■業績動向



1. 2022年9月期上期の業績動向

2022年9月期上期の業績は、売上高が1,128百万円、営業利益が137百万円、経常利益が138百万円、当期純利益が96百万円となった。会計基準の影響※で単純比較は馴染まないが、参考までに見ると売上高は前年同期比17.8%増、営業利益は同42.5%増、経常利益は同43.2%増、当期純利益は同21.3%増となる。また、上期計画比で見ても売上高は7.0%増、営業利益は2.8%増、当期純利益も5.2%増となった。ピー・ビーシステムズ<4447>の収益構造は、もともと第2四半期(1月-3月)と第4四半期(7月-9月)に偏重傾向がある。2021年9月期も同様であり、期初段階で会社側が提示していた通り特に第4四半期の比重が大きかったが、2022年9月期の第1四半期及び第2四半期の実績を見る限り、意識的に取り組んでいる前倒しについては概ね順調と言えそうだ。



同社が事業コンセプトとして掲げている「必須のレジリエンス」のさらなる推進を通じて、SaaS事業者や地方公共団体、教育機関の旺盛なクラウド需要への対応及びサイバーセキュリティ関連の需要取り込み(レジリエンス強化構築等)、DXを希求する企業の基幹システム構築等に注力した。東京営業部を起点とした関東圏の営業強化はもちろんのこと、関西の新規顧客開拓等も進めたことで、大幅な増収増益かつ上期計画も上回る好調な業績推移を見せている。



※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年9月期の第1四半期の期首から適用している。





セキュアクラウドシステム事業の好調さが鮮明

2. 2022年9月期上期のセグメント別業績動向

2022年9月期上期のセグメント別業績は、セキュアクラウドシステム(SCL)事業の売上高が1,125百万円、セグメント利益153百万円、エモーショナルシステム(EMO)事業の売上高が2百万円、セグメント損失が15百万円となった。単純比較は馴染まないが、セキュアクラウドシステム(SCL)事業は実質的に売上高及びセグメント利益が2桁の伸びとなっているほか、エモーショナルシステム(EMO)事業も小幅ながら損失が縮小している。



セキュアクラウドシステム(SCL)事業については、前期に受注した自治体のネットワーク強靭化基盤構築等の案件を着実に進行させたほか、重要な戦略製品と位置付けているDellのDP4400導入を通じた既存顧客のレジリエンス構築案件も順調に増加した。加えて、拡大させているパートナーとの協業を起点として、東京の大手企業の先進的なVDI案件といったように、新規顧客のDX案件を受注する流れが生まれているようだ。さらに、同社はウイングアーク1st<4432>の「Dr.SUM」、ユニリタ<3800>の「Waha!Transformer」などの導入を通じて、DX需要及び「2025年の崖」対策の需要をさらに深く取り込む動きを見せている。例えば、「Waha!Transformer」は既存の基幹系システムから必要なデータを抽出・変換、さらに加工・連携をSQLやプログラミングなしでシームレスにつなぐデータ連携ツールだ。DXを考えた際、本来は基幹システムや業務システム自体がDXという大枠の発想のもとで構築ないし最適化されているべきだが、特に中堅企業等はそういった状況にはないことが大半である。だからこそ、大前提としてのデータ化で多くの企業がつまずくことになる。そういった意味で、既存システムからのデータ抽出及び利活用を可能にする「Waha!Transformer」などのツールは、中堅企業のDXに対して非常に親和性も高いとみられ、同社にとっても導入後の開発案件はもちろん、継続的なフォロー業務につながる可能性もある製品となっている。当然ながら、SaaS事業者におけるクラウド基盤の拡張構築も需要は依然として非常に旺盛で、増収に貢献した。前回レポートでも指摘していた通り、ソリューション自体の高付加価値化傾向に加え、原価低減に対する不断の業務改善が同社では見られており、セグメント営業利益率は期待通り13.6%と前年同期(12.9%)及び前々年同期(13.3%)を上回る高水準に達している点も見逃せない。



エモーショナルシステム(EMO)事業については、残念ながらコロナ禍の影響が依然としてアミューズメント領域には強く残っており、主力製品である4DOHの新規受注には至らなかった。そのため、既存施設でのメンテナンスや教育機関のWEB制作等の小型案件の積上げとなったことが背景で実質減収となっている。しかし、第1四半期に受注したBOAT RACE 若松における4DOHイベント運営案件(9百万円)について、コロナ禍に伴いイベント終了日が第3四半期に期ズレしたため、第2四半期の売上高に含まれておらず、受注残として計算されている影響がある点は押さえておく必要がある。



なお、期末受注残についても単純比較は馴染まないが、参考までに単純比較するとセキュアクラウドシステム(SCL)事業において前年同期比79.2%増の753百万円と好調な積み上がりになっている。この背景としては、関東圏の同社優良パートナーが増加したことが最大の要因として挙げられるが、その他にも関西圏の優良中堅企業の新規開拓、SaaS事業者の旺盛な需要に伴うクラウド基盤向けソフトウェア販売、クラウド基盤構築の好調などもポイントとなっている。エモーショナルシステム事業についても、前述した通りBOAT RACE 若松における4DOHのイベント運営案件があり受注残高は9百万円、両事業の合計では前年同期比81.3%増の763百万円、上期末の受注残高は過去最高を更新した格好だ。



3. 2022年9月期上期の営業地区別売上高

上期時点では関東圏及び九州近郊の地区別売上高を会社側は公表していない。しかし、構成比が2021年9月期末段階で関東圏が51%、九州近郊が49%となっていたことを踏まえれば、概ね同水準ないし関東圏が若干伸びている構成比となっていると弊社では予測している。なお、説明会資料の中で新たに公表された情報として、ロイヤルカスタマー(※各種システム投資案件に関して同社が安定的な受注を期待できる、規模感のあるエンドユーザー企業)及びパートナー企業の数が挙げられる。安定的な取引先の確保という意味でロイヤルカスタマーの増加がポジティブである点については言うまでもないが、特に受注増の可能性及び同社の案件対応余力の拡大につながる可能性のあるパートナー企業の増加については今後同社を見る上で重要な情報の1つとなろう。なお、パートナー企業数については2022年3月末時点で3社であったが、2022年5月時点では7社と拡大していることも、関東圏の比率が安定的に推移しているであろうことを裏付ける1つの要因となる。



(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)