■DDホールディングス<3073>の決算動向



各事業の業績や主な取り組みは以下の通りである。



(1) 飲食・アミューズメント事業

a) 飲食

売上高は前期比20.7%減の14,076百万円、セグメント損失は4,999百万円(前期は7,015百万円の損失)と減収ながら損失幅は大きく改善した。前期に引き続き、期を通じてコロナ禍の影響を受けたほか、ゼットンの連結除外による影響も減収要因となった。既存店売上高は前期比91.0%と前期をさらに下回り、コロナ禍前との比較でも38.9%と低調に推移した。特に、コロナ禍が一旦収束した2021年12月の既存店売上高(単月)はコロナ禍前の67.5%水準にまで戻ったものの、2022年1月に入ってからのオミクロン株の感染拡大が回復に水を差す格好となった。一方、損益面では、グループ会社の見直しや不採算店舗の整理など収益体質の強化(損益分岐点の引き下げ)に取り組み、減収ながらも損失幅の改善を図ることができた。出退店については、新規1店舗※、退店26店舗により期末店舗数(直営店)は296店舗となった。



※2021年4月に、連結子会社のエスエルディーが、エンターテインメント事業などを手掛けるCLホールディングス<4286>とともに関西地区初の旗艦店舗となるディズニースペシャルカフェ「OH MY CAFE OSAKA」を出店した。





b) アミューズメント

売上高は前期比24.4%減の3,438百万円、セグメント損失は1,400百万円(前期は1,176百万円の損失)と減収となり損失幅も若干拡大した。飲食事業同様、休業・時短営業、酒類提供制限等の影響を受けたことに加え、感染防止に伴う消費マインドの変化等が業績の足を引っ張った。既存店売上高は前期比78.6%と前期を下回り、コロナ禍前との比較でも38.6%の水準にとどまった。もっとも、アミューズメント事業についても、コロナ禍が一旦収束した2021年12月の既存店売上高(単月)はコロナ禍前の68.4%水準にまで戻っており、バグースを軸とする業態の強さは失われていないとの見方ができる。出退店については、新規1店舗※、退店ゼロにより期末店舗数は54店舗を確保している。



※2021年11月に、千葉県初出店となる「バグース船橋店」を出店した。





(2) ホテル・不動産事業

売上高は前期比56.8%増の1,838百万円、セグメント利益は483百万円(前期は96百万円の利益)と大幅な増収増益となった。貸コンテナ事業が安定推移しているうえ、ホテル事業についても、独自のコラボルーム企画やSNSマーケティングなどが奏功し、コロナ禍においても比較的堅調な運営を行うことができた。特に、新型コロナウイルス感染症の軽症者受け入れ施設としてホテル一棟(PARK IN HOTEL ATSUGI)を提供したことで、地域医療への貢献とともに、大幅な増収を実現することができた。活動面でも、「KAMAKURA HOTEL」(鎌倉市)がサウナシュラン※を受賞したほか、「THE HOURS」(平塚市)を湘南のサウナ&ステイをテーマとした「3S HOTEL HIRATSUKA」としてリブランディングオープンするなど、認知度や顧客満足度の向上にも取り組んだ。また、湘南エリアにおける不動産売買需要に対応すべく、地場ネットワークの強みを活かした不動産売買専門店「SLE不動産 藤沢店」「SLE不動産 大和店」をオープンした。



※サウナー専門ブランドを運営するTTNE(株)が、様々な業界の「プロサウナー」を審査員として、従来のイメージより新たなサウナの価値を導き出し、サウナ愛を通じてより多くのサウナーをととのえた革新的なサウナ施設を、“今行くべき全国のサウナ施設”として毎年 11月11日「ととのえの日」に発表・表彰するもの。





3. 2022年2月期の総括

以上から、2022年2月期を総括すると、コロナ禍の長期化により、期を通じて営業活動を制限されたことから、業績面については前期に引き続き厳しい結果となった。一方、グループ体制の見直しや不採算店舗の整理を含む収益体質の強化や資本政策の実施により、事業基盤及び財務基盤の安定化に一定の目処をつけたところは、今後に向けて大きな前進と言える。また、この2年間の落ち込みは、コロナ対策(人流抑制や営業制限等)に伴う不可抗力なものであり、特に都心のドミナント展開にこそ強みを有する同社にとって大きなハンディとなったが、同社の本質的な優位性が失われたものではないとの見方をしている。したがって、コロナ禍の段階的な収束とともに、どれだけ客足が戻ってくるのかが今後の注目点となろう。弊社では、コロナ禍における外食(居酒屋)業界各社を評価するポイントとして、コロナ禍を生き残るための、1) 財務体力があるか、2) 収益体質の強化が図れているか、さらにアフターコロナを見据えて、3) 再成長に向けた経営資源(店舗、人材等)や業態の優位性が維持されているか、4) ニューノーマル(環境変化)を的確に捉え、対応する力やその準備ができているかに注目している。同社の場合は、既に1)及び2)に一定の目処が立ったことから、3)及び4)をどう評価するかがポイントとなろう。その視点に立てば、この2年間にある程度の整理は行ってきたものの、コアとなる店舗や人材をグループ内に維持してきたこと、空間活用ノウハウや店舗運営力などの優位性は失われていないこと、さらにはその強みを生かしつつ、環境変化へ対応するための準備(新規マーケットやサービス等)にも取り組んでいることから、コロナ禍の収束とともに業績の早期回復及び成長軌道への回帰は可能であると判断している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)