■会社概要



1. 会社沿革

早稲田アカデミー<4718>は1975年に創業者の須野田誠(すのだまこと)氏が早稲田大学在学中に、東京都杉並区にて小中学生対象の学習指導サークルを開始したところからスタートする。当初は都立の進学高校であった「西高の合格者数No.1」を目標に進学塾を運営。数年後に目標を達成したが、その後、進学校の人気が公立高校から私立高校へシフトしていくなかで、同社も新たな目標として「早慶附属高校の合格者数No.1」を目指すことを1990年に打ち出した。カリキュラム、教材の拡充を進めると同時に、教務指導力の強化に取り組みながら合格実績を年々積み上げ、2001年に合格者数No.1を達成、その後はこのブランド力を持って校舎数の拡大を進め、業績も本格的な成長期に入っていった。



早慶の附属高校は首都圏で7校あり、年間の受験者数は1万を超える。潜在的な志望生徒数は数万人となり、高校受験の進学塾として成長を目指すため、同分野で合格者数No.1を獲得することは最大の宣伝効果になったと言える。その後も2022年まで22年連続でトップを走っており、今では2位以下を大きく引き離す圧倒的なNo.1となっている(2022年春は定員約1,520名に対して1,558名が合格)。また、次の目標として設定した難関私立高の「開成高でのNo.1」も15年連続で達成しており(同100名に対して90名)、首都圏における高校受験ではブランド力、合格実績ともにNo.1の進学塾として不動の地位を確立している。現在は次の目標である首都圏の難関中学である「御三家中学※の合格実績No.1」達成に向けた取り組みを進めている。



※男子は開成、麻布、武蔵中学校、女子は桜蔭、女子学院、雙葉(ふたば)中学校を指す。





また、グループ展開として2007年に医歯薬系大学受験専門予備校「野田クルゼ」を運営する野田学園の株式を取得し、完全子会社化したほか、2015年に茨城県内で小中学生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を運営する(株)アカデミー(現、水戸アカデミー)、2018年1月には千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を運営する集学舎の株式を取得し完全子会社化している。また、2010年から明光ネットワークジャパンと資本・業務提携を締結して共同で展開してきた個別指導塾「早稲田アカデミー個別進学館」の事業(直営、FC事業)について、2021年11月に同社が譲受し、単独で展開していくこととなった。



海外市場についても、国内の難関校を目指す生徒に教育サービスを提供するため、2019年にロンドンとニューヨークで子会社が早稲田アカデミー直営校を開校したほか、(株)学研スタディエ及びその子会社との間で、早稲田アカデミーブランドによる海外学習塾事業に関する業務提携契約を締結し、アジアで5校(シンガポール2校、ベトナム2校、台湾1校)が展開されている。



2. 事業内容

同社及び連結子会社は、進学塾を複数のブランドで展開している。同社においては、小学生から高校生までを対象とした「早稲田アカデミー」を首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)で展開しており、ブランド名としては「早稲田アカデミー(中学受験・高校受験)」(2022年3月末116校)のほか、「早稲田アカデミー大学受験部」(同6校)、個別指導塾の「早稲田アカデミー個別進学館」(同42校)、難関中学高校受験専門塾「ExiV(エクシブ)」(同5校)、最難関中学受験専門塾の「SPICA(スピカ)」(同1校)など合計170校を直営で展開している。そのほか、2017年より小中学生向けの英語塾として開始した「多読英語教室 早稲田アカデミー English ENGINE」(同3校)を運営している。



子会社では、野田学園が医歯薬学系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を都内で2校展開している。野田学園を子会社化した背景は、大学受験において理系で高いレベルの指導ノウハウを持つ講師をそろえており、文系主体であった同社の「大学受験部」とのシナジー効果を狙ってのことだ。また、水戸アカデミーは茨城県内で小中学生を対象とした進学塾「水戸アカデミー」を1校運営している。中学部が主力で、県内の難関公立高校である水戸第一高校の合格者数で高い実績を持つことが特徴となっている。集学舎は、千葉県内で小中高校生を対象とした進学塾「QUARD」を5校展開しており、うち高校部門については東進衛星予備校の映像授業を行っている。主力は中学部で県立千葉高をはじめとする難関公立高校で高い合格実績を有している。いずれも難関公立校への進学を志望する生徒の獲得強化に取り組む同社にとって、シナジーが得られるとの考えから子会社化した。特に、集学舎とは人材採用や受験対策講座の共同開催などで協業が進んでいる。そのほか、欧米で早稲田アカデミー各1校運営しており、2022年3月末のグループ全体の直営校舎数は180校となっている。



2022年3月期の売上構成比を見ると、小学部が全体の56.7%を占める主力部門となっており、次いで中学部が37.5%、高校部が5.5%となっている。直近5年間の傾向としては小学部の構成比が上昇し、中学部及び高校部が低下している。小学部については私立中学の受験者数がここ数年増加傾向となっていることに加えて、低学年層(小学1年生〜4年生)や公立進学コース(Kコース、5年生〜6年生)の塾生の取り込みに成功していることが上昇要因となっている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)