■ウェーブロックホールディングス<7940>の業績動向



2. 事業セグメント別の動向

(1) マテリアルソリューション事業

マテリアルソリューション事業の売上高は前期比1.4%増の16,364百万円、営業利益は同23.6%減の950百万円となった。売上高はビルディングソリューション及びインダストリアルソリューション、パッケージングソリューション、アグリソリューション、その他(輸入仕入販売品)が増収となり、リビングソリューションの減収をカバーしたことにより、3期ぶりに増収に転じた。一方、営業利益は、販促費等の販管費の削減効果208百万円や売上増による利益増60百万円があったものの、原材料価格高騰を主因とした製造原価の増加561百万円を吸収できなかった。四半期ベースの推移を見ても、第1四半期から第4四半期まで減益が続いており、期を通して原材料価格高騰の影響を受けたことが窺える。





ソリューション別の動向を見ると、リビングソリューションについては、主力製品である張替用防虫網等の販売が前期に新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を背景とした巣ごもり需要により好調だった反動で苦戦したことや、原材料価格の高騰並びに相対的に利益率の高い製品の販売が低迷したことにより収益性も低下し、売上高、利益ともに大幅減となった。



ビルディングソリューション及びインダストリアルソリューションは、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種会場向けフロアシートや東京2020オリンピック・パラリンピック関連工事等の特需に加えて、建設・仮設工事向けの販売も堅調に推移した結果、増収となった。営業利益は、原材料価格の高騰や相対的に利益率の高い製品の販売が不振だったことにより、大幅な減益となった。



パッケージングソリューションは、原材料価格高騰分の販売価格への転嫁を進めたほか、コロナ禍に伴う健康志向の高まりからヨーグルト関連のシート需要が堅調に推移したこともあり、増収となった。営業利益は、原材料価格の上昇により減益となった。



アグリソリューションは、農業における投資意欲が回復傾向となり、土壌改良剤や遮光ネット等の資材販売が引き続き堅調に推移したほか、林業向け資材も好調に推移した結果、増収となった。営業利益は、原材料価格の高騰により減益となった。



(2) アドバンストテクノロジー事業

アドバンストテクノロジー事業の売上高は前期比13.2%増の4,670百万円、営業利益は同340.3%増の345百万円となった。売上高は連続増収、営業利益も3期ぶりの増益に転じ、過去最高を更新した。営業利益の増減要因を見ると、開発費や人件費の増加80百万円があったものの、金属調加飾フィルムの増収効果で196百万円、高透明二層シートの収益改善効果により150百万円の増益要因となった。利益率についても、プロダクトミックス改善効果により前期の1.9%から7.4%に上昇した。なお、第4四半期に材料の減損処理や在庫処分等の一過性の費用約84百万円を計上している。



デコレーション&ディスプレー分野のうち金属調加飾フィルムは、北米の自動車メーカー向け及びインド・東南アジアの自動二輪車向け販売が好調に推移したほか、国内自動車メーカーの小型SUV向けドアハンドル販売も堅調に推移し、中国自動車メーカー向けの販売減をカバーした。この結果、売上高、利益ともに前期比で大幅増となった。なお、第4四半期に材料の減損処理、滞留在庫の処分など一過性の費用約64百万円を計上している。



自動車向けの新規採用では、北米新興EVメーカーであるRivian Automotive, Inc.(以下、リビアン)のピックアップトラック「R1T」のフロント&リアにあるスキッドプレート※の表皮材として採用され、SUV車「R1S」への採用も決定した。リビアンでは環境に配慮された部品の搭載を目指しており、製造過程において環境負荷の高いメッキ加工品の代替として同社の金属調加飾フィルムが採用された。



※自動車が地面と接触した際に、車体下側の損傷を防ぐための部品。





高透明二層シートは、自動車用内装ディスプレー用途(CID、HUD防塵シート等)における欧米市場での新規案件獲得や既存案件の横展開が進み、販売は好調に推移した。利益面でも、製造工程の見直し等により生産効率が改善し、第4四半期に突発的な品質トラブル発生や滞留在庫の処分により約20百万円の費用を計上したものの、通期で黒字転換を果たしている。HUD用としては独フォルクスワーゲンの小型EV「ID.3」に続き、SUVタイプのEV「ID.4」にも採用が決まった。高透明で歪みが少なく、硬度、耐衝撃性、耐候性を確保したうえで安価であることが評価された。



その他分野では、仕入販売品となる液晶ディスプレー用拡散板が、前期に発生した特需の反動により売上高、利益ともに減少したものの、仕入販売品となるため利益へのインパクトは軽微であった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)