■日本システムウエア<9739>の業績動向



1. 2022年3月期の業績概要

2022年3月期における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により一部厳しい状況は残るものの、経済活動の再開に伴い持ち直しの動きがみられた。しかし先行きについては、変異株による感染再拡大に加え、半導体や電子部材の供給不足、原材料や原油価格の上昇、ウクライナ情勢など新たな懸念材料も生じ、不透明な状況が続いている。一方、企業活動においては、ビジネスモデル変革やバリューチェーンの最適化などこれまでにない成長戦略が求められており、情報サービス産業界ではDXを中心としたIT投資需要が底堅く推移した。



このような状況の下で同社は、「DX FIRST」を掲げる中期経営計画の最終年度を迎え、ITソリューション、サービスソリューション、プロダクトソリューションの3つの事業を手掛ける特長を最大限に生かして、各事業の連携強化やIoT、AI、5G/ローカル5G等のデジタル技術を活用したサービス展開により、顧客のビジネスモデル変革やマネジメントサイクルの最適化など、企業のデジタル変革を支える事業展開に注力した。



この結果、同社の2022年3月期の連結業績は、売上高43,452百万円(前期比10.6%増)、営業利益4,919百万円(同17.2%増)、経常利益5,025百万円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,469百万円(同25.5%増)と大幅な増収増益決算となり、過去最高業績を更新し10期連続の増収増益を記録した。期初計画比でも売上高は3.5%増、営業利益も14.4%増となるなど、計画を上回る好決算となった。特にITソリューションセグメントおよびサービスソリューションセグメントにおいて、国や自治体の補助金申請システム案件を複数受注したことが業績に貢献した。これは、7〜8年前からものづくり補助金申請システムなどを手掛けてきた実績とノウハウを生かして、各種補助金申請システムに横展開してきた成果と言えよう。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増加率が特に高いのは、前期に特別損失として計上した損害賠償損失引当金がなくなったことによる反動でもある。全体としてIT業界全体への底堅い需要に支えられて、同社が多岐にわたる取引先を確保していることが功を奏し、大幅な増収増益を達成したと評価できる。





ITソリューションセグメントが好決算に大きく貢献



2. セグメント別概況

セグメント別の業績は、以下のとおりであった。



(1) ITソリューションセグメント

ITソリューションセグメントの売上高は14,896百万円(前期比12.8%増)、営業利益は1,968百万円(同51.6%増)、営業利益率は13.2%(同3.4ポイント上昇)となった。売上高については、官公庁・団体向けシステム開発や小売業向け機器販売が堅調に推移した。営業利益については、増収に伴う利益増のほか高収益案件が寄与し、大幅な増益となった。なお、計画比では売上高4.9%増、営業利益40.6%増となり、同セグメントの好業績が同社の好決算に大きく貢献した。



売上高の内訳を見ると、ビジネスソリューションの売上高は4,552百万円(前期比11.4%増)となった。製造業・物流業向けにおいてビジネス拡大に向けた事業転換が進み、ERP※1、PLM※2関連が順調に推移したほか、小売業向けが店舗系システムを中心に増加した。金融・公共ソリューションの売上高は7,597百万円(同17.8%増)となった。官公庁・団体向けが補助金申請システム案件や既存顧客案件の拡大等により増加し、金融・保険業向けでは損保向けの自動車保険関連システム開発などが増加した。システム機器販売は、上期を中心に小売業向けのセミセルフレジ・POS関連が増加した結果、売上高は2,745百万円(同2.9%増)となった。



※1 企業が有する経営資源を一元管理しリアルタイムで経営判断に役立てるシステム。

※2 製品ライフサイクルの管理。





(2) サービスソリューションセグメント

サービスソリューションセグメントの売上高は11,854百万円(前期比14.2%増)、営業利益は525百万円(同6.8%減)、営業利益率は4.4%(同1.0ポイント低下)となった。売上高については、クラウド環境構築サービス、BPO※サービスなどが増加し、増収となった。一方で営業利益については、事業拡大に向けた体制強化のための先行投資のほか、一部で想定以上の要員が必要となり原価が増大したなどの低採算案件の影響により減益となった。この結果、計画比では売上高が4.9%増となったものの、営業利益は19.1%下回った。同セグメントは2020年3月期より独立したセグメントであり、事業が軌道に乗り同社全体の業績に貢献するにはもう少し時間がかかるようだ。



※Business Process Outsourcingの略。業務プロセスの一部について、一括して専門業者に外部委託すること。





売上高の内訳を見ると、デジタルソリューションの売上高は2,941百万円(同4.9%増)となった。Web・ECは既存顧客向けを中心に受注が好調に推移したものの、一部案件の売上スライド等が影響し減少した。IoT・AIはIoT関連のライセンス販売が堅調に推移した一方、一部低採算案件の対応により機会損失が発生した。クラウド・インフラサービスの売上高は8,912百万円(前期比17.7%増)となった。クラウドでは、補助金申請のヘルプデスク案件やクラウド移行案件が好調推移し、インフラ・その他サービスではデータ連携やBPOサービスが好調であった。



(3) プロダクトソリューションセグメント

プロダクトソリューションセグメントの売上高は16,701百万円(前期比6.4%増)、営業利益は2,425百万円(同3.8%増)、営業利益率は14.5%(同0.4ポイント低下)となった。売上高については、組込み開発事業における通信分野や設備分野を中心に伸長し増収となった。営業利益については高水準を維持しながらも、前期の高収益案件の反動等により小幅の増益にとどまった。なお、計画比では売上高が1.2%増、営業利益が7.8%増となった。引き続きセグメントで最も高い利益率を維持しているが、これは既述のとおり技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。



売上高の内訳を見ると、組込み開発の売上高は9,715百万円(前期比9.4%増)となった。設備機器では放送関連や決済端末関連が伸長し、通信では5G/ローカル5G、次世代通信関連の開発・評価業務が拡大したほか、モバイルではキャリア向けアプリ開発などが増加した。ただ、オートモーティブではCASE※1、ADAS※2関連などの新領域が増加したものの、IVI(次世代の車載情報通信システム)関連の既存領域が減少した。一方、デバイス開発の売上高は6,986百万円(同2.5%増)となった。世界的な半導体供給不足はあるものの、LSIの設計・開発は堅調に推移している。



※1 Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の4つの頭文字をとった車の次世代技術や新サービスの造語。

※2 Advanced driver-assistance systemsの略で先進運転支援システムのこと。車の衝突検知や位置判定などドライバーの運転操作を支援するシステムの総称。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)