■TOKAIホールディングス<3167>の業績動向



2. 事業セグメント別動向

(1) エネルギー事業

エネルギー事業の売上高は前期比12.1%増の86,770百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益となり、決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同0.6%減の8,933百万円となった。会計方針の変更による売上高の影響額は22億円の減少要因となっており、実質ベースでは15%増収となっている。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加で12.1億円、仕入コストの改善(販売価格転嫁分含む)で7.8億円の増益要因となった一方で、顧客獲得コストの増加で11.7億円、気温変動・他(世帯当たり消費量減少)で4.6億円、人件費・その他コストの増加で4.2億円の減益要因となった。



LPガス事業の売上高は前期比12.4%増の73,769百万円となり、顧客件数は前期末比で34千件増加の715千件となった。増収要因は販売量の増加や仕入価格に連動した販売価格の上昇による。販売量については前期比9.2%増となり、内訳としては家庭用が2.3%増、工業用が21.6%増となった。また、販売価格については家庭用が戦略的な価格戦略を継続していることもあり前期比1.2%減となったものの、仕入価格に連動する産業用や卸売についてはそれぞれ50%前後の上昇となっており、増収要因の大半を占めた。家庭用については既存エリアで20千件増、新規エリアで14千件増となっており、新規エリアの開拓が順調に進んでいる。当期は2021年10月に熊本市(熊本県)、2022年1月に福山市(広島県)にそれぞれ営業拠点を新たに開設し、顧客件数の増加に寄与している。また、M&Aによる顧客件数獲得についても19千件と、当初計画には届かなかったものの着実に進んでいる。



都市ガス事業の売上高は前期比10.7%増の13,000百万円となり、顧客件数は前期末比7千件増加の70千件となった。産業用ガス販売量の増加や原料費調整制度による販売単価の上昇等が増収要因となった。なお、顧客件数の増加分の大半は、持分法適用関連会社であるT&Tエナジー(株)における東海エリアでの契約件数増加※によるものとなっている(販売手数料のみ売上計上)。



※T&Tエナジーは東京電力エナジーパートナー(株)との合弁(出資比率50%)で2019年10月に設立され、愛知県、岐阜県、三重県の東海3県で都市ガスの小売事業等を行っている。





(2) 情報通信事業

情報通信事業の売上高は前期比1.3%増の51,398百万円、営業利益は同8.7%増の4,721百万円と2期連続の増収増益となった。売上高の内訳を見ると、コンシューマー向け事業が同7.2%減の24,400百万円と減収傾向が続いたものの、法人向け事業が同10.5%増の26,997百万円と好調に推移した。営業利益は法人向け事業が増収効果により3.7億円の増益となったほか、コンシューマー事業も0.2億円の増益となった。ISP事業は減収に伴い減益となったものの、LIBMOの収益改善によりカバーした。



コンシューマー向け事業の顧客件数について見ると、従来型ISP等は前期末比20千件増加の415千件となったが、付加サービスとなるPC遠隔サポートサービスの契約件数を加えたことが要因で、従来型ISPの顧客件数は減少傾向が続いている※。一方、光コラボについては大手携帯キャリアとの提携によるメニュー拡充を図ったことが奏功し、同9千件増加の346千件となった。ただ、携帯キャリアとの連携案件が増えたことでARPU(顧客当たり平均売上高)が低下し、売上高の減少要因となった。LIBMOは料金プランの見直し等を実施したことにより、同2千件増加の55千件となった。



※PC遠隔サポートサービスの契約件数は36千件となっており、同数値を除けば16千件の減少となっている。





法人向け事業はAmazon Web Services(アマゾンウェブサービス。以下、AWS)の構築案件やクラウドサービスが順調に推移したほか、システム受託開発案件も増加した。2021年4月末にシステム開発会社の(株)クエリの全株式をTOKAIコミュニケーションズが取得し子会社化したことも収益増に貢献した※。クエリはモバイルアプリの開発力に定評があり、顧客先も大手企業が多い。今後は両社の技術力を融合することで、顧客へのさらなる付加価値の提供や取引先の拡大を見込んでいる



※クエリの2020年12月期業績は売上高355百万円、営業利益39百万円。従業員数は36名(2021年11月時点)





(3) CATV事業

CATV事業の売上高は前期比3.5%減の32,572百万円、営業利益は同12.4%増の5,852百万円となった。売上高は会計方針変更(セット販売している大手携帯キャリアの通信サービス料金分を売上高から除外等)による影響で22億円の減収要因となっており、実質ベースでは約3%増となり拡大基調が続いている。営業利益も顧客件数の増加による月額課金収益の増加と、のれん償却額は前期比247百万円減少したことにより過去最高を連続更新した。



顧客件数は放送サービスで前期末比12千件増加の887千件、通信サービスで同22千件増加の344千件となった。地域密着型の番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携するなど放送コンテンツの充実に取り組んだことや、高速光通信サービスの提供エリアを拡大したことが顧客件数の増加、並びにARPUの上昇につながっていると見られる。通信サービスの契約件数については、光化投資を進めている仙台CATV(株)(宮城県)や(株)テレビ津山(岡山県)などで増加している。



(4) 建築設備不動産事業

建築設備不動産事業の売上高は前期比19.9%増の27,780百万円、営業利益は同20.1%増の2,480百万円となった。リフォーム事業は低迷したものの、2019年以降グループ化した子会社※の業績が伸長するなどM&A効果が大きく寄与した。具体的には、土木工事等を展開する日産工業の業績が、売上高で前期比10億円増、営業利益で同2億円増となったほか、2021年4月に子会社化したマルコオ・ポーロ化工の業績(売上高約21億円、営業利益約3億円)が上乗せ要因となった。そのほか2020年に子会社化した2社(中央電機工事、イノウエテクニカ)も含めて、のれん償却額は前期比159百万円増加した。EBITDA(償却前営業利益)ベースで見ると、前期比20.9%増の3,501百万円となっている。



※中央電機工事は愛知県内で電設工事業を従業員30名弱で展開している(2020年8月子会社化)。イノウエテクニカは静岡県東部でビルメンテナンス事業を展開し、年間売上高は約5億円(同年11月子会社化)。マルコオ・ポーロ化工は愛知県でマンションや公共施設の大規模修繕工事等を展開している。





(5) アクア事業

アクア事業の売上高は前期比0.1%増の7,629百万円、営業利益は同43.3%減の325百万円となった。顧客件数は前期末比3千件増加の165千件となったものの、巣ごもり需要の反動で世帯当たり消費量が減少し、売上高は横ばい水準にとどまった。利益面では、顧客件数の増加で1.2億円の増益要因となったが、顧客獲得コストの増加3.7億円を吸収できなかった。



(6) その他・調整額

その他の売上高は前期比11.7%増の4,540百万円となった。内訳を見ると、介護事業は利用者数の増加により同2.9%増の1,353百万円、造船事業は船舶修繕の隻数が増加したことにより同11.1%増の1,673百万円、婚礼催事事業は婚礼及び会議の利用で若干の回復が見られ同54.9%増の646百万円といずれも増収となった。また、内部調整額も含めた営業損失は6,518百万円と前期比で569百万円増加した。ワークスタイル改革の環境整備費用(オフィスリノベーション、IT機器導入費用等)を4億円弱計上したことが主因だ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)