指数は一層の下落傾向を続けた一方、同投資法人の投資口価格は上昇傾向を続け、市場を大きくアウトパフォームしている。これは、2022年2月期及び2022年8月期の分配金予想を大幅に増額修正したことが投資家に評価されたものであろう。ただ、時価総額が小さく、流動性も低いことなどが同社の課題であるが、2022年4月18日現在の同投資法人のNAV倍率(投資口価格/1口当たりNAV)は0.90倍と、総合型リート平均の0.99倍を下回っており、引き続き割安感が強い。また、分配金利回りは5.48%と平均の4.31%を大きく上回る。



既述のとおり、同投資法人では、今後は検討中の物件取得による外部成長戦略を強化する計画で、資産入替時に保有物件の含み益の投資家への還元も検討する方針であり、分配金のさらなる増加も期待できそうだ。そうした戦略に対する投資家の理解が深まるに伴い、当面は低金利環境が続くと予想されるなかで、魅力的な水準の分配金利回りを提供する同投資法人が注目されると弊社では考える。



同投資法人では、以前は分配金の中期的な目標を示していたが、コロナ禍に伴う事業環境の変化や、特にホテルの業績が悪化したことから、現在は目標提示を止めている。ただ、コロナ禍も収束しつつあり、今後ホテル業績が回復した段階には、より多くの投資家にアピールするためにも、目標提示が重要であろう。



また、同投資法人では、投資主利益の向上に資するように、2021年8月期から資産運用報酬体系を変更している。すなわち、期中運用報酬については運用成果連動部分の割合を引き上げ、譲渡報酬については譲渡益発生時のみ発生する成果報酬型に変更した。この変更によって、投資主利益と運用会社の利益の連動性を高めている。こうした投資主利益を重視する経営方針は、投資主からも評価されると弊社では考える。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)