■業績の動向



1. 2022年8月期第2四半期の業績概要

日本BS放送<9414>の2022年8月期第2四半期連結業績は売上高が6,097百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益1,349百万円(同6.7%増)、経常利益1,348百万円(同1.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益906百万円(同0.5%減)となった。計画値(売上高5,950百万円、営業利益1,060百万円、経常利益1,060百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益735百万円)に対して売上高は2.5%超、営業利益は27.3%超、経常利益は27.2%超、親会社株主に帰属する四半期純利益は23.4%超となり、計画を大幅に超過する進捗となった。連結業績予想に対する第2四半期時点の業績進捗率は、売上高が50.0%、営業利益が74.5%、経常利益が74.5%、親会社株主に帰属する四半期純利益が72.5%となった。



タイム収入はレギュラー番組のセールス促進や新規クライアントの獲得があった一方、スポット出稿への移行の傾向を受けて、前年同期比微増となった。その一方で、スポット収入は業界全体の好調の影響を受けたほか、人気アニメやドラマへの出稿増加などがあり、前年同期比14.5%増と引き続き好調を維持した。また、その他の収入でも、同社が出資するアニメ『転生したらスライムだった件』『五等分の花嫁』の配当収入が入ったことで76.2%の大幅増加となった。上期はスポット収入を中心に想定以上の売上高となり、下期もこの好調を維持できれば業績の上方修正が見込める状況であると弊社は見込んでいる。そのため、通期業績予想を据え置いたのはやや保守的と考えている。



全体として、自社制作番組(レギュラー番組・特別番組)のクオリティの追求とコストの見直しが奏功した。コロナ禍の影響により、特にタイム収入に関しては厳しい事業環境が続いたものの、オリジナル色の強化、幅広い年齢層をカバーするコンテンツジャンルの拡充に努めた。また、新規レギュラー番組の制作に伴う広告宣伝等の諸施策の効果もあり、第2四半期は売上高・利益ともに期初の計画を上回る水準となった。



売上高については、放送事業収入が前年同期比230百万円増加したほか、その他収入が同120百万円の増加となった。営業利益については、自社制作番組でレギュラー番組及び特別番組のクオリティ向上を追求したほか、コストの見直しも奏功し、計画比289百万円超となった。前年同期比では放送事業が同140百万円の増加、出版事業は同55百万円の減少となった。コスト面では、幅広い年齢層をカバーするためのコンテンツ拡充と新規レギュラー番組の制作によって番組関連費用が前年同期比10.8%増えた一方、コストの見直しによって放送委託費や技術費といった放送関連費用は7.4%削減した。2022年12月に迎える同社の15周年の施策を含め、全国紙や地方紙、Web等の広告宣伝費用は前年同期比1.2%の微増と抑え、効率的に実施した。



2. 売上区分別の状況

売上高の約7割を占めているタイム収入の売上高は、レギュラー番組、特別番組のセールス強化によって新規クライアントを獲得し、前年同期比0.9%と微増で着地し、ほぼ計画どおりの推移となった。



売上高の2割強を占めているスポット収入の売上高は、新規クライアントの獲得に注力した効果のほか、巣ごもり需要を背景とした通販市況の好調が持続し、2021年8月期の第4四半期から継続して好調を維持している。当第2四半期のスポット収入は期初計画値1,405百万円に対して9.6%超となり、前年同期比14.5%増の着地となった。



コロナ禍に伴い、ソーシャルディスタンスを確保するためWeb会議システム等を活用したリモート収録を行うなど、感染拡大の防止に加え良質な自社制作番組と外部リソースの活用を最適化することで、視聴者需要の充足を両立させる取り組みを実施した。コロナ禍においては、レギュラー番組の『京都浪漫』の視聴数が増えるなど、視聴者の外出に対する願望が視聴番組の変化につながっているようにも見える。また現時点で業績には表れていないものの、レギュラー番組や特別番組のYouTubeへの展開により、それらの番組の視聴数が増えるといった効果が今後期待できそうだ。さらに、YouTubeへの展開によって同社の認知度が高まり、結果として同社ブランドの向上につながることが予想される。



なお、同社は経営理念として「質の高い情報を提供することで人々に感動を与え幸せな社会づくりに貢献」することを掲げている。オリジナル色の強化、良質コンテンツの拡充に努めており、自社制作の特別番組やアジアドラマ、ヨーロッパミステリー、アニメなどの番組で好評を得ている。結果的に、それが企業広告収入の堅調な推移に貢献している。



全社売上高の底上げには、その他の収入も貢献している。製作委員会への出資に伴う配当金や番組コンテンツ販売の拡大に伴い、前年同期比76.2%増と高い伸び率を達成した。上期時点では、期初計画値254百万円に対して18.9%超となっている。高い伸び率を達成できたのは、『転生したらスライムだった件』『五等分の花嫁』など、同社が出資するアニメがヒットしたことで、主に第1四半期の配当金収入が増えたためである。



3. 費用の状況

同社はかねてよりコストコントロールでは高い実績を示しており、2021年8月期は売上予算の達成とともに、費用の効率的使用が収益の押し上げに貢献した経緯がある。2022年8月期第2四半期の個別業績では、番組購入費については、幅広い年齢層に対応したコンテンツの充実に加え、新規レギュラー番組の制作によって番組購入費・番組制作費ともに前年同期比で2ケタの増加となった。特に、番組制作費に関しては前年同期比10.6%増の1,547百万円となったが、これは同時に収益の増加に寄与している。



広告宣伝費については、2021年8月期第2四半期とほぼ同水準となったが、これは同社の15周年施策を新聞やWeb等に展開した費用が含まれているためだ。15周年施策の広告費を除くと実質的な広告宣伝費は若干ではあるものの減少しており、実態としてはより高いコストパフォーマンスを実現していると言える。また、新聞広告、Web広告、電子番組表(EPG)広告といった従来広告のほか番組専用SNSで積極的な発信を行うなど、広告活動の幅を広げている。費用対効果の観点からもかなり効果的な宣伝活動となっているもようだ。宣伝チャネルが多様化するなか、新たな広告のノウハウを積み上げられたことも評価したい。



(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)